今月の話題〜3月〜



今月の話題は2月23日、24日に東京で行われた日本慢性疼痛学会より選んでみました。


1. 神経因性疼痛の分子機構;(長崎大学分子薬理学、植田弘師)、神経損傷に伴い誘導される難治性神経因性疼痛は、 鎮痛剤、強力なモルヒネによっても除痛されにくく、疼痛過敏とアロデニアが主症状です。アロデニアは触覚を伝えるAβ神 経線維と痛覚を伝えるC神経の間の機能的交差によるものと理解されている。一方、痛覚過敏は知覚神経や脊髄後角における 疼痛伝達に関係する機能分子の遺伝子発現変化として説明される。第一には、神経因性疼痛病態に無髄神経の痛み伝達機構の 低下とそれに代わる有髄神経を介する機構の亢進という表現型変換が観察される。第二は、坐骨神経障害モデルで見られるリ ゾホスファチジン酸がその初発因子となり、疼痛過敏に関する遺伝子発現上昇やアロデニアに関連する脱髄とそれに伴うスプ ラウティング(異常発芽)を誘発することが挙げられる。痛みの慢性化には、脊髄や上位脳における可塑的な神経回路の固定 化が関与すると考えられます。痛みは、複数の異なる知覚神経が同時に刺激され、空間的、時間的加重のもとに様々な表現型と して形成、認知されるものと考えられ、慢性の痛み患者の場合は、その痛み形成、認知経路が再構築されているため、その評価 は単純な強弱だけでは評価しきれず、困難となると考えられる。

2. 神経因性疼痛に対する生体内再生治療の実際;(稲田病院、稲田有史、他)、京都大学再生医科学研究所で開発さ れたPGA-Collagen tubeにより、神経欠損が組織学的、電気生理学的に再生することを実験で証明し、2002年4月から 倫理委員会の承認を受け、臨床応用し、知覚再生が客観的に証明し報告した。臨床応用を繰り返して行くうちに神経因性 疼痛に対して、有効性が確認され、根治治療が困難とされる複合性局所疼痛症候群(CRPS)にたいする臨床応用にまで適応 が拡大している。

3. 慢性疼痛にどう立ち向かうか:予防と対策;(昭和大学麻酔科、増田豊)、急性痛は痛みが疾患の症状の一つと して警告信号の役割を演ずるが、慢性疼痛にはそのような生理的役割はなく、痛みそれ自体が疾患と考えられる。炎症が持続す ると痛みの程度を増強し、領域も拡大するが、このような現象は末梢神経の感作が関わっていると考えられる(peripheral sens itization)。痛覚受容ニューロンは、繰り返し刺激、入力によって興奮性が亢進する(wind-up現象)。脊髄や脳幹では、神経 の頻回刺激後に興奮性シナプス後電位(EPSP)の増強や抑制が長時間持続することも知られている。このような中枢神経の感作(c entral sensitization)された状態では、神経細胞内でNMDA、nonNMDA受容体の活性化、c-fosやc-junの発現、次いでtarget gene 発現、ナトリウムチャンネルの発現といった現象で、これが痛みの遷延に関与している可能性がある。古から言われている痛みの 悪循環回路が痛みの増大、遷延に関与している。痛みの治療では、慢性疼痛への移行を予防すべきで、鎮痛剤はじめ神経ブロック 等を使用すべきである。慢性疼痛が成立した時点以降では、神経ブロックは思うような治療効果を挙げられない。抗うつ薬、抗痙 攣薬がもちいられる。ドラッグチャレンジテストも参考となる一つの方法であろう。



筆者一言 慢性に経過する、治りにくい痛みについて、その発生機序が少しずつ明らかになって来ており、治療法についても、手がかりが得られて来ております。すこしでも、我々臨床医が、このような痛みの最先端の情報を診療の場で、治療に役立てることが出来たらよいと思います。昨年の当学会で取り上げられた幻肢痛についての考え方は、その後の日常診療に大変役立っています。今年の学会では、もっと多くの興味ある話題があり、次の機会に取り上げてみたいと思っています。




一口メモ

オリンピック終わりましたね。荒川静香さん、かっこいいです。イナバウアーが大人気で、真似する人が多いですが(笑)
安藤さん残念でしたが、荒川さんに憧れてやり始めたフィギアですから、次のオリンピックが楽しみですね。それに、浅田真央ちゃん。 真央ちゃんは安心して見ていられるし可愛らしい。ここの所テレビでよく見ますし、CMでも^−^ 真央ちゃんのライバル金妍児さんと二人、次のオリンピックではどうなるのか今からわくわくします。二人とも15歳。 二人を見てフィギアを始める子も多いでしょうね。リンクが閉鎖されていく中、諦めずに頑張って欲しいです。




「今月の話題」バックナンバーへ