今月の話題〜11月〜



 今月の話題(2020.11.)の話題も、最近の日本慢性疼痛学会からの話題とします。一般演題の中から撰んでみました。興味ある演題があります。日常の診療に役立てて下さい。



1. 開頭後の遷延性術後痛に対し神経ブロックと漢方薬の併用が有効であった一例:

(東京医科大学麻酔科、山田梨香子、他)舌咽神経痛に対する微小血管減圧術後の術部を中心とした疼痛に、 浅頸部神経ブロックと呉茱萸湯の投与が有効であった。リハビリやカウンセリングも併用して行われた。


2. 褥瘡の痛み:文献レビュー:

(フジ虎ノ門整形外科病院内科・精神科、齊尾武郎)褥瘡の痛みには、局所の治療では改善せず、オピオイド の投与を要する場合もある。褥瘡の痛みは、37〜68%に存し、処置時の痛みが54%、持続的痛みが 12%であった。局所には、オピオイドやNSAIDSの入ったジェルの投与が有効との文献が少数あり。鎮痛薬や 向精神薬ん投与も見られたが有効性については不明。ドレッシング剤による痛みの軽減については不明だった。


3. 慢性疼痛(線維筋痛症)の発症要因の探求:

(国際全人医療研究所、他、永田勝太郎、他)慢性疼痛、ことに線維筋痛症(FMS)は、生きざまのゆがみが、 機能性身体症候群(FSS)としてのFMSを創ってゆく、そのプロセスの中で、重要な役割をはたすのが、糖化、 酸化、血行動態の障害である。機能時病態であり可逆的であるので、原因を見出し正しい治療を行えば健康を回復できる。


4. 変形性膝関節症による膝痛に対する理学療法の治療効果の検討:

(牧整形外科病院麻酔科、その他、垣遠剛示)変形性膝関節症の治療には、人工関節置換術などの手術、薬物療法、 関節内注射、運動療法や理学療法などの保存療法がある。運動療法の治療効果を検討してみた。理学療法士が患者の 個別的評価を行い、3週間のリハビリテーション(週2回の運動療法、自主練習の指導)を実施した。理学療法による 関節可動域の拡大、筋力の維持・増強、筋バランスや筋肉の柔軟性を改善することが、VASや歩行速度の改善に重要と考えられた。


5. 段階的運動療法により著名な改善を認めた膝OAの一例―定量的感覚検査による効果検証―:

(前原リハビリテーションクリニック、その他、服部貴文、その他)慢性関節痛には中枢感作などの神経機能異常が関与しており、 今回、慢性疼痛を呈した変形性膝関節症の患者標準的PTや薬物療法に段階的運動療法を行い、中枢感作の変化について検討した。 慢性関節痛に対する運動療法は、主観的な疼痛関連症状の改善にと止まらず、中枢神経を含めた機能異常の改善効果も期待出来る。


6. Chronic exerciseによる慢性疼痛と気分の改善効果―効果が現れるのに必要な運動継続期間は?−:

神戸学院大学リハビリテーション学研究科、常盤雄地、他)慢性疼痛の患者に、一定程度の継続するChronic exercise 疼痛緩和、気分改善が現れる運動継続期間につてて検討した。運動開始2週目に広範な疼痛感受性低下と中枢感作抑制といった 中枢性疼痛調節機能、3週目には、疼痛症状、そして4週目には多様な気分の改善を認めた。疼痛症状や気分の改善効果が現れ るのは3~4週の運動継続期間が必要であると考えられる。


7. 慢性疼痛における鎮痛剤全般の有効性比較 第二報:

(汐田総合病院、整形外科、佐々木正造)慢性疼痛の治療に使用可能な鎮痛剤について、横並びに検討した。検討したのは ロキソプロフェン、メフェナム酸、インドメサシン徐放剤、ジクロフェナック、セレコキシブ、トラマドール、ジクロフェナック 座薬、インドメタシン座薬、フェンタニル貼付剤、エスフルルピプロフェンテープ、ケトプロフェンテープ、インドメタシンパッ プ、フェルビナクパップ、インドメタシン塗布剤。最も効果の高かったのは、全身投与ではロキソプロフェン、局所外用剤では フェルビナク塗布剤であった。


