今月の話題〜4月〜



 今月は先月と同じ2月に岐阜で行われた日本慢性疼痛学会の特別講演、シンポジウム等の中から先月取り上げられなっかった興味ある抄録、 聞いた中から私の理解の範囲で、選んでみました。



1. シンポジウム:運動療法のUP to DATE

1) 慢性疼痛に対する運動療法:(仙台青葉学院短期大学、大友篤、他)運動療法は、心身の健康や疾患・障害からの回復を目的とし、運動として関節可動域運動、 筋力増強、ストレッチング、有酸素・無酸素運動、協調性向上のため巧緻運動などがある。慢性疼痛の患者の場合には、「動かしてもいたくない」「動かせる」 (身体の気づき)、自己効力感の向上、身体機能改善し、慢性疼痛患者が能動的に運動し、継続的に運動でき、患者自身と共に痛みをセルフコントロール出来るよう 展開するのが望ましい。運動は無理のない範囲で、無理せず継続することが大切。

2) 頭頚部・肩関節の慢性痛に対する運動療法:(常葉大学保健医療大学理学療法学科、櫻井博紀、他)運動器慢性疼痛では疼痛と共に筋や関節が生じておることが多く、 痛みによる不活動に加え、防御反応としての偏移や運動範囲の制限などがひきおこされておると考えられる。非薬物療法として、運動療法・集学的リハビリテーション・ 認知行動療法などが挙げられている。痛みのない動作から、動けるADL、IADLの改善から、継続することが大切。

3) 病的疼痛に対する運動学的アプローチ:西鶴間メディカルクリニックリハビテーション科、江原弘之、他)リハビリでは痛みを改善するのではなく、身体機能異常と して現れた感覚―運動ループの問題を改善することが重要である。

4) 運動に対する運動療法の有効性と課題:(神戸学院大学総合リハビリテーション学科、松原貴子)慢性疼痛に対して心理社会的介入と共に運動療法が推奨されている。


2. シンポジウム痛みの遷延化は予測できるか:

1) 痛みの遷延化を制御するエピジェネティクス変動の理解:(星薬科大学薬理学研究室、成田年、他)様々な孤発性難治疾患の発現メカニズムとしてゲノムに書かれた 情報が変異することなく、個体発生や細胞分化の過程において遺伝子発現が制御される「エピジェニクス現象」が注目されている。エピジェネニクスの機構としてDNAメチ ル化、ヒストン修復、microRNA変動等が挙げられ、これらの変化が、遺伝子発現、翻訳機構に長期的な影響を与え、細胞に固定記憶を導入することになる。過剰な痛み刺激 などのシグナルが起こると。細胞応答の可変的なオン/オフ機構は麻痺して、結果的にその機構を変容させてしまう。エピジェネティクス機構が痛みの遷延化に関与している。


3. 共催シンポジウム:帯状疱疹関連痛の治療と予防:

1) 帯状疱疹関連痛の治療:(NTT東日本関東病院ペインクリニック、中川雅之)帯状疱疹発症1週間以内の急性期には、抗ウイルス剤を投与、痛みが強い場合はNSADsと少量の プレガバリンを投与する。痛みが治まらない時は、早期から神経ブロックを行う。まず、末梢神経ブロックをおこない、効果か頭打ちの時は神経根ブロック、効果を見て、持続 硬膜外神経ブロックまたは一時的脊髄刺激療法を行う。PHNの痛みが強い場合はバースト刺激による脊髄刺激療法を試みる。


4. ランチョンセミナー:

1) このような慢性疼痛には、ブプノルフィン貼付剤が有効です:(獨協医科大学麻酔科、濱口眞輔)ブプノルフィンは腰痛、関節痛などの疼痛緩和に有効性があり、精神刺激 作用が少ない薬剤で、半減期が長く、耐性がつきにくく、濫用や耽溺のリスクも低いといった有利な薬剤として知られてきた。週一回貼付する経皮吸収型・持続性痛み治療薬で ある。徐放性トラマドールと比較しても非劣勢である。

2) 三叉神経痛に対する挑戦―ガンマナイフ治療―:(大阪市立総合医療センター脳神経外科、岩井謙育)2014年から三叉神経痛に対するガンマナイフ治療も保険適応となった。 ガンマナイフは、60Co線源からガンマ線を利用した定位放射線治療である。80−85Gyという高い放射線を一回で放射する。治療効果が得られるまで平均2か月程度をようする。 3年で80%、5年で60%の症例で薬物治療なし、もしくは薬物治療で十分な効果を得た。高齢者では、その低侵襲性から勧められる。



筆者一言

 今回の慢性疼痛学会は、私のような一般開業医には、大変興味あり、有用な演題が多くあり、どの演題を聞こうかと迷わされました。抄録と聞いた講演の中から撰ん でみましたが、全てが大変に有用でした。今回の学会を企画し行われた岐阜大学の飯田先生始めスタッフの方々にお礼申し上げます。





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