今月の話題〜8月〜

今月の話題は、今年の7月18日から3日間福岡で行なわれた日本ペインクリニク学会よりえらんでみました。(リフレッシャーコースより)




1, 鎮痛補助薬;(日本大学麻酔科、加藤実、他)鎮痛補助薬はがん性疼痛の管理に止まらず、難治性疼痛、 とくに神経障害性疼痛に対して積極的に使用されるようになってきている。抗うつ薬、抗けいれん薬、ナトリウムチ ャンネル遮断薬などについて多くのエビデンスが明らかにされてきた。

一言;実際の臨床では、どの薬剤をいかに選択し、使用するかが問題で、大切である。



2, 頭痛の診断と治療;(昭和大学横浜北部病院麻酔科、岡本健一郎)頭痛の治療に使用さ れる神経ブロックとしては、頸部硬膜外ブロック、三叉神経ブロック、後頭神経ブロッ ク、頸部神経根ブロック、頸椎椎間関節ブロック、後頭環椎椎間関節ブロック、耳介側 頭神経ブロック、トリガーポイントブロックなどが使用される。

一言;実際には、有効で安全なブロックの選択が大切である。



3, 局所麻酔薬の神経障害;(島根大学手術部、佐倉伸一)1991年の持続脊髄クモ膜下麻酔 後に発生した馬尾神経症候群の報告が契機となり、局所麻酔薬の神経障害の発生の可能 性が知られて来た。使用する局所麻酔薬の種類や高濃度局所麻酔薬の使用と血管収縮薬 が原因として考えられる。局所麻酔薬の投与部位による影響は、クモ膜下腔、硬膜外腔 、末梢神経周囲の順に障害を受けにくい。

一言;臨床の場では、ブロックに使用した局麻剤による神経障害は医療訴訟になる場合 もあり、留意する必要がある。



4, COXと脊髄;(大阪医科大学麻酔科、南敏明)アスピリンを始めとする非ステロイド性 消炎鎮痛剤(NSALD)の作用機序はプロスタグランジン(PG)H合成酵素(COX: cyclooxygenase)阻害し,PGの合成阻害であるであるという。PGE2とPGI2は内因性発 痛物質というよりも痛み受容器の感受性をたかめると考えられる。脊髄においてPGD2 とPGE2は、サブスタンスP、グルタミン酸を介して痛覚過敏反応を引き起こす。PGが グルタミン酸を遊離し、一酸化窒素を発生させ、アロディニアを誘発、維持する。

一言;臨床の場での利用が期待される。




筆者一言
痛みに関する専門家の集うこの学会には、さすがに興味ある発表が多くあった。
今回はリフレッシャーコースから痛みの治療として一般的に用いられておる療法の 纏めから最近の考え方を中心に触れてみました。基礎と臨床が混じており、面白く感じ ました。神経ブロックはブロックとして臨床の一つとして取り上げられ、基礎は基礎と して臨床と結びついた形で取り上げられていました。出来れば次回にもこの学会からと りあげてみたいと思います。




一口メモ

いよいよ8日からオリンピック始まります。「靄かかった空気」も「食事」も心配です。 練習中に正体不明の悪臭が充満とか嫌がらせに思えてしまう最近です。 選手の皆さんには、挫けず頑張って欲しいです・・・。
そして竹島問題はネット上で話題ですね。内容は攻撃的だったりもしているようです。
身近では33℃を越えた猛暑日&雷雨続きです。先日下水工事の方が流されていました。
かるく熱中症になる人も周りにいました。気をつけましょう。



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