今月の話題〜5月〜



今月の話題(2005.5)は、2月に東京で行われた日本慢性疼痛学会から選んでみました。
2月にも、今月の話題としてこの学会から話題を選でおります。今回は、幻肢痛とリハビリについての話題です。



1. 幻肢(幻肢痛)をめぐって;

(東北文化学園大学、水島繁美) 1866年にMichellnによってPhantom limbについて初めて の記載がされたとされる。今日、この幻肢は四肢切断のみならず乳房切断、ペニス切断、眼、歯、舌などの切断(切除)によって も生ずることが知られており、幻肢の出現については切断者の50〜85%ともいわれ、幻肢痛の出現は切断者の10〜79%といわれる。


2. 幻肢(幻肢痛)とリハビリテーションについて;

(川崎医科大学、塚本芳久) 脳は外界情報から統計的な相関を抽出して、 リアルタイムに有用な身体モデルイメージを作り出すという原理に従って働いているという。幻肢は一種の身体イメージであり、 変容が著しい幻肢に幻肢痛が多いということは、幻肢痛の発生には身体イメージの構築不全が関わっていることが示唆される。 幻肢痛は知覚情報を適切な身体イメージという形で表せない限り続くことになる。義肢を実用レベルで使いこなしている切断者 は幻肢を実際の義肢の長さや形状に一致させている。リハビリ、義肢装着訓練は義肢の視覚像と幻肢を一致させて行くとういう ことが主眼となり、それは同時に幻肢痛対策になる。


3. 性別適合手術によるPhantom Penisの経験;

(福島学院大学、梅宮) 性同一障害の患者に性別適合手術が施術されると、 心理的に安定がもたらされる。術後にPhantom Penisの存在を知覚するものもあるが、多くは時間とともにぼやけてくる。しかし、 中にはPhantom Penisを知覚しつつ過ごしているものもおる。


4. Phantom SensationとPhantom Painをめぐってー脊髄くも膜下麻酔直後に生じた幻肢痛症例;

(東京医科大学、伊藤)  下肢切断手術の患者さんに脊椎麻酔を行い麻酔はT7まで十分に麻酔が効いておったにも関わらず、麻酔中に突然強い幻肢痛 が発生した。Midazolam 2mgでコントロ−ルされた。サイアミラールやディアゼパムなども有効という。


筆者一言; 痛みには、さまざまな面、要因、性状、程度、があり、日常診療で苦労させられることが多いが、今回の話題の中か らも考えられるように、その時の身体イメージと、知覚情報から、その人の経験、記憶されている情報から、その時の環境などから 、人は能動的に探索し整合性の取れた情報を探り、有用な身体イメージを作るという。実際の臨床において、考えさせられることが 多く、永田先生のいうsalutogenesisの考え方は幻肢痛に対応して行く上で有用で、必要な、大切な問題と思われる。




一口メモ

今年のGW付近は事故のニュースばかりですね。電車脱線・バス横転・車突込み・ヘリ墜落・・・・。
中でもJRの不祥事は次々。人の命より自分の仕事?助けを呼ぶ声より上司の言葉?おかしな会社ですね。
あの大勢の被害者を出した脱線以外にも、運転士がぼーっとして駅でドアを開閉せずに発車したりホームと反対のドアを開けたり。 JR西だけでなくJR東にも大きな事故にならずとも、おかしなことが起きていたようです。
今回のことを表向きの反省だけでなく、反省し見直し再認識し、もう同じ事や気の緩みのないよう頑張っていただきたいものです。





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