今月の話題〜2月〜



 今月の話題(2021.2)は、昨年11月にWebで行われた日本ペインクリニック学会の中の一般演題から興味ある演題を 選んでみました。沢山ありますので今回は一部を紹介します。前半で、帯状疱疹に関した演題が多くなりました。



1. 変形性室関節症による膝痛にたいする理学療法の治療効果の検討:

(高井病院麻酔科、恒藤剛示、他)単純X線写真で変形の認められる患者に、理学療法士が個別評価を行ったあとで、 3週間のリハビリテーションをおこなった。膝痛に対して理学療法による関節可動域の拡大や筋肉の柔軟性を改善させ ることが痛みや歩行速度の改善に重要である。


2. 10%リドカインの外用剤使用中の帯状疱疹後神経痛に対する神経ブロックの影響:

(松山市民病院麻酔科、西田賀津子、他)10%リドカインを使用している患者に神経ブロックを併用した場合とし ない場合と比較した。PHN患者に外用剤を使用している場合、神経ブロック併用の有無は予後に大きな影響を及ぼさ なかった。


3. 無疹性帯状疱疹と診断した慢性胸背部痛の2症例:

(松山赤十字病院麻酔科、膨懌、他)無疹性帯状疱疹を疑う根拠として明らかな誘因なく発症、デルマトームに沿った 痛み、神経障害性疼痛があげられる。VZV-IgGは(+)低値だった。アメナメビルが有効だった。発症から数か月の再 発例で、再投与例あり。


4. 上肢帯状疱疹に合併する運動麻痺に問いあして、選択的神経ブロックが有効であった症例:

(福岡山王病院麻酔科、八島典子、他)84歳女性で右C4~C5領域の帯状疱疹、2週間後に右上肢の筋力低下が発症した。 C5の超音波ガイド下神経根ブロック(局麻剤+ステロイド)を3回施行したところ上肢運動麻痺が急速に改善した。そ の後、リハビリ治療の併用と近医でのSGBで5か月後には上肢麻痺はほぼ消失した。


5. 当院でのミロガバリン処方状況:

(京都大学附属病院、加藤果林、他)、2019.12月末までにミロガバリン投与は94人、初期投与量は10m、36人 (67%)だった。維持投与量は10mgが29人(54%)と最多。副作用で中止は嘔気の1人、推奨投与量に達していたのは 17%だった。効果不十分とされた患者の84%は推奨投与量未満であり、真に疼痛に効果不十分なのか、投与量不足 なのか不明であった。


6. 肺がんリンパ節転移による内臓神経浸潤に伴う痛みに対してミロガバリンが有効であった症例:

(広島大学麻酔科、池尻佑美、他)50歳女性肺がんの患者で、オキシコドン、デュロキセチンで痛みのコントロール 乏しかった例にミロガバリンを投与し有効であった。


7. 糖尿病性末梢神経障害性疼痛を対象としたミロガバリンのしびれ感に対する効果:第三層試験の事後解析:

(青森県立中央病院脳神経センター、馬場正之、他)糖尿病性末しょう神経障害性疼痛の患者を対象としたミロガバリン の第三相試験(J303試験)の中から、しびれのみをゆうする患者を対象サブグループ解析、プラセボ、ミロガバリン15mg x1、10mgx2、15mgx2投与。有害事象はほとんどなく、シビレ感には効果があった。


8. プレガバリンからミロガバリン内服に変更した症例での鎮痛効果の検討:

(久留米大学医学部麻酔科、兵頭彩子、他)初回投与量であるプレガバリン75mgをミロガバリン5mg相当と考え投与した。 プレガバリンに比しミロガバリンは増量に伴う副作用の発現が少ないため、増量可能となり、症状緩和が得られやすい可 能性がある。


9. 腰痛を伴った頭痛に五積散が奏功した症例:

(済生会川口総合病院麻酔科、今井美奈、他)腰痛に五積散が奏功した。水毒と冷えなどが改善し頭痛も改善したもの と思われる。


10. 身体症状のベンゾジアゼピン依存症と疼痛の治療に桂枝加竜骨牡蛎湯と甘麦大棗湯が有効であった2症例:

(国際医療福祉大学塩谷病院麻酔科、有山淳、小森万希子)82歳男性の腹痛の患者で、アルプラゾラム(ソラナックス) 、エチゾラム(デパス)、トリアゾラム(ハルシオン)など投与されていた患者で、ふらつきがあり、桂枝加竜骨牡蛎湯 7.5mg/日と甘麦大棗湯5.0gを疼痛時一日2回までの屯用で、ベンゾジアゼピン依存離脱と疼痛改善した。



筆者一言

 痛みの問題は、身近にありながら、難しい問題です。診療でも日々扱っていますが、患者側も、医師側もなかなか満足の いかない場合が多いと思います。ペインクリニック学会のような場に、実際に痛みにどう対応したかの経験が発表されてき ますので、我々は、謙虚にこのような経験を参考にして、日常診療にあたりたいと思います。



一口メモ

 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」と言い 「女性を蔑視する意図は全くなかった」と釈明したようですね。どういう意図で発言されたんでしょうか。
自分の価値を上げる、居場所を確保する、自分の意見を通すため自分が行動し努力するのではなく、自分の周りを蔑んだり蹴落としたり というのは、上に立つには相応しく無いと思います。

人の振り見て我が振り直せ、その言葉が頭をよぎりました。

東京オリンピック開催も気になりますが、今年の甲子園やインターハイや入学式等も開催できるようになるでしょうか。 みんなでコロナに打ち勝ちましょう!





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