今月の話題〜11月〜



 今月の話題は今年の8月に三重県津市で行われた「日本プライマリーケア連合学会総会」より選んでみました。総合医、 家庭医の問題に関する総合学会です。これからのプライマリ。ケアをどのようにして日常診療の中で組み立て、活用してい くかについての多方面から検討をしています。今回はシンポジウム、講演の中から撰んでみました。



1. シンポジウム:現在、地方が直面する医療問題、そして未来に向けて取るべき対策

1) 地域共生社会の実現に向けて:(名張市、亀井利克)人生の本舞台は(社会参加)あると考え、すべての市民の社会参加がかなう 互助共生のまちづくりをめざし、市内15地区の市民センター「まちの保健室」を設け、市民との信頼関係を構築する。高齢者の社会参加 を促し、市民が元気になっていくという仕組みを作り、平均寿命は全国平均より長く、一人当たりの医療費、介護費は抑制された。

2) 現在、地方が直面する医療問題、そして未来に向けて取るべき対策:(厚生省医務局、武田俊彦)地域の医療は、日本の医療の未 来の姿である。高齢者の医療ニーズの変化を踏まえ、質が高く効率的な医療供給体制を地域ごとに構成して行くことが大切である。入院か ら在宅医療、介護まで一連のサービスが切れ目なく提供されなければならない。退院支援、日常の療養支援、急変時の対応、見取り時の場 面に対応する在宅療養の機能をしっかり確保する。依然として、医師の地域偏在、診療科偏在は広がっており、その対策は喫緊の課題である。


2. シンポジウム:現在、大都市、そして日本が直面する医療問題、そして未来にむけて取るべき対策

1) 進行中の医療・介護改革と今後の展望:(国際医療福祉大学、中村秀一)「社旗保障と税の一体改革」の枠組みで医療。介護の改革 が進行中である。政府は財政健全化目標の達成という課題があり、この間、社会保障費の伸びは1兆5000億円に止めるという枠組みで予算編 成されてきた。社会保障費の約半分が2025年には、医療・介護分野であることは確実で、これからの社会保障費の特性は、医療。介護の分野 であることは確実。

2) 医療の問題、地下にあるものを考える:(日本医師会総合政策研究機構、細谷辰之)日本の医療の問題は、多くの社会的問題と同じ ように、それぞれに複雑に関連し合い、影響しあい、増幅し合っている。医療をどう捉え或いは位置づけ、医療になにを求め、何をアウトカ ムとして評価するのか議論が必要で、一般原則、法的正義を出発点として長期的視点に立った経済的合理性を見つつ議論したい。


3. シンポジウム:専門研修の課題とその解決に向けて

1) 多人数在籍プログラムとして〜北海道家庭医療センター家庭医療学専門医コース:(北海道過程医療学センター、高石恵一)4年プロ グラムで、2年間の病棟研修(総合診療科、小児科、救急科、内科)と2年間の診療所研修(郡部の診療所1年間、都市部の診療所1年間)で構成。


4. シンポジウム:「総合診療専門医」の研修プログラムで在宅医療の研修をどう位置づけるか:

1) 病院における在宅研修―佐久総合病院でやっていることー:佐久総合病院総合診療科、鄭真徳)訪問診療や訪問看護など在宅ケアを担う 部門として「地域ケア科」が設立され、在宅での療養希望がある患者に対して24時間体制による在宅ケア援助活動を行ってきた。総合診療科は 、1)、研修医教育(プライマリーケア)、2)、救急医療(一次救急、二次救急への窓口、救急センターへの橋渡し)、3)、高齢者ケア、 4)、関連診療所の運営と診療所医師の研修、等の受け皿として設立された。専攻医が同じ患者を在宅医という立場でみる。

2) 診療所における在宅研修―弓削ぞりメディカルクリニックでやっていることー:弓削メディカルクリニック、雨森正記)「普通の家庭医」 を養成することを目標に揚げている。1)在宅医療の導入、2)定期訪問診療、3)臨時往診、4)在宅看取り、その他、他職種連携、地域ケア会 議出席、地域サービス会議に出席。


5. シンポジウム:個人の「診療範囲」と病院・地域の「診療範囲」を考える:

1) 離島・へき地型の家庭医の立場から:(沖縄県立中央病院総合診療科、木村和久)人工1100人の島の伊平屋診療所では、重症であっても 搬送が困難であり、医師が一人で昼夜を問わず患者管理を行う場合もある。病院の離島診療には、内科、外科、整形外科、小児科、産婦人科、救 急、皮膚科、在宅医療がコアクリニカルスキルとされているが、外科、整形外科は一次診療、麻酔は局所麻酔、産科は緊急対応のトレーニングの みであった。

