今月の話題〜5月〜



 今月の話題は、先月と同じ2019.2.19に岐阜で行われた日本慢性疼痛学会総会の一般演題より興味のあった報告に ついて主に抄録からですが選んでみました。痛み全般ですが少し偏っていつかもしれません。



1. 仙腸関節障害における腰仙移行椎について:
(東邦大学医療センター。伊藤圭介、他)仙腸関節障害は多彩な症状を呈し、部位により騒擾が異なります。仙腸関節障害に腰仙移行椎の合併は一般的合併率より多く認められ、仙腸関節障害の部位に高周波熱凝固術を行い、疼痛寛解がえれている。

2. 仙腸関節障害が原因と考えられていた腰臀部痛に対して上殿皮神経ブロック「が著効した一例:
(東京医科だ学麻酔科、浜田隆太、他)仙腸関節障害が原因と考えられいた腰臀部痛に上殿皮神経ブロックが著効を得た症例を経験した。

3. 種々のブロック治療が無効であったL3圧迫骨折後の腰痛に固有背筋ブロックが著効した1症例:
(奈良県立医科大学麻酔科・ペインクリニック:(木本勝大、他)L3圧迫骨折後の疼痛で硬膜外ブロック等で痛みの改善がなく、透視化固有背筋ブロック(L3横突起中央下端部左右に0.5%メピバカイン5ml、デキサメサゾン0.82mg、ネオビタカイン5mlイオヘキソール2mlえお注入で著効あり、5回の注入で仕事可となった。

4. スマトリプタンによる薬剤性頭痛にたいして心身医学的アプローチが奏功した1例:
(関西医科大学心療内科、坂崎友哉、他)50才女性で、スマトリプタンが片頭痛に著効あり、月に40錠から50錠服用するようになっていた。家事と仕事をこなさなければならず、頑張りが強くスマトリプタンの服用回数が多くなった。家庭環境から切り離し、仕事の必要性を軽減して、スマトリプタンの服用回数が減少した。

5. 三叉神経痛に対するガンマナイフ治療前の心理療法的説明による超早期制御効果:
(済生会熊本病院脳神経外科、山本東明、他)三叉神経痛の治療にガンマナイフは、70〜90Gyを三叉神経の脳槽内走行部或いはガッセル神経節に与えることにより80〜90%程度の疼痛緩和効果が期待される。一般的に効果発現には数週間ないし数か月をようするとされている。「このガンマナイフで治療直後から確実に治ります」と心理療法的説明を術前に行うと8名の中4例で直後から疼痛緩和し23カ月続いているが、説明しなかった69例では直後からの効果は1例のみであった。治療前の心理的説明はガンマナイフの治療後効果発現に時間を要する欠点を補う可能性がある。

6. 鍼治療は慢性疼痛の治療として有効か?文献レビュウ:
(帝京平成大学ヒューマンケア学部鍼灸学科、皆川陽一、他)慢性疼痛の治療ガイドラインに鍼灸治療の記載はない。針治療について文献的に検討してみた。針治療は重篤は有害治療はなく、短期的な疼痛軽減と機能改善を報告する文献が多かった。針治療は研究デザインなどから強く推奨するほどのエビデンスを得られないものの、疼痛軽減などの報告がおおく、慢性疼痛治療の一つ選択しになる可能性が考えられた。

7. 針通電器のパルス幅の違いによる感覚、鎮痛効果の検討:
(平成医療学園専門学校鍼灸師科、齊藤真吾、他)パルス幅の違いは、1Hz,1mA,200μsの刺激を1分間行い、幅を50μsにして1分間刺激して比較と、同じ違いの刺激を15分間刺激した場合の比較を行った。しびれについて差異が見られたが、鎮痛に関しては差が見られなかった。

8. 当院における頚椎症に対する漢方薬治療の試み:
(佐賀大学ペインクリニック・緩和ケア、上村聡子、他)頸椎症の患者に葛根湯製剤7/10、柴胡剤1/10、駆お血剤7/10,利水剤1/10であった。有用性を認めた。

9. 麻酔科でもできる慢性疼痛に足する認知行動療法:
(獨協医科大学麻酔科、木村嘉之、他)87才女性で何とか歩行可で、押し車で歩っていた痛みがあり、「何もできない」から「様々なことが出来る」方向への行動変換で日常生活がいたみの訴えも少なく生活が可となった。

10. 肩こりに対して、生理食塩水を用い筋膜剥離術を施行した4症例の検討:
(信州大学麻酔科、坂本明之、他)月に2〜4回、echoを用いて筋膜を同定し、トリガーポイントの筋膜上に生理食塩水を1〜2mlずつ経20〜30mlを注入した。サリチル酸ヂプカイイン配合のトリガーポイント注よりも有効であった。

11. 磁気がヒト毛細血管に及ぼす影響:
(関西医療大学保健医療学部ヘルスプロモーション整復学科、谷口典正、他)ボランチアの肩こりのある人での研究で、円形磁石(80mT)を肩こり部に6個貼付、偽変形磁石(0mT)で比較し、磁石暴露で肩こりの改善と皮膚温の上昇が認められた。

12. 運動はどれくらいの期間継続すれば主観的な疼痛症状を改善できるか:
(池田リハビテーション病院、中田健太、他)慢性頚腕痛の患者で下肢ペダル運動を行い検討した。運動開始2週目頃より痛覚感受性低下や中枢陥ンさの抑制のような疼痛調節機能の変化が先行し、それより遅れて4週目頃より主観的な疼痛症状の改善が得られた。運動のアドヒアランスと効果発現期間についての十分な教育をしたうえでの運動の実施が有効性を高める。

13. 慢性疼痛(線維筋痛症)の発症要因:酸化、糖化、血行動態、:
(国際全人医療研究所、永田勝太郎、他)線維筋痛症では、患者固有のいきざまが発症原因にある。それがホメオスタシスを歪め、機能性身体症候群(FSS)としての慢性疼痛を創ってゆく。機能性身体症候群はその病態は可逆的であるので、原因を見いだし、正しい治療を行えば健康を回復できる。

14. 慢性疼痛における鎮痛剤全般の有効性の比較:
(汐田総合病院整形外科、佐々木正造)効果の最も高いのはトラマドール、メフェナム酸が高かった。

15. 帯状往診後神経痛を起こす要因とトラマールの有効性の検討:
(弘前市立病院、工藤明)帯状疱疹後神経痛を起こす因子は、高齢、発疹自覚後治療開始まで3日以上電撃痛、うつ状態であった。帯状疱疹後神経痛を起こす因子にたいしては当初よりトラマールを使用した方がよい。




筆者一言:
 治癒する痛みは慢性疼痛ではなく、慢性疼痛は如何にして痛みによる苦痛を軽減し、日常生活を可能にして行くかが肝心なところです。 痛みの治療に関与している我々は、患者さんの中にそのためにいかにして解決点を見だし、有効に様々な方法を駆使して行くことになると 思います。痛みに対するよい方法を見だせず苦労することも多いのですが、このような学会での発表の中に多くの示唆に富む研究、意見があります。



一口メモ

 令和元年に突入しました!
これまでの日本の元号は、全て中国の古典からの由来だったそうで、今回の「令和」は、初めての日本の古典が由来!
万葉集「梅花の歌」初春の令月にして、気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫す。
から採用されたそうで、春の訪れを告げ、見事に咲き誇る梅の花のように一人ひとりが明日への希望とともに、 それぞれの花を大きく咲かせることができる、そうした日本でありたいとの願いが込められています。 本当にそうあればいいなと思います。


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