今月の話題〜10月〜



 今月(2020.10.)の話題も第49回日本慢性疼痛学会の一般演題の中から撰んでみました。痛みは原因、症状、治療の多岐に渡っており、 一様に纏めることは困難です。一般演題も話題として取り上げましたように多種多様です。臨床に役立つ発表が多く見られますので、参考にして下さい。



1. 慢性腰痛を有する成人に対する集団形式のACT[と「これだけ体操」のくみあわせによる効果:予備的研究:

(同志社大学心理学部、その他、武藤崇、他)アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT:Hayes et al 1999,2012)は「慢性疼痛に有効である」 という強いエビデンスの支持がある新世代の認知行動療法である。日本人慢性腰痛関者に介入1週間後より、3か月後において統計的に有意な改善がみられた。


2. 慢性疼痛患者の歯科局的思考は、ADL制限と不安が影響する:

聖隷クリストファー大学リハビリテーション研究科、他、有薗信一、他)慢性疼痛患者における破局的思考は、Fear-avoidance modelの一部を構成しており、 理学療法を行ううえで重要な問題である。慢性疼痛患者の破局的思考には、HADS(Hospital Anxiety and DepressionScale)で評価する抑うつの程度とは関 係なく、日常の痛みやADLの制限と不安が影響していた。


3. 鍼の鎮痛効果に影響する因子について:

(平成医療学園鍼灸師科、齊藤慎吾)鍼灸治療では、同じ治療でも治療効果に差があることがある。そこで、針の鎮痛効果と自己効力感、破局的思考、抑うつ 感、ストレスなどとの相関を検討した。鍼治療と正の相関を認めたのは、局所刺激ではHADSで、遠隔刺激では、正の相関を認めたのは無く、負の相関を認めたの は、PCS、ストレスとVASであった。ストレスの強さ、破局的思考が中枢を介した鍼の鎮痛効果に影響するのではないか。


4. 全身痛にたいして東洋医学的な治療が奏功したと考えられた1症例:

藤田医科大学麻酔科、他、有働幸紘、他)原因のはっきりしない右上腕、両肘、膝、顎、大腿な広範の疼痛の40才女性デュロキセチン、セレコックスでは効果 なし、当帰芍薬散に東洋学的診断で、鍼治療を一回/週で行い効果あり、改善が得られた。


5. 足の経穴の刺激部位の違いにおける膝周囲への圧痛閾値の変化:

(九州看護大学鍼灸スポーツ科、浅井福太郎)経皮的電気刺激(TENS)の電極の設置部位についての鎮痛効果の差について検討した。太衝穴の足の厥陰肝経刺 激は同じ経絡上の中封、蠡溝、曲泉では圧痛閾値は上昇せず、下腿外側にある足三里や膝上外の梁丘で上昇が得られた。商丘穴の刺激では同じ経絡上の血海に 圧痛閾値の上昇がみられ、それ以外に下腿内側の経穴にも上昇がみられた。


6. 脊髄刺激療法後に残存する痺れを伴う痛みに対して鍼治療がゆうこうであった断端痛の一症例:

昭和大学麻酔科、他、松本美由紀、他)51才男性で、12年前に両下肢圧座損傷で右は股関節で離断、左は損傷後遺症疼痛で治療。断端部直接刺激は筋攣縮のた めに腹部、左下肢にツボを選んだ。30分置鍼の治療で効果があった。


7. 漢方併用が有効と思われた慢性痛の5症例:

(JA愛知厚生連江南病院麻酔科、黒川修一)(1)70才の帯状疱疹後神経痛の患者で、抑肝散、加味逍遥散の併用で効果、(2)70才女性大後頭神経三叉神経 症候群の患者で、ブロックに次打撲一方ほ併用が有効、(3)50才女性胸部帯状疱疹後神経痛の患者で、抑肝散、加味逍遥散の併用が有効、(4)70才女性口 腔手術後の疼痛に、立効散、抑肝散の併用で有効、(5)70才男性腰部脊椎管狭窄症のかんじゃ、牛車腎気丸の次打撲一方を併用で有効。


8. 多汗症に漢方が有効であった1症例:

(帝京大学麻酔科、細川文香、他) (1)25才男性で、疲れやすくて、陰虚と考えられ滋陰作用の六味丸を使用し有効。(2)18才男性肝鬱と考えられ、柴胡加竜骨牡蛎湯と加味逍遥散を投与し 汗の減少、加味逍遥散合五苓散で改善した。


9. 機能性ディスペプシアによる心窩部痛に可罨法薬が有効であった1症例:

(佐世保共済病院麻酔科、境徹也)69才女性で、機能性ディスペプシアと考えれる例に、始め安中散投与し症状軽減、次に柴胡桂枝湯の投与で症状が軽減した。


10.難治性の片側顔面痛に対し鼻腔内へのリドカインスプレー噴霧が奏功した一例:

(東京医科大学麻酔科、岡田寿郎、他)58才女性で、左顔面全体及び左舌に知覚低下と痛みの有る患者で、リドカインスプレーの鼻腔内噴霧が有効であった。



筆者一言

 一般演題の中には、貴重な経験の発表が多く、一つ一つが参考になりまし、我々通常の臨床でも、治療に利用できる方法の発表ですので、是非参考にし臨床 経験を積み重ねて行って欲しいと思います。



一口メモ

 コロナ禍、いかがお過ごしですか?
Gotoキャンペーンも好評のようで以前の街に戻りつつあるように見えます。でも対策は怠らずに過ごしてください。

ここ数ヶ月で芸能界での暗いニュースが立て続けです。なぜ?が多く残り考えさせられます。心の中は見えないので 見た感じ幸せそうでも実際のところは他人には分からない。 今回の該当者は完璧主義の方ばかりのようなので、自分に厳しかったのかもしれません。

思い悩むことがあるなら、友人にでも他人にでもプロにでも良いので声に出して吐き出す事は大事だと思います。 どうか皆様ご自愛下さい。


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