2) 離島・へき地型総合診療医の立場から:(長崎県離島医療医師の会、山口純子)人工1100人の伊平屋診療所の例を挙げて見ます。本島から フェリーで約1時間半の伊平屋診療所では、重症患者であっても搬送(台風などでヘリコプターが飛ばないなど)が困難であり、医師が一人で昼夜 を問わず患者管理をすることもあります。

6. シンポジウム:大人になった障碍者たちのケア〜プライマリーケアの出番ですよ

1) 成人期移行の知的障害者の健康を支えるために医療機関へのつながりを求めて:(神奈川県立保健福祉大学看護学科、金壽子)世界的に知 的障害者は人口の1〜2%とされています。日本では、平成23年で、総人口は1億2779万9千人の中知的障害者は74.1万人で、18才以上が57.8万 人(78%)、そのうち8割が地域で生活している状況です。日本での知的障害者に対する健康に対する行政施策は異常の早期発見と早期介入及び就労 支援に主眼が置かれ、成人以降の健康問題に対する具体的な施策は展開されていない。


7. シンポジウム ニコチン依存をタバコフリーWGとともに考える。

1) 世代を超える喫煙の影響にいついて:(堺市立総合医療センター呼吸器内科、郷間)巌)妊娠中の女性の喫煙がその子に与える影響は知 られているが、男性の喫煙もその子に影響が生ずる可能性が指摘されている。(1)妊娠中の喫煙出生後の気管支喘息発症のリスクとなる、(2) 出生後の受動喫煙も気管支喘息の発症リスクを上げる、(3)小児期の受動喫煙は肺がん発症に関与の可能性、(4)父親の15才以後の喫煙が、 15才以前の喫煙より精原細胞への影響より喘息発症のリスクを子供に与える可能性、等が指摘され、胎児期乾姜のDNAの変化に注目が集まり、家 庭内の複数の喫煙者は、能動喫煙と受動喫煙のリスクが重なりさらに世代を超えた疾病が増えると心配される。


8. 働き方改革に向けて管理職に求められるもの(男女共同企画委員会企画)

1) 働き方改革、管理者はなぜ変わらねばならないか?:(日本プライマリーケア学会、丸山泉)管理者は自分の経験に基づいて現状を判断する きらいがある。世代間に差がある。若い世代は家族関係の中で判断する傾向があり、すでに管理職になっている世代では、収入とのバランスで判断す る傾向がある。

2) 働き方改革におけるイクボスの重要性:(秋田大学医学部総合地域医療推進講座、蓮沼直子)秋田大学では女子の割合は4割を越しており、 日本の女医の割合は3割超になっている。女性医師指導医が活躍できる環境が必要である。情勢活躍のためには女性の社会参画と男性の家庭参画そし てイクボス(スタッフのライフを尊重しながら、プロフェッショナルを育てる、そして自らもライフを楽しむ上司)がセットであるべきである。子 育ての中の女性医師や医師夫婦が安心して働ける環境は、全ての医師にとって働きやすいはずである。相談相手、後押しの役割が大切である。




筆者一言:
 プライマリーケア学会のシンポジウム、講演では、総合医、家庭医、どのような組織、国の組織の一環としてあるべきか、組織の中で働くメンバー の教育、資格のあり方などの話が多く、プライマリーケアの実地、臨床での話がほとんどなかった。家庭医、総合医が日常臨床のなかで、医療の中で 有効に働けて、国民がよい医療を経済的に受けられる組織、形を作ることが必要と思います。女性医師の割合が増加している問題を日本の社会のなか で円滑に受け入れていくかについても意見が述べられている。



一口メモ

 ハロウィンは楽しみましたか?渋谷のニュースには呆れました。スポーツ観戦終了後などでゴミを拾う姿を真似された日本人と同じ人種とは 思えないゴミの状況でしたね。片付けをしたみなさん御疲れ様でした。

 来年の10月から消費税が上がり10%になります。3%の時代が懐かしいです。今回は軽減税率というものを導入するそうです。 持ち帰りは8%。外食は10%。色々な状況で混乱しないのかとニュースになっていますが、食品を扱うお店の方は準備が大変そうです。 高くなった消費税の使い方も、国民の納得のいく使い方で景気も良くなることを願います。


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