今月の話題〜7月〜



今月の話題は、6月16日、17日、18日の3日間金沢市で行われた全日本鍼灸学会より選んでみました。


出席者の大部分は、鍼灸師の方々でししたが、若い人達が多く集まって来ており、これからの鍼灸の発展に期待したいと思いました。 話題は多岐に渡って多数ありましたので、全てを聞くのは困難ですので、その中から自分で聞いた演題の中から興味のあったものを選 びました。日中韓の鍼灸と世界(主に欧米)との関連について述べた二つの発表を見てみました。


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欧米におけるAcupuncture事情と日本鍼灸の課題;(筑波技術大学保健学部、山下 仁)、鍼灸の普及率は東アジアの方が、 欧米よりも高いが、医学文献データベースに収載される針治療の臨床試験論文(ほとんど英語)は欧米諸国の方が多い。日中韓の国内 では鍼灸に関する論文が自国語で発表されているために、これらがいかに優れていても“国際”的にはほとんど認知されないのが実情 である。

    針の利用率  日本     6%
             オーストリア 2%
             イギリス   1,6%
             アメリカ   1,1%
             イギリス   4%

    鍼灸の資格  フランス   医師
             ドイツ    医師
             日本、イギリス  医師、鍼灸の専門師
             アメリカ、オーストラリアは、他国の資格を持っておることこと。

    鍼灸理論   日本        日本鍼灸
             アメリカ       中医学
             イギリス       中医学

 Medline の取り上げ論文全体で600あるが、中国が60(10%)であり、日本は1%である。NIHの統合医学の中で取り上 げた論文の中に日本の論文はない。

*欧米でも鍼灸の利用は、筋骨格系の疾患が多い。
*ドイツの論文で、針の効果について、偽針と鍼灸との間に差が無かったという。


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“現代中医鍼灸学の形成に与えた日本の貢献”;(茨城大学大学院、真鍋 誠)、中国の鍼灸医学が順調に発展してきたかというと必ず しもそうではなく、1822年には宮廷医院内で鍼灸科が廃止されてから、鍼灸はほとんど民間療法になっていた。
 一方日本では明治維新以降も鍼灸師の形で、近代医学の教育も受けた形で存続し、研究もなされていた。1925年には中国医学校での中医学の教育が禁止 された。1949年からの新中国では、日本の伝統医書ブームが起き、柳谷素堂、代田文誌、長浜善夫、赤羽幸兵衛、本間祥伯、間中喜 雄等の著書が翻訳出版された。承淡庵は1934年に東京高等鍼灸学校等を参観し、帰国後中国鍼灸学校を設立した。その門下生が中国 各地の中医学院で教鞭を取り、1960年に刊行された中医学院の統一教材も編纂している。この第一版教材が、現代中医学の骨格を築 いている。
 6世紀に中国医学が朝鮮半島を経由して日本に伝えられ、その後、日本の医学の基本となって来たが、日本が中国医学に何等かの影 響を与えた時代もあったことは、興味深い。



筆者一言 鍼灸も、近代科学の検討を受け、鍼灸が現在のように国際的に、世界的に利用されて来ると、世界に認められる学問として理論付けさ れる必要にさらされて来ている。歴史的に日中韓で鍼灸、湯液の理論、治療方法とも相違しておるが、それぞれに研究、切磋琢磨し発 展してきたので、優れた論文が多くあるものと思われますので、その理論、診療上の問題を検討し、世界に認められる論文とし、英文 で発表していくことが大切と思われる。日本の鍼灸が、中国の鍼灸に影響を与えた時代もあるように、日本の鍼灸の研究、臨床の積み重 ねも英文で、世界に問うことが必要と思われる。アメリカのNIHの統合医学の論文の中に、日本の鍼灸の論文が一つも無いことは淋しい 限りです。




一口メモ

王監督が入院&手術にも驚きましたが、7月に入ってのニュースはテポドン。
ただただ怖いですね、何を考えてるんでしょ・・・。過去を含めて今までの実験は幸いにも日本海や太平洋に落ちてますけど、 ちょっとずれれば直撃なのに。
今月は北朝鮮ニュースに釘ずけです。



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