今月の話題〜8月〜

今年のペインクリニック学会(日本における痛みについての専門家の集まる学会)の話題から

1.硬膜外内視鏡
 背骨の中には背骨で出来た管があり、それを脊椎管といいます。その中には、頭蓋骨の中の脳から出た 脊髄という神経の柱が頚部、胸部、腰部と通っています。この脊髄の柱は三枚の膜で包まれていますが、 一番外側が丈夫な硬膜といいます。この硬膜と背骨で出来ている管との間に隙間があります。ここを硬膜外腔 といいます。脊髄の柱から出た神経はこの腔の中を通って背骨の間の椎間孔を経て手足などの抹消に行きます。 坐骨神経痛などの原因の一つである椎間板ヘルニアはこの硬膜外腔で椎間板が神経を圧迫するのが原因では ないかと言われています。痛みの原因がこの硬膜外腔にあることが度々あります。そこで、胃の検査に使われている ファイバーコープ(胃カメラと通称言われています)の極めて細かいものを作って(0.9mm)、これを硬膜外腔 に入れて、直視下(直接、目で見ながら)原因を調べ、そして治療しようというものです。これが現実に可能に なって来ており、期待されています。

2.経皮的椎体形成術
 癌などが脊椎骨に転移して、背骨が潰れたり、高齢になってからの骨粗鬆症による背骨の圧迫背骨などで強い 痛みが生ずることがあります。この時に潰れた脊椎に針を刺して、そこから骨を固める特殊なセメントを注入し 固める治療方法です。少し、副作用もあるようですが、現実に治療に使われて来ています。一つの方法として 期待されています。

3.ニューロペイシックペインとケタミン
 痛みとは何か、痛みはどうして感じられるのか、同じ原因でも痛みの強い時と弱い時があるのは何故かなど を研究した結果わかったことの一つに、中枢神経の中の神経と神経のつなぎのことろにNMD受容体の動き があることがわかってきました。幻視痛、帯状疱疹後神経痛、瘢痕疼痛症候群などのなかなか治り難い痛み には中枢神経にあるNMDA受容体が関係していると考えられています。そこで、このNMDA受容体拮抗薬 であるケタミン、デキストロメトロールファンが、効果があるのではないかと考えられ、実際に治療に試みられています。 特に、ケタミンは静注、点滴、皮下注、硬膜外注に利用され効果が認められ、実際に利用されて来ています。 痛みが、どうして体の中で作られて行き、コントロールされているかが研究されて、分かってきた事の一つ が、NMDA受容体についてです。そして、この受容体を通して働くケタミン(しばらく前から、麻酔薬の 一つとして使われています)が投与されて、治り難い痛みの治療に使われてきました。このような痛みを 形成する神経系の成り立ちについての研究が、痛みの治療に利用されてきています。期待される痛みの治療方法の一つです。



一口メモ

2004年から千円、五千円、一万円札が変わりますね!少し前に二千円札や
新五百円が出たような気もしますが・・・。 新しくする事は良いんですが、今
度は切符販売機や自動販売機などでもすぐに使えるようにしてもらわなけれ
ば困りますね。今でさえ、二千円札も五千円札でさえATMから引き出せる所
は少ないですからねぇ(−_−;  新五百円使えないこともまだまだ多いし。

ちなみに甲子園始まっております。  頑張れ!!日大東北!!