8. 糖尿病性末梢神経障害性疼痛を対象としたミロガバリンのしびれ感に対する効果:

第3相試験の事後解析:青茂呂県立中央病院脳神経センター、他、馬場正之、他)しびれ感のみを感ずる糖尿病性末梢神経 性正疼痛)(DPNP)のしびれ感のみを及び痛みのみを有するDPNPについて検討した。ミロガバリン15mg1日2回投与で改善 効果を示した。ミロガバリンは痛みのないしびれ感のみ患者にも一定の効果が示唆された。


9. ミロガバリン処方113例の実態調査:

(仙台ペインクリニック、伊藤博之、他)帯状疱疹後神経痛50例、腰部神経根症37例、頸部神経根症18例、その他8例、副作用 は浮腫、眠気、フラつき、掻痒、下肢脱力、体重増加、口渇、振戦など。重篤な副作用は認めず使用可で、副作用などで中止し たのは26.6%であった。


10. ペインクリニック外来における帯状疱疹関連痛における治療の現状:

(神戸学院大学、他、中川左理、他)今回市立芦谷病院における帯状疱疹及び帯状疱疹関連痛の治療実態を調査した。帯状疱疹 362人の診断科は皮膚科214人(59.1%)、内科45人(12.4%)、ペイン科21.8%であった。治療は、ペイン科で治療薬89.6%、 外用薬3,8%、鎮痛薬93.8%、その他の科では治療薬88.3%、外用薬74.2%、鎮痛薬47.3%であった。ペイン科外来における痛みの転 機は、改善84.4%、悪化0%、不明15.6%であった。ペイン科での主な鎮痛薬は、プレガバリン、ノイロトロピン、トラマドール、 トラムセット、メコバラミンなどである。


11. 50才以下で帯状疱疹ご神経痛を起こす要因について:

弘前市立病院、工藤明)帯状疱疹後神経痛を起こす要因に対しては発症早期からペインコントロールした方がよいと思われた。 過去に心気症のある患者さんには予防としてSNRIなどの投与も考慮すべきと思われる。


12. 慢性疼痛の発症機序と治療法の発見:

(九州記念病院整形外科、岡山洋二)トガーポンイント(タイガーポイント)に1%リドカイン10mlを4点に分割投与により、 上半身の全体の疼痛の軽減と、同部が温かくなり血圧が低下することを発見した。


13. 変形性股・膝関節症の疼痛症状に関節変形よりも中枢感作が関連する:

(前原整形外科リハビリテーション部、前原貴文、他)今回、疼痛・機能障害が重篤な膝・股OAでは、関節変形の程度に関わらず、 罹患関節の支配関節領域を越して下腿まで痛覚過敏が広がり、中枢感作を呈することが示された。


14. 電磁場対策を取ることによって除痛が得られた2症例:

(袖ヶ浦さつき台病院麻酔科、高橋秀則)寝る前にスマートフォンを充電したり、枕元に置いたりしており、スマートフォンを 枕元に置かないようにして慢性の頭痛、頸部痛が軽減した。



筆者一言

 今回、慢性疼痛学会の一般演題から興味ある演題を選んでみました。それぞれに興味深い内容であり、臨床に利用してみたいと思う演題です。



一口メモ

 このコロナ禍で明るい話題というと、最近は「鬼滅の刃」というアニメの話題が多い気がいます。 見たことはありませんが、年齢問わず海外でも人気ですね。 ハロウィンでも映画館でもマスクなどでも見かけました。しかも観光にも一役かっているようで、 福島県会津若松の芦ノ牧温泉大川壮がアニメに出てくる場所に似ていると話題のようです。 また、他にも新潟や名古屋など各地に「舞台になったのではないか、浸れる場所だ」と話題のスポットが あるようです。

コロナで外に出歩けなかった今年、Gotoキャンペーンもあり外に出かけられるようになった今、この波は 経済にも大きく影響しています。いいことですね。私も流行に便乗して鬼滅の刃見てみようかなと思っています。

紅葉の季節にもなりましたので、あまり引きこもりすぎず楽しみましょう。マスクは忘れずに。


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