今月の話題〜9月〜



 今月の話題は2018.6.2〜3.にかけて大阪で行われた全日本鍼灸学会より選んでみました。日本における鍼灸に関する基礎から臨床まで 各分野の方々が出席する大きい学会です。今回は特別講演、シンポジウムなどから興味あるところ選んでその要点を纏めてみました。



1. シンポジウム「地域・自治体の健康政策にたいする鍼灸の役割とエビデンスの構築について」より

1) 地域・自治体の健康政策に対する鍼灸の役割とエビデンスの構築について:(はり灸夢恵堂、津田昌樹)超高齢化社会において鍼灸治療がおおきな役割を果たせることは鍼灸 師にとっては自明の理です。これまで鍼灸治療についてエビデンスに基づいた公衆衛生学的な前向きな研究が行われてこなかった。鍼灸が社会資産として広く活用されるためには、地 方自治体において鍼灸を取り入れて、公衆衛生学的な前向きの研究が必要不可欠です。

2) 地方行政に健康政策に鍼灸師が役立つにはどうすべきか:(福島医大会津医療センター漢方医学講座、三潴忠道)福島県の第七次医療計画の中にはり師、きゅう師の項目がない。 鍼灸医学は高い臨床能力を持っている。鍼灸師は診察所見に基づき独自の判断で治療行為まで行える点、他の医療職とは異なり、地域医療で役割では(1)訪問あるいは診療拠点で診療を 行い、必要に応じて医師など他の医療職と連携、(2)セル・ケアに役立つ健康教室や市民講座などの活動、(3)災害時の健康被害対策などに期待する。鍼灸師の資質確保が大切で、現 代西洋医学的にも必要な知識を備えた真の“鍼灸師”を育成し“鍼灸技師”との役割分担を図るべきである。


2. 難病鍼灸(ジストニア)

1) ジストニアと鍼治療:(関西医療大学保健医療学、鈴木俊明)・頸部ジストニアに対する鍼治療;罹患筋に対して順経取穴に基づき治療穴を選び、頸部不随運動には百会を用いる。 二次障害には集毛鍼で治療。書痙、ダイナミック鍼治療についても述べた。


3. スポーツ鍼灸

1) ケガの治療から見えたコンディショニング:(明治国際医療大学はり・きゅう学部、吉田行宏)アスリートが自覚する「筋が張る」、「動きのイメージと異なる」といった状態を 改善させるためには、筋を緩める方法や刺激部位の選択がカギとなる。しかし、筋が硬くならないように良い状態を保つためには、食事や睡眠、ストレス等の全身状態を見ることがたいせ つで、東洋医学的な視点を取り入れながら身体を作り上げていくために鍼灸が大切。


4. 高齢者鍼灸(慢性痛)

1) 腰下肢症状に対する鍼灸治療:(明治国際医療大学はり・きゅう学、井上基治)ロコモディブ症候群に移行する可能性のある腰下肢症状は愁訴として多く、鍼灸の対応も多岐にわたる。 始めに、1)傍脊柱部刺鍼、障害神経走行部・障害神経走行部刺鍼、バイオメカニクス的鍼治療など。次に、2)陰部神経鍼通電療法。1)と2)が効果がない時に、3)選択的神経根鍼刺激療 法をおこなう。これらの治療は医師との連携のもとに行うこと。急性憎悪の時は症状寛解のための予防的鍼治療も必要である。


5. ここまでわかった鍼灸医学(セミナー)

1) 慢性疼痛に対する運動療法はここまで変わった!:(神戸学院大学リハビリテーション学部、松原貴子)慢性疼痛に対する運動療法の有効性は各国の診療ガイドラインでも示されるよう になっているが、運動療法のみでは、疼痛と機能障害の双方を改善させるのは難しいとされ、運動に教育や行動・心理学的アプローチを組み合わせることが必要とされている。運動による疼痛抑 制(exercise-induced hypoalgesia:EIH)にはドパミン、オピオイドの他、カンナビノイドやセロトニンのようなneurotransmitterの活性及び脳内報酬系や加工性疼痛抑制系等の関与が示唆さ れている。

2) 慢性痛に対する認知行動療法のエビデンスと取り組み:就実大学教育学部、岩佐和則)慢性痛治療においては、痛みの軽減だけでなく、QOLの向上を目指した取り組みが必要で、そのため に非薬物療法として注目されるのが認知行動療法である。認知行動慮法とは、不快な感情体験や非機能的行動の心理的問題を軽減するために、認知及び行動への介入を行う心理・社会的治療法であ り、認知行動療法は対話を方法とする精神療法の一種である。

3) 慢性痛に対する鍼灸治療とその可能性:(帝京平成大学ヒューマンケア学部、皆川陽一)慢性痛の患者の約70%の患者がこれまでの治療に満足していないとの報告がある。WHOの適応リ スト、本邦の療養適応給付にも痛みの適応が多くあり、頭痛、顎関節痛、頸部痛、肩痛、腰痛、膝痛など、線維筋痛症、癌性疼痛など幅広い効果か報告されている。慢性痛には、鍼灸治療のみで は症状改善が難しいことをしばしば経験する。そのため、運動療法、認知行動療法をはじめとした統合治療的な介入が不可欠であるが、患者自身も積極的に治療に参加しなければならい。「養生」 も大切である。


6. 鍼灸の研究にこれからは何が求められているのか?:(明治国際医療大学鍼灸学部、伊藤和憲)鍼灸は痛み、痛み以外の風邪や便秘、下痢など様々な疾患に用いられてきた。痛み に対して効果的な理由のけんきゅうも多くあるが、おおくは海外で行われた多施設の大規模臨床試験であり、本邦での報告は少ない。本邦での、鍼灸師の痛みに対する理解、技術向上の教育教育 、医師など医療関係者理解、痛み関連学会との連携、医療問題を加味した政策への提言など、世間に広くアッピール知ることが必要不可欠である。慢性痛にたいする鍼灸治療のレビュー、研究の 方向性についてのべた。




筆者一言:
 鍼灸に関する話題が様々な面から述べられています。日本鍼灸の中にも沢山の問題があることわかります。長年にわたり日本の中で使うわれ、その有効性については、 皆が認めるところですので、日本鍼灸が良い形でまとまり、社会の中に安定して欲しいと思います。



一口メモ

 25年ぶりの強い台風に北海道地震。自然災害が頻繁に起こっていますね。
南海トラフも言われています。備えは思い立った時に準備しましょう。
今回のように西でも災害、北でも災害と何ヶ所も機能しない時、支援も何も望めなかったら備えがないと途方に暮れると 思いました。南海トラフの確率が高まっています。タンスなどの固定など今できることは今やっておくことをお勧めします。
災害時に悪いことを考える人も日本にいる。国には、強盗や空き巣など皆が大変な時に犯罪を犯す人への対応は厳しくしていただきたいものです。


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