今月の話題〜5月〜

今月の話題(2008.5.)は、最近話題の禁煙外来について取り上げてみました。


2006年の4月からニコチン依存症管理料が新設され、禁煙治療に保険が適応になりました。ニコチンパッチが主な治療手段でしたが、 今年の5月からチャンピックスという禁煙に適応のある内服薬が保険適応なり、禁煙治療もより有効度が高くなってきており、当院でも、 4月から禁煙クリニックを開始する予定です。是非、禁煙をしてください。タバコの害と新しい禁煙治療薬チャンビックスについてとり あげてみました。



1,たばこの害は、タバコにより発生する血液内の一酸化炭素と、タバコに含まれるニコチンによるものに大別されます。

1)COの意味

*COはへモグロビンとの親和性が酸素の200〜300倍である。空気中にCOが0,08%(800PPM)あればCOHbは50%となり 酸素供給が半減する。
COHb50〜60%で精神錯乱、意識混濁をき、70%を越すと死亡する。

2)たばこと一酸化炭素

a)非喫煙者のCOHbは0,6%〜0,8%であるが、一日20本程度の喫煙者ではCOHbが3〜6%、ヘビースモーカーでは10%に達する事がある。

b)COHbの半減期は3〜4時間と言われ、安静時で血中の0CO含量の半減期は5時間20分、呼気中のCO濃度半減期は数時間から8時間である。

3)タバコの科学

@能動喫煙
a)美容とたばこ:スモウカーズフェイス(喫煙者顔貌)、紫いろ、オレンジ色、あるいは赤みがかり、しみのある萎縮した皮膚、 目や口唇から放射状に深いしわがあり、やつれて病的に見える。歯肉は黒ずんでみえる。

b)発ガン:肺がん、喉頭癌、鼻腔、大腸癌など

c)COPD(慢性閉塞性肺疾患):COPDの90%はたばこが原因である。

d)血管、血液(心筋梗塞、脳卒中):喫煙は動脈硬化を進展させ血栓形成を促進させ、急性血管閉塞の原因となり、急性冠症候群 や脳卒中を引き起こす。

A受授動喫煙
a)環境汚染の一つである。たばこの有害成分は無臭である。

b)胎児、子供の受動喫煙

c)妊娠中の喫煙:切れやすいとかよくトラブルを起こすなどの攻撃的行動(ADHD)

d)おとなの受動喫煙:日常生活の受動喫煙は毎日10本喫煙者と同じ心臓病のリスク




2,新しい禁煙治療薬―チャンピックスー

この4月に健康保険が適応となる禁煙治療薬:チャンピックス:がファイザーから出る予定です。

1)脳内の中脳にあるα4β2受容体(ニコチン受容体)に強い親和性を有し、ニコチンが受容体と結合するとドパミンを放出し快感や 報酬感をもたらすので、この働きをブロックすることによりタバコを吸うことの満足感を減少させ、ニコチンの離脱感の軽減を得るという。

2)副作用としては抑鬱などの精神症状がある。妊娠、授乳婦、精神疾患の場合はデータがないので、使用を避ける。嘔気が29%に見られ るので吐き気のある時は吐き気止めを併用。

3)投与方法(必ず食後に服用)
      1〜3日    0.5mg     1回/日
      4〜7日    0.5mg     2回/日
      8日以降    1mg      1回/日

4).12週、5回の禁煙治療で終了。

(資料:1)禁煙学、日本禁煙学会、軟産道。2)禁煙煙治療特集より、南山堂。3)新禁煙治療薬チャンピックス、薬剤説明書、ファイザー製薬。)




筆者一言
喫煙の影響は、本人以外に周辺に人々にも影響を及ぼす環境汚染ですので、是非禁煙したいものです。 今回の5月8日から、喫煙補助薬剤“チャンピックス”の保険適応になるのを契機に当佐々木医院でも 禁煙外来を開設することにしました。是非、禁煙に成功して欲しいと思います。但し、この薬も魔法の薬ではなく、 喫煙本人にタバコを止めることへの意志が大切であり、欠かせないことです。




一口メモ

「余命一ヶ月の花嫁」ご存知ですか?乳がんで24歳で無くなった千恵さんのドキュメンタリー。
余命一ヶ月と知っていた彼と父が看病する間、友人が千恵さんの夢であるウエディングドレスを着せるために模擬結婚式を あげる。その1ヶ月後、千恵さんは亡くなった。
ピンクリボンが、さらに広がったのは、この千恵さんのニュースや学校での公開の後のように思います。女性の癌の中で1番多い、 若ければ若いほど進行が速い。今月は千恵さんが亡くなって1年。たくさんTVで取上げられると思います。是非皆さん、見てください。
「健康」であること「生きている」ことの再確認と、「自分は大丈夫」という考えを捨て体の異変を感じたら病院にいくこと、毎日悔いの無いよう 思うように生きること。色々考える機会をもらえます(^−^)



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