今月の話題〜3月〜



 今月の話題(2021.3.)は前回と同じデイ54回日本ペインクリニック学会から選んでみました。 一般演題の中からです。一般演題の中には、貴重な経験の発表があり、興味深い演題が沢山あります。



1. 発症早期の帯状疱疹痛に対しデュロキセチンが有効であった1例:

(島根大学医学部麻酔科、榊原賢司、他)60歳女性、巣状糸球体硬化症に伴う腎不全により腎移植、ステロイド性糖尿病の患者、 帯状疱疹で発症し、痛みが強く、以前、プレガバリン、トラマドールで副作用があり、デュロキセチンを選択した。40mgま で増量し、アロディニアも改善した。


2. 過去11に岩手医科大学付属病院麻酔科外外来を受信した難治性非定型顔面痛症例の検討:

(岩手医科大学麻酔科、他、水間謙三、他)非定型顔面痛73例症例中の47例を顎関節症(TMD)と診断治療した。これら症例につ いて報告する。三叉神経痛や齲歯に間違われる顔面痛にTMDもある。顔面痛にカルマパゼンピン(CBZ)で痛みが変化せず、歯牙 由来と考えにくい時は、TMDを疑い、外側翼突起や顎関節外側靭帯の圧痛点にトリガーポイント注射することは有用な鑑別・治 療と考える。


3. 茎状突起過長症の2症例の診断と治療:

(NTT東日本札幌病院麻酔科、他、草階美佳子、他)茎状突起過長症は延長した茎状突起あるいは茎状舌骨靭帯の骨化により咽喉 頭部の違和感、嚥下痛、耳部放散痛などの頭頚部症状を呈する疾患である。今回、3D―CTが診断に有用であり、神経障害性疼痛 薬が有効であった例を経験した。3D-CDで32mmの茎状突起を認め、治療にはプレガバリンが有効であった。


4. 高齢者の帯状疱疹後神経痛に対する薬物療法の検討:

(新潟大学医歯学総合病院麻酔科、日比野亮信、他)高齢者の帯状疱疹後神経痛に対する薬物療法では内服治療の継続が困難なこ とがある。治療薬ごとの内服中断・減量について検討した。プレガバリン、アミトリプチン、トラマソール、デュロキセチンにつ いて検討した。内服中断・減量は25例(19.1%)で、その危険因子としてデュロキセチンがあげられた。


5. 頭痛と腹痛を主とした難治疼痛の一例―mentalizationの視点からの考察:

鈴鹿医療科学大学保健衛生部、他、上条史絵、他)10代女性で進学前頭痛、腹痛など愁訴が多彩で多い。本人の感覚や感情を肯定的 にとらえるメンタイゼーションが促進され、疼痛の改善と生活環境保持に立つと考られた。


6. 腰椎椎間関節症にたいする超音波ガイド下後内側枝パルス高周波の有用性についての検討:

(京都府立医科大学疼痛緩和医療学、波多野貴彦、他)腰椎椎間関節ブロックは、腰椎椎間関節症の診断、治療に非常に有用である。 当科では腰椎椎間関節ブロックで長期的な鎮痛効果が得られない場合、超音波ガイド下腰椎後内側枝パルス高周波法を施行している。 有用な方法である。施行するために知ってくべき解剖学的知識や実際の施行法などについて報告した。


7. 当院における帯状疱疹後神経痛にたいするミロガバリンの使用経験:

(西宮市立中央病院麻酔科、松村陽子、他)帯状疱疹発症後3か月以上経過した患者のうちミロガバリンの投与された患者は17例で、 有効7例、無効10例だった。副作用は体重増加4例、ふらつき4例、眠気3例、下腿浮腫1例であった。


8. シンポジウムより:慢性疼痛に対する運動療法:

(神戸学院大学総合リハビリテーション学部、松原貴子)運動療法は運動器疾患だけでなく、糖尿病、メタボリックシンドローム、がん、 発達障害など様々な疾患や症状に対して良好な効果を上げており、運動は最良の薬と称される。運動は、従来の筋力増強のような末梢筋ト レ効果だけでなく、中枢神経系にも多大な影響を及ぼし“脳トレ”効果も発揮する。運動は、運動処方の原則である頻度(Frequency),強 度(Intensity),時間(Time)、種類(Type)の4因子(FFITT)に基づき構成する必要がある。今回、慢性疼痛の運動療法として、従来 の筋トレより脳トレ要素が重要視される最新の運動モデルとその作用機序、処方の実際について検討した。


9. シンポジウムより:変形性室関節症に対する運動療法:

(信州大学リハビリテーション科、堀内博志)変形性膝関節症では、大腿四頭筋の筋力低下は膝関節の安定性に負の影響を与え、疼痛などの 愁訴を憎悪させる。膝OA症例において下肢筋力訓練は疼痛軽減や膝機能の改善に有効な保存療法となりうる。人工膝関節置換術(TKA)の患 者では、出来るだけ早期から歩行訓練や膝関節可動域訓練を行うことが重要であるが、術後の炎症の強い時期に過度な運動療法をおこなう と中枢性感作が起こり、術後遷延疼痛なに結びつく恐れがある。術後2週までは筋緊張の緩和や歩行訓練などを中心に行い、筋力訓練はそれ 以降に積極的に行う方針としておる。


10. オピオイドという悪魔の本性:

(獨協医科大学麻酔科、山口重樹)オピオイドは侵害受容体の抑制や下行性抑制系の活性化により強力な鎮痛効果を発揮する。エジプト時代から オピオイドは神の薬ともいわれており、正岡子規が人間失格にかいているが「アルコールというサタンから逃れられることのできる喜びもあり、 何の躊躇もなく、自分の腕に、そのモルヒネを注射しました。不安も、焦燥も、はにかみも、綺麗に除去せられ、自分は甚だ陽気な詭弁家になる のでした。その注射をすると自分は、体の衰弱も忘れて、漫画の仕事に精が出て、自分で画きながら吹き出してしまうほど珍妙な趣向が生まれる のでした。一日一本のつもりが、二本になり、四本になったときには、自分はもうそれがなければ仕事ができないようになっていました。」患者 の深刻さを現しています。オピオイドクライシスの背景となっています。



筆者一言

 痛みは身近であり、痛みをその原因から痛みを発生しない、感じない状態、苦痛のない状態にすることはなかなか難しい問題です。急性の痛みに は何とか対策もありますが、慢性疼痛にたいしては、今回の話題でも取り上げていますが、日常生活の中に対応の要点があるものと思います。私の ホームページは私自身に大変に役立って来ました。これからも皆さんの役立つページでありたいと思います。



一口メモ

 2020年からガラッと世の中が変わり生活が変わりました。
マスクをすることが当たり前になり、大きな会社が大きなビルを保有し多数の社員が出勤するのが当たり前だったのにビルを売却し基本は在宅になり、 店舗の袋が有料が当たり前になり、テイクアウトが多くなりウーバーイーツが流行りました。
 オリンピックがどうなるのかなど今年も今までの当たり前が当たり前じゃなくなることもありそうですが、 今を楽しみながら生活しましょう。新しい趣味や目標を探して前進したいですね。
皆さんも今の生活の中で新しい楽しみ見つけていますか?





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