今月の話題〜12月〜



 今回は2015.11.6.に東京で行われた全日本鍼灸学会関東支部学術集会より選んでみました。地方会としての興味ある演題があります。



教育講演:「筋肉痛のメカニズム」−最近の理解―:(木村和江、中部大学生命健康科学部)

運動後に遅れて生ずる筋肉痛、遅発性筋肉痛は筋線維の微細損傷とそれによる炎症によって起こるとされて来たが、演者らの研究で光学顕 微鏡レベルの損傷・炎症像がなくとも起こることがわかった。筋が運動中に産生するブラジキニン様物質が筋細胞・筋衛星細胞からのNG F(神経成長因子)産生を高め、また、運動中に活性化されたCOX−2によって産生が増大したプロスタグランジンがGDNF(グリア細 胞由来神経栄養因子)産生を高め、生じたNGF/GDNFが筋細径繊維受容器の圧迫刺激による反応性を高める結果、筋機械痛覚過敏が 生ずる


シンポジウム「スポーツと腰痛」

1) バイオメカニクスの観点からみた腰痛に対する鍼灸のアプローチ:(泉重樹、法政大学スポーツ健康学部)

スポーツ選手でも一般の人でも生活動作という動きの積み重ねとして、腰痛や肩こりなどが発症しておると考え、評価しています。スポーツ選手や学生でも基本的な動作、 立つ、椅子に座る、しゃがむ、片足で立つ、前後、左右に移動する、物を押す・引くなどが大切である。長年積重ねた運動の習慣や怪我をかばう代償動作からくる筋の使い すぎておる部分とうまく使えない部分を評価し、使い過ぎて硬い部分には針や器具を用いてほぐし、うまく使えない部分はエキササイズにより使えるように指導していく。

2) アスレチックリハビリテーションにおける鍼灸の役割:(山下貴士、神奈川大学水泳部トレーナー)トレーナーはスポーツ障害が起きてからだけでなく、けがや再発が 起こらないように指導、アドバイスして行くことが役割である。関節は可動関節(股関節、胸椎など)と安定のための関節に分け、全身の運動連鎖を考えて理解し、対応し て行く。腰痛は可動関節である股関節や胸椎が硬くなるとで、腰部に過剰な負担がかかり、腰痛の一因となる。刺鍼により関節の柔軟性をあげることが出来る。

3) スポーツによる腰痛に対する鍼灸治療の有効性と今後の課題:(宮本俊和、筑波大学人間総合科学研究科)スポーツ選手の疼痛の中一番多いのが腰痛で、腰痛症47.95, 腰椎椎間板ヘルニア26.1%、脊椎分離症12.8%、腰部捻挫8.5%の順であった。発症の原因は一つではないので、選手のできることから考えて治療経学を立てる。

一般演題

1) 怒りと腰痛感及び肩こり感との関係:(奈良雅之、他、目白大学保健医療学部、他)怒りは一過性の感情変化であり、過剰な怒りの表出や抑制は心身の健康に悪影響を およぼす。肩こりの深部疼痛は、怒り抑制高群のほうが低群の方が高かった。怒りの抑制、表出、制御という反応特性の違いにより感への影響が異なる。


筆者一言

 仕事や運動後の腰痛、筋肉痛は数日後に出てくることはよく経験されます。このことはNGF、GDNFに関係するということです。スポーツ選手のトレーニングが基本としておる ことが示されています。地方会のよさでしょうか実際の身近なことについての発表です。





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