今月の話題〜11月〜



今月は、今年の日本針灸学会の一般演題から、話題を選んでみました。
私の所でも、針治療を行っていますが、90%位が痛み、こり、などの筋骨格系の原因で起こっている状態が対象となっています。 高橋が、日本の針治療は、その80%が疼痛を対象としているといっているが、この辺が、日本の針灸の現状かと思われます。 針治療の適応には、眩暈、難聴、胃腸疾患、咳、泌尿器疾患、喘息、脳梗塞、風邪などさまざまな疾患、病態もあるが、実際に、 針治療を使用することは、少ないようです。今年の針灸学会の一般演題には、針灸の大学から、実験、動物実験の報告が、多く みられました。以前の針灸学会には、臨床での報告が多かったのですが、学会も変わってきています。臨床に関係する報告から、 話題を選んでみました。


1.肩の硬さの左右バランスと自覚的肩凝りの関係;(明治東洋医学院、高野、他)、肩の硬さの左右のバランスが崩れると凝りを 自覚する可能性がしめされた。{凝り=組織の硬さ}という従来の関係は、今回検討では、明らかでなかった。

2.高齢者の慢性腰痛に対するトリガーポイント鍼治療の効果;(明治針灸大学、伊藤、他)、高齢者の慢性腰痛のうち、 筋筋膜由来の疼痛と考えられる腰痛の場合に、トリガーポイント(圧迫により最も痛みを感ずる、違和感がある、響く、 しこりがあるなどをみる点)に鍼治療を行う時に、皮膚にのみに刺入した場合と、筋肉まで刺入した時の効果を比較して、 筋肉まで刺入した時の効果の方が大幅によかった。鍼の刺入点の選択だけでなく、その深さも重要である。

3.生姜灸が下肢血流量と足底部深部温に及ぼす影響について;(大阪医科大学、松畑、他)、生姜灸による局所の反応では、 刺激側には刺激後2〜4分後に血流の増加を認めたが、反対側には、その変化は認めなかった。深部温では、温度変化を認めなかった。

4.仮面うつ病の鍼灸治療;(タオ中医研究院、箱嶌、他)、百会穴に頭頂より15mm斜刺(+極)、印堂穴(−極)には下から上に 斜刺し、低周波通電、1Hz、15分のッ刺激で、効果が得られた。

5.灸好き嫌い者における下肢血流反応について;(大阪医科大学、久下、他)、灸治療を好む者と嫌うものとで、灸治療の効果について 検討している。灸の刺激により、嫌いな群では、血流の減少がみられ、好む群では、血流の増加がみられた。

6.変形性膝関節症に対する温灸治療の効果;(明治針灸大学、瓜生、他)、膝関節周辺の圧痛の認められた点に温灸を行い、 効果が良かった。

7.腰痛に対する鍼治療の検討;(愛知地方会、甲田、他)、腰痛を筋性と思われる群と、それ以外が原因と思われる群に分けて、 鍼治療をして見たところ、筋性と思われる群で、高い効果がみられた。

次回には、西洋、現代医学の大学における鍼治療の報告について、触れてみたいと思います。




一口メモ

新潟中越地震で被害に遭われた皆様、心よりお見舞い申し上げます。
大きな地震が起きたらと考えると・・・皆さんがどれだけ怖かっただろう不安だっただろうと苦しくなります。 今こうして暖かい部屋で熱い珈琲を飲んでいるのが、なんて平和で幸せだろうと実感しました。でも、地震はいつ何処で起きるか分からないとも自覚しました。
Yahooでは、地震の履歴が見れるようになっています。結構いろいろな所で日々小さな地震が起きているんだなと知って驚きました。 もう新潟中越地震から10日経ちますが今日11月3日の午前中にも小さいですけど10回以上の余震が起きているそうです。 早く落ち着いて復興が進行する事を願うばかりです。




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