今月の話題〜10月〜



 今月は前回の今年(2015)筑波で行われた日本プライマリーケア連合学会の一般演題の前半より興味の持てた演題を選んでみました。



1. 地域枠学生が医師不足地域に定着しようとする意志と関連する要因:

(筑波大学大学院地域教育学、片岡義裕、他)全国で地域枠入学で、義務年限終了後も医師不足地域に定着するかどうかのアンケート調査 をおこなった。地方出身であること、地域枠に所属していること、奨学金を受けておること、地域枠に医師不足への貢献すること等が義務 年限終了後も医師不足地域に定着する因子の可能性を示した。


2. 家庭医療診療所群におけるQBTを用いた質評価の取り組み:

(北海道家庭医療センター、山田康介、他)7つの診療所でQBT(Quality in family practice Book of Tools)診療所が優先して取り組 むべき7項目(高血圧、脂質異常症、糖尿病初診、糖尿病再診、医療廃棄物、公正・公平なケア、プライバシー)について検討した。高血圧に ついては初診患者について評価すべき心血管系疾患のリスクや臓器障害の評価が不十分、生活習慣への介入が不十分、血圧コントロール良好は 69.3%、医療廃棄物にかんする記載が不十分などがみられた。


3. 初期研修医の救急診療では検査過剰になっているのか:

(松浪総合病院、長縄達明、他)初期研修医が問診、身体診察の段階で立てた初期診断仮設についての自信とその後の検査による初期診断仮設 の修正についてアンケート調査をおこなった。血液検査、画像診断を行った症例は87.1%、64%において初期診断仮設は約半数において変わ っていない。問診、身体診察の段階での自信70%以上は55.3%であった。画像検査で修正された腹痛の患者は19.6%であった。


4. プライマリケア医におけるヘリコバクター・ピロリ菌除菌の取り組み:

(大森医院、大森浩二)364例について、除菌内服ごPPI等のない2か月以上おいて検査、中断は5例、3例は下痢、2例は薬疹。250例が呼気尿素テ ストで行った。除菌成功71%、不成功29%、二次除菌成功88%、


5. 多剤内服の改善に向けた取り組み:

(博愛記念病院、藤本陸史、他)入院患者は検討が容易のため、入院患者で行った。中止薬の内訳で多かったのは降圧薬15%、胃薬13%、緩下剤8%、 であった。中止薬の中で降圧薬、胃薬、解熱鎮痛薬の再開が多かったが、約80%は中止しても病状に変わりなかった。新規入院患者317名の中6剤 以上多剤内服者は34%であり、本取り組み前後で内服薬は約8.1剤から4.1剤へ減少した。


6. 着衣の袖の状態が血圧測定値に与える影響:

(筑波大学付属病院、小曾根早知子、他)厚手の着衣の状態、その着衣の袖を肘までまくった状態、裸腕の状態で血圧測定値を検証した。平均年齢 は74.6才で、平均血圧で比較した。裸腕群128.7(±13.84)/68.0(10.9)、袖群132.5(±20.9)/


7. 73.0(±11.6)、袖まくり群133.1(±21.0)/74.8(±12.0)であった。着衣と裸腕では血圧値に差があった。


8. 大分県におけるピロリ菌感染経路の解明:

(大分大学医学部総合内科、塩田星児、他)2003〜2012で、大分大学総合内科来院11,505例で検討した。20才台で20.9%、40才台で41.7%、 60才台で、60%、市町村間での有意の差はなかった。幼小児期の井戸水、落とし便所については高率ではあるが、有意ではなかった。感染経路は家族間感 染が示唆された。


9. 「めまい」で当院を受診した救急外来受診者の検討:

(酒井賢一郎、他)2014年1月1日から同年12月31日まで8779名の中、めまいを主訴とした患者は374名(4.2%)、平均年齢は63.8才、男性154名、女性220名、 入院は32名(8.7%)、脳血管障害は12名でめまい患者の3.2%であった。


筆者一言

 プライマリケア学会の一般演題に興味のある演題が多く見られますので、今回、前半より選んでみました。日常診療で参考になる発表が沢山みら れました。次回はこの学会の一般演題後半より選んで見たいと思います。





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