今月の話題〜2月〜



 会長講演:令和の新たな痛み治療を目指して:(洛和会丸太町病院、細川豊史)時代を経るに従って痛み治療の トレンドは大きく変化して来た。最近の痛みの薬物治療は、特に下降性疼痛抑制系を介した鎮痛が注目されています。 脳幹部からノルアドレナリン・セロトニンを介して脊髄での侵害刺激伝達を抑制することによる鎮痛です。令和の時代 の薬物療法は、特に下降性抑制系を賦活するような薬物が注目されると考えております。


ICD講演会:手術部位感染(SSI)の原因と対策、特に予防的抗菌薬の適正使用と注意点: (鹿児島大学感染制御部門、川村英樹)術野の汚染度により、清潔手術、準清潔手術、不潔手術、感染手術があり、SSRI の発生は整形外科手術で1~2%、心臓手術で2~5%、消化器手術デ3~20%程度にSSRIが発生するとされる。SSRIの対策は、 1)手術野やの細菌を減らす、2)SSRIを助長させるものを減らす、3)患者の免疫機能を維持。ターゲットに応じた抗 菌薬の選択を行うこと、血中濃度を維持するため、術中は半減期の2倍を、術後は8時間を基本にして投与。


ワークショップ:神経障害性疼痛の機序と治療:(福島県立医科大学痛み緩和セセンター、小幡英章)神経障害性疼痛は 体性感覚系の病変や疾患によって引き起こされる疼痛とされるが、末梢神経での末梢性感作が起こり、脊髄後角から脳へ の痛みを伝える上行性ニューロン過敏になった状況、中枢性感作が起こり、慢性化した神経障害性疼痛では治療に難渋す るようになる。


シンポジウム4.:神経障害性疼痛における内因性鎮痛の減弱と鎮痛剤の効きにくさの関連:群馬大学麻酔科神経科学、 須藤貴史)ヒトを含む様々な動物には、侵害刺激の入力とその解釈を調節する機構が備わっている。慢性疼痛においては 疼痛抑制の減弱や疼痛促進機構など、内因性の疼痛制御機構の異常が報告されている.Conditioned pain modulation(CPM) ,diffuse noxious inhibitory control(DNIC)といった概念で研究が進められている。慢性疼痛患者における鎮痛薬の効き にくさは内因性鎮痛機構の減弱と関連している可能性があり、いくつかのの薬剤は内因性鎮痛の減弱を回復させる可能性 がある。


パネルディスカッション:治療指針第6版の特徴及びペインクリニックにおける治療指針の今後の方向性について: (NTT東日本病院ペインクリニック科、安部洋一郎)2003年に日本ペインクリンイク治療指針第一版が発刊、今回第6版で、 実際の治療に役立つ標準治療を示すもので、第6版の特徴は、1)痛みのお評価として複数の痛み尺度の表記、2)ガバペ ンチノイドとしての表記、3)新インターベンショオナル治療の記載である。




Pros Cons 2


1. 超音波で診る・治す・ナオス・超音波って素敵:(関西医科大学麻酔科、中本達夫)X線透視下に行われていたが超音波下に 行うブロックは、患者とのコンタクトもあり、神経、血流、関節包や滑膜、筋肉や筋膜更にその動きまで容易に観察出来、痛みの診断 に役立つ、痛みの聴診器ともいえる。診断治療と共に患者との間に信頼構築に有用である。


2. 疼痛治療の大部分では、画像ガイド下ブロックの中で透視が第一選択になる:(明野中央病院ペインクリニック、高谷純)末 梢で神経ブロックの場合、神経の走行に個人差があり、透視下で神経周囲に確かランドマークがある透視下でのブロックを第一選択に する。軟部組織を微細に描出したい場合は超音波ガイド下での施行している。


3. ワークショップ:

1) 臨床外挿性に着目した基礎研究から理解する原因のことなる神経障害性疼痛障害の違い:(大阪大学生命機能研究科、中江文) 神経障害性疼痛は「体性感覚性神経系の病変や疾患によって引き起こされる疼痛」とされ、医師が患者の全体的な所見を診て診断してい くことが必要である。物理的ダメージかそれ以外かを考えるとわかりやすい。

2) 手術の痛み・脳は痛みを記憶しているか?〜痛みの長期化に関わる脳内メカニズム:大阪大学生命機能研究科、中江文)術後遷 延性疼痛(CPSP)を独自に開発したマウスで、初期の強い組織損傷とそれに伴う炎症応答、そして探求の脳内浸潤が慢性疼痛トリガーの 分子機構であることを示すデータを得た。神経損傷とは独立した慢性化メカニズムを示唆する知見を得た。痛みが長引く原因の一つの変 化が、脱髄鞘に関連したオリゴデンドロイド関連細胞の変化により引き起こされる可能性も考えられる。




筆者一言:
 日本ペインクリニック学会からの話題が続きました。痛みの問題は毎日のことなので、痛みのコントロールが出来て、心身共に苦痛の少な い生活ができるように、多くの専門家が研究しています。完全制覇は難しいと思いますが、日々、健康で幸せに過ごせるよに、この学会の話 題も参考に、診療していきたいと思います。1月に中国で発生した新型肺炎については、まだわからないところが多いのですが、世界の専門 家が対応していますので、遠からず制覇されると期待し、思っています。



一口メモ

 コロナウイルス。マスクは本当に売り切れています。中国人観光客を見かける人数も格段に減りました。
コロナウイルスもインフルエンザと予防方法は一緒ですので過度な心配でストレスにならないにようにしましょう。 ニュースで隔離・感染死亡人数・入国規制などの言葉ばかりが飛び交い、実際どのような病気なのかというような内容が乏しいです。 なので過度な心配でマスクやアルコールが手に入らないなどの混乱が起こってしまうのでは無いでしょうか。 感染力はインフルエンザより低いと言われていますので、恐怖心を煽る報道に踊らされすぎないようにしたいですね。


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