今月の話題〜10月〜



今月の話題は、第57回日本東洋医学会(大阪で、今年6月23日から25日にかけて行われた) で発表された一般演題の中から選んでみました。



1、半夏厚朴湯の使用目標に関する一考察;(千葉大学、関矢信考、他)半夏厚朴湯は咽中炙臠を主要な証として、 使用されるが、この証を伴わない症例でも、胃部停滞感、胃内停水、胃部膨満感、ガスの滞留に加え、肩甲間部の違 和感症例に効果がある。
 *一言;肩甲間部、背部に違和感、熱感を訴える患者さんは多く、しかもその治療は難しい場合が多い。この方剤の 効果は期待できると思われます。


  2、放射線治療による頭頚部急性粘膜炎に対する甘草潟心湯の効果の検討;(富山大学、酒井伸也、他)放射線治療に よる口腔内、咽頭の急性粘膜炎に、甘草潟心湯投与が効果があり、治療期間を通して経口摂取を可能とした。
 *一言;治療の困難な口内炎に度々遭遇します。この方剤の効果は期待できると思われます。


3、桂枝茯?丸の子宮筋腫及び子宮内膜症に対する有用性について;(レディスクリニックハヤシ、林知恵子)有用以上で 50%、やや有用を加えると90%以上の効果を認めた。自覚症状では、下腹部痛(月経時)、腰痛(月経時)で有意な効 果が認められ、筋腫縮小例が17,1%に認められた。
 *一言;以前から桂枝茯?丸は、子宮筋腫に効果があるといわれてきていましたが、最近のデータの報告でしたので、取 り上げてみました。


4、思春期不定愁訴症候群に対する建中湯の効果;(横浜朱雀漢方医学センター、熊谷由紀絵、他)13〜17才の女児で 、めまい感、頭痛(起立性調節障害)、腹痛、月経困難症、皮膚掻痒症等の不定愁訴に当帰建中湯が特に有用であった。
 *一言;最近、子供達の不定愁訴に遭遇することが多い。当帰建中湯を投与して見てはどうでしょうか?


5、漢方薬の減量が奏効した3症例;(北里研究所、早崎知幸、他)漢方薬を1/3〜1/6量に減量することにより症状の 軽減を得た例があり、漢方薬は用量依存的ではないものも多いと考えられる。
  *一言;漢方薬の投与方法についての検討がなされています。漢方は、必ずしも、一日3回の投与でなく、一回1/3 量の投与で十分、かえって効果があることを時々経験します。患者さんに合わせて、漢方薬の投与量、投与時間を考える 必要があると思います。


6、再発性アフタに半夏潟心湯合黄連解毒湯が有用であった一例;(小澤歯科医院、小澤夏生、他)再発性アフタ性 口内炎に効果があった。
 *再発性アフタ性口内炎には、黄連解毒湯の効果が認められていますが、半夏潟心湯合黄連解毒湯の投与がよいとの報告です。 投与を試みられてはどうでしょうか?


7、変形性膝関節症にたいする?以仁湯の効果;(足利赤十字病院、田島康介、他)変形性膝関節症の疼痛は関節軟骨の 変性を基盤に生ずる二次性滑膜炎である。筋肉の緊張を緩和し血液循環障害を治すことを方意とする?以仁湯は良い適応となる。
 *一言;変形性膝関節症には、越婢加朮湯などが使用されて来ましたが、関節リュウマチなどに使用される?以仁湯が良いと のことです。




筆者一言
学会報告の一般演題の中にも興味ある報告があり、今回取り上げてみました。ここに取り上げた演題の内容を応用すると、 現在、外来で治療に困っている患者さんに役立つ方向が示されていると思います。ここに取り上げなかった演題にも、鍼 灸関係の報告、漢方の歴史的考察、中韓医学との問題を取り上げたもの、等等多く興味ある演題が見られた。日本漢方のE BMを積み重ねて、国際的にも評価され、認められる日本漢方として行きたいものと思います。




一口メモ

さて、10月です。
携帯電話ナンバーポータビリティー始まります。厳密には24日からですね。なんと携帯会社を変えても番号そのまま! ただ、メールアドレスは変わってしまうそうです・・・。
他社に変えるのに、今までは今までの携帯の解約金と、新しく加入する携帯の加入手数料が必要でした。 ナンバーポータビリティは、それにプラス2100円(番号持ち出し金)を払うだけで番号ごと他社に移動できます!

凄く気になる・・・予想外のソフトバンク。契約数が少ないようですが、24日以降増えるのか減ってしまうのか(^−^;




「今月の話題」バックナンバーへ