今月の話題〜6月〜



今月の話題は、5月13日〜5月14日に名古屋で行われた日本プライマリーケア学会より選んでみました。


@ テーラーメイド医療:ゲノム、遺伝子研究の医療応用の現状と課題;(国立循環器病センターバイオサイエンス部、森崎隆幸)

ヒトゲノムの配列情報は解読され、2万数千個の遺伝子の存在が明らかとなりました。ほとんど全ての病気は、個々人の有する“遺伝素因” と環境、生活習慣などの“環境因子”の両者の組み合わせにより生ずるので、遺伝素因の本体である遺伝子は疾患原因の“かなめ”であり、 ありふれた疾患についてまで、推進されています。遺伝子情報は個々人の疾患の特性、薬剤の応答性を提供し、遺伝子情報を医療に用いる “テーラーメイド医療”の実現に画期的役割を期待されています。但し、遺伝子情報の解明は、保険加入、結婚の際の差別などの社会的、 経済的な不利益につながることもあり得ます。個々の遺伝子情報は究極の個人情報であるとともに、その人の将来についての予測すら可能 にする情報を含んでいますので、倫理的、法的、社会的諸問題を含め論じていく必要がある。


A リハビリテーション病院における歯科による摂食、嚥下リハビリテーション;(藤田保健衛生大学医学部歯科口腔外科、永田千里)

リハビリテーション、緩和ケア、高齢者医療を中心とした病院で口腔環境の改善によるADL、QOL向上に対する歯科の対応について 検討した。原疾患や障害度、リハビリテーションに合わせて、専門的口腔ケアは大切で、口腔内の清掃状態やう蝕、義歯、歯周疾患の状 態、患者のブラッシングなどについて病棟と連携する。又、言語聴覚士とは、嚥下造影や、口蓋床、軟口蓋挙上装置などの補綴装置の作 成などを行っている。多職種間の連携が必須と考えている。


B 後発医薬品の採用状況について;(大阪府医師会、吉本裕、他)

大阪府医師会で行ったアンケート調査をまとめたものである。診療所長1,172名、病院長1,268名、勤務医1、268名で、後発品をすでに “採用”が、診療所長60,8%、病院長64,5%、勤務医47,1%、採用の予定なしが、診療所長24.2%、病院長15.0%、勤務医25.2%であった。 採用しない理由は、“製品の品質、安全面の不安”、“先発品と同等の効果があるか不安”であった。採用した理由は、“薬剤購入費を 削減できた”、“先発品と同等の効果がある”であった。政府は医療費削減を目的に、後発品の使用を促進しようとしているが、医師に は、後発品の安全性、品質管理、医薬品情報に不安が払式されていない。



筆者一言 遺伝子を臨床に利用しようという試みは、多くの学会で報告されてきており、実際に有用性を発揮しておるところもあり、 これからの分野ですが、大いに期待されると思われます。遺伝子の分野も大切ですが、高齢者を中心とした分野で、非常に 大切であるに関わらず、なおざりにされがちな口腔環境の管理についての話題と、最近マスコミを通してもよく取り上げら れている後発薬品についての話題も、日常、日々、身近に接している問題であり、示唆されることが多かった。いずれの問 題もこれからですが、早急な対応が必要な問題と考えられます。




一口メモ

シンドラー製エレベーターの事故、学校でのシャッター下敷事故などが続いております。シンドラー社は関係ないと言っているけど あまりにも事故が多すぎると思います。企業は、何故こんなに捻くれているんでしょう(T_T)
利用しているこちらは恐怖です。ドア開いたまま動いてみたり、いきなりドアが開いたり・・・そんな仕事していて「日本にもっと 提供していきたい」と思っていたとは、有り得ないですよね!!

話は変わりますが、W杯開幕です。私の予想は優勝はブラジルかドイツ。もちろん日本にも頑張っていただきたい!! 街には、なぜか青いTシャツが目立ちます。流れてくる曲も題名にブルー。12日の日本初戦が楽しみです。

12日 日本×オーストラリア
18日 日本×クロアチア
22日 日本×ブラジル




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