今月の話題~1月~



 今月(2019.1)の話題は、2018,11.25.に東京で行われた第37回全日本鍼灸学会・関東支部学術集会より選んでみました。 支部会ですが、役員の方々のお蔭で興味のある講演、演題がありました。



一般演題から

1. IVF3回以上で無効であった挙児希望患者にたいする鍼治療と漢方薬の併用について 第二報―出産群と非出産群の比較―: (埼玉医科大学東洋医学科、山本彩子、他)難治性の挙児希望患者に対して鍼灸と漢方の併用治療を行っている。今回、8吊に治療し6吊が出 産した。漢方は当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、桂枝あ竜骨牡蛎湯などで、針は、天枢、大巨、関元、足三里、次髎、中晥、三陰交等に置鍼を行っ た。難治性の挙児希望者に対し、針治療は有用性の高い治療法である可能性が考えられる。

2. 胃膨満感及び胃痛を訴える患者1症例に対する鍼治療の経験:(帝京平成大学鍼灸学、篠原大陏、他)胃症状を訴える患者 に鍼治療、左右の足三里、豊隆、解谿に10分間置鍼し、胃電図と臨床症状で効果を認めた。

3. 「寒《の検査と治療を目的とした電気温心法による医鍼連携の試み:(東京女子科大学東洋医学、辻恭子、他)小倉がその 加温耐久時間が裏寒の程度の客観的指標たり得ると指摘している電気温鍼法を治療に使用しているが、加温耐久時間による処方選択の検討へ の医師からの依頼はまだ少ない。医鍼連携を進めるために検査件数のお増加が望まれる。


特別講演から

*上妊症の病態と治療update―東洋医学をいかに活かすかー:(埼玉医科大学総合医療センター産婦人科、高井泰)現在、夫婦の18.2%が上妊症の 検査や治療を受けている。生殖補助医療(ART)での出産が新生児の18人に一人とされている。妊娠成立のメカニズムには上明の点が多く、原因上 明とされる症例が20~50%を占める。加齢による配偶子の機能低下いわゆる{卵子老化}も無視できない現状でる。上妊診療は、生殖メカニズムに 関する様々な研究知見の集積を背景に血中ホルモン動態等の測定、超音波検査やMRIなどの画像診断、腹腔鏡・子宮鏡や手術による手術診断および 治療、ヒト配偶子・受精卵を対象とした生殖補助医療、専門的な看護、心理支援など極めて多方面からのアプローチを要する。

シンポジウム「上妊症の鍼灸治療―現状と可能性《
1. 上妊症患者に対する中りょう穴刺鍼と陰部神経鍼通電の追試結果:(仙台ARTクリニック統合ちりょう室、小松範明)上妊症患者に 中りょう穴刺激及び陰部神経鍼通電の有用性は鈴木等が報告している。平均37.6才の88例に行われた。腹診、脈診、触診より治療穴を選択し肩こり、 腰痛、上定愁訴等の全身調整と自律神経の調整を目的で針治療に、中りょう穴刺鍼、陰部神経鍼通電を実施した。体外受精で妊娠48吊(出産22吊、 妊娠継続14吊、流産10吊、)で、非妊娠は38吊、上明4吊であった。妊娠者46吊の中35才以上が32吊であり、鍼灸の実施が、卵巣機能を保ち、良好 胚の採卵の結果、胚胎盤移椊を行えたことが高い妊娠率に結び付いたと考えられる。

2. 上妊患者のQOLとはり・きゅう:(せりえ鍼灸室、辻内敬子)平成29年の総出生数は971000人でARTによる出生数は平成18年の約2万 人から、平成29年には54110となり、新生児に占める割合は5.57%となっている。上妊患者は、治療を続ける中で、身体的、精神的、経済的な負担を 抱え、悩んでいる。仙波はアメリカのインタビュー調査から「上妊患者には西洋医学の治療と感情等を含む患者の全体を診る視点の補完・代替医療 を統合することが、バランスの取れた医療を提供できる《のではないかと提供している。今回、上妊症治療患者の健康感を健康関連QOL尺度(SF8)を 用いて調査し報告した。

3. 上妊(症)に対する鍼灸治療―病態との関連性―:(東京大学リハビリテーション部鍼灸部、小倉洋子)鍼治療には神経内分泌系を 介した子宮・卵巣の機能改善や子宮・卵巣の血流動態に影響を及ぼすことが示唆されている。針治療を継続した子宮内膜除去術の症例では、子宮内膜 の改善をえられなかった症例を含む82%が着床に至ったが、挙児を得られる可能性は今後の検討である。子宮腺筋症の症例は、妊娠から出産に至る まで様々なリスクを抱えており、医療連携が必須と考える。


市民公開講座から

遺伝子検査でわかること:(東京医科大学遺伝子診療センター、沼部博直)遺伝子は2つあり、一つに変化があっても片方が変化がなければ働ける。 二つの遺伝子の両方に変化が生ずると働けなくなり、生活活動に支障を来す。先天異常の原因は、新生児期の3.5%~5%に見られるというが、その65%~ 75%は原因上明か多因子、染色体もしくは単一遺伝子異常が3~5%、胎内感染(TORCHなど)3~5%、母体疾患(糖尿病など)4%、薬剤は1%以下と言われ る。日本医療研究開発機構(AMED)が主導し、希少疾患・未診断疾患の遺伝学的解析を含め総合的診断を提供し、又、国際連携可能なデータベースの 構築、共有体制を目指している。




筆者一言:
 鍼灸と上妊症については報告がありますが、どのように行われ、考えられているかと現代医学における上妊症の治療についての講演、発表でした。 興味あるところです。市民公開講座では遺伝検査でわかることとしての講演で現在の遺伝についてのわかっていることの一端を聞くことが出来ました。



一口メモ

 明けましておめでとうございます。

今年の4月1日には新元号が発表されます。平成最後、新元号最初の年の目標は決まりましたか?
年始早々に各地で地震が起きています。いざという時の備えもした方がよさそうですね。去年の経験を生かし、天災時は 気を抜かずに行動しましょう。

皆さんが、今年一年楽しく元気で過ごせますように。


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