今月の話題〜9月〜



 今月の話題は、8月21日から4日間京都で行なわれたプライマリ・ケア 関連学会連合学術会議より、家庭医、総合医について、今、どんな形が考 えられているかを選んでみました。



1,
家庭医とは?:
(河北総合病院、一戸由美子)家庭医とは、Generalistとして幅広い知識と技術を習得し、 年齢・性別・疾患を問わずに、患者の相談に乗り、適切で全人的なプライマリ・ケア(初期診療の継 続)を実践する医師。
(自治医科大学、三瀬純一)地域住民と患者のニーズに的確に応え、合理的で温かな、信頼される保 健医療サービスを自ら提供できる、そして、介護や福祉・産業振興・文化までふくめた幅広い分野の ひとびとと協働できる医師。

一言: 幅広く考えられており、研修の幅も広くなり研修方法、場所、指導者等問題も多いが、各地 の医師、病院、診療所等が、それぞれに考え、実践し、家庭医、総合医を育てている。



2,
研修項目:
実地医療に必要な診療知識、技術を幅広く必要とする。前期2年が一般診療、後期3年はより高度な 実際の診療についての研修となります。
 (沖縄県立中央病院、木村和久)総合内科、内科各科、小児科、外科、産婦人科、救急、整形外科、 皮膚科、耳鼻科、眼科、精神科、泌尿器科、放射線科、臨床・生理検査など。基幹病院、離島診療所。
 (松前町立松前病院、木村慎司)内科、プライマリ・ケア外来、整形外科、皮膚科、眼科、耳鼻科、 精神科、小児科

一言:各研修施設で、研修に工夫がなされ研修生を確保し、良い研修をして貰うように努力しています。



3,
施設の特性:
 (沖縄県立中央病院、木村和久)離島診療所の研修が組まれており、インターネット回線の利用、 テレビ会議の活用が行なわれている。
 (福島県立医科大学、葛西龍樹)研修の中に海外との交流が組まれている。海外医療機関の訪問、 海外家庭医療先進国からの専門家招聘。
 (ファミリークリニックなごみ、大島民旗)大阪の淀川区の都市住民構造の中で、都市型の家庭医 を目指す医師の研修。

一言: 各研修施設で、施設に合った、そして地域の特性に合った研修を組み入れている。



4,
研修施設:
 多くの場合は、中心となる総合病院、関連中小病院、診療所、介護施設などが協力しながら 研修を行なっています。研修を終えた知識、技術を得た医師が実際の診療の場で生活、経済 的、社会的に、それなりの場が得られるかどうかはこれからです。健康保険制度、医療制度 の中に家庭医、総合医として組み入れられる必要があると思います。この問題についてのシ ンポジウムもありました。

シンポジウム:地域医療の充実を目指した総合医、家庭医の認定制度をめぐって
高久史磨(自自医科大学)      青沼孝徳(全国国保診療施設協議会)
山田隆司(日本家庭医学会理事)   渡辺俊介(日本経済新聞)
小泉俊三(日本統合医学会)     前沢政次(日本プライアマリ・ケア学会)
家庭医・総合医が、社会的に認められ、健康保険の中にも組み込まれるためには、専門医の認定制度 も考える必要があり、そのための研修制度の確立も統一された基準が必要である。



筆者一言 総合医は、地域の病院でも総合内科というような形で、実際に取り入れられ、診療がなされています。 我々、診療所も関連病院の何科に紹介するべきか不明の時があり、そんな時に大変助かっています。 今は総合病院の中ですが、その内に認定家庭医という形で、一般診療の中心になって行くのかも知 れません。われわれが、医師になる頃は、インターン制度はありましたが、医師免許がなく十分な 研修ができない状態でしたので、今回取り上げた家庭医、総合医の研修内容を見ると羨ましいと思 います。若い医師の皆さんが、色々な専門医のコースを選ばれる時に、選択肢の幅が広くなったと 思います。頑張って下さい。




一口メモ

民主党マニフェスト高速道路無料化?そんなお金をどこから。本当に出来るんでしょうか。 選ばれたからには実行してもらわないとですね。しかし、エコカー増えたと言っても まだまだなのに高速道路無料化もいかがなものなんでしょう。



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