今月の話題〜9月〜

今回は8月17日から23日までイギリス北部スコットランドのGlasgouで行なわれたIASP(世界疼痛学会)に出席しましたので、その中から話題を選んでみました。
Glasgouはワットが蒸気機関を作った所で、産業革命以来発展した町ですので、観光はほとんどなく、間に周辺の古城を訪ねたことが観光でしょうか。
この学会で取り上げられたPHN(帯状疱疹後神経痛)についてのシンポジウムを取り上げてみます。




1,  Herpes Zoster and PHN: overview of epidemiology, pathophysiology and management (the Pain Evaluation and Treatment Center in France, Nadine Attal, MD )帯状疱疹(HZ)は水痘疱疹ウイルスの再活性化で発症するが、一般的なこの疾患の発症率は10〜20%とされる。統計の取り方によっては30%に近いとする数字もある。HZの罹患後の合併症である帯状疱疹後神経痛(PHN)の発症は、50才以上のHZ罹患で25〜50%の発症といわれる。
 PHNは典型的な神経因性疼痛と言われるが、痛みの性状の所見から他の神経因性疼痛と病因的に区別されると考えられる。PHNではburning pain と brush-evoked painが、他の神経因性疼痛より多く90%以上に高い割合で認められる。逆にdeep pain paraesthesia/dysaesthesiaに欠ける。一度完成されたPHNは難治であるが、治療としては、三環系抗欝剤、gabapentin,pregabalin, 局麻剤の使用、オピオイド、高濃度のcapsaicin patch, ボツリヌス菌毒素の皮内投与が考えられ、用いられている。



2,  What is the nature of suffering in herpes zoster (Duke University、Geriatrics. Kenneth Schmarder, MD)帯状疱疹では、痛み以外に、視力障害、筋力障害が認められるが、痛みが重要な合併症である。痛みは全身倦怠、食欲不振、体重減少、不眠症、鬱状態、社会的な疎外感、社会的活動の障害を来す。HZの急性期の痛みも日常生活上の障害を来す。



3,  Vaccination to prevent herpes zoster and PHN, benefits and challenge (Barts and the London school of Medicine, Judith Beuer MD) 帯状疱疹(HZ)の発症は60才以上の30%に達する。HZは水痘ウイルスに関する細胞免疫の低下により発症するので、水痘ウイルスのワクチンは免疫を高め、HZとその合併症の発症を予防出来るのではないかと考えられ、今回、SPS(the Shingles Prevention Study ) を60才以上の38,000人でダブルブラインドスタデイを行なった。ワクチンはHZの発症を減少させ、HZを発症した例ではその程度と疼痛を61%軽減させた。HZの内で71%で痛みが長期に遷延することを阻止することが出来た。HZワクチンに重篤な合併症はなかった。水痘ワクチンはHZ、PHNの予防に有効な手段である。




筆者一言
帯状疱疹後神経痛が完成するとその治療が難しいのは世界共通の問題であり、今回は予防は可能かという問題について検討したシンポジウムであった。水痘ワクチンは帯状疱疹、帯状疱疹後神経痛予防手段として有効性が高く、副作用も少ない有用な手段であるとの報告です。帯状疱疹の予防に高齢者にワクシン接種というのも、日本ではまだ問題のように思われますが、帯状疱疹後神経痛の問題がここまで来たかと思われました。




一口メモ

いきなりの首相辞任に、弟子力士薬物陽性で親方辞任、三笠フーズ汚染米流通に、不安定気候・集中豪雨。波乱続きな感じです。
先日、郡山市長さんが市民数が減っていると嘆いていらっしゃいました。少子化もあると思いますが、最近言う程、少子な気はしませんね。回復するといいですね。



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