今月の話題〜8月〜



 今月(2018.8.)の話題は今年(平成30年6月8日~10日)大阪で行われた日本東洋医学会の一般演題から選んでみました。 一般演題にも興味のある、立派な演題が沢山あります。御覧になって下さい。



1. 六君子湯の上部消化管運動にたいする作用の生理学的検討:
(浜松医科大学小児外科、川原央好)平均酸逆流時間の5分以上の酸逆流回数は有意に低下した。六君子湯は酸性逆流減少と胃排出遅延改善効果が見られた。


2. 鍼灸治療が冷え症に及ぼす効果(第5報)-女性28症例―:
(マリ鍼灸院、高橋涼子、他)本治として隋証治療による全身治療と、標治として三陰交、関元、次?、に刺鍼した。約一か月の治療で有効であった。


3. 感冒初期に葛根湯を投与すべき根拠についてー溶血性連鎖球菌感染症の多発及びunderdiagnosisの報告とともにー:
(みさとファミリークリニック、松田正)葛根湯の前投与により溶連菌迅速検査の陽性率が約60%減少した。葛根湯により自己免疫増強作用における細菌増殖抑制している可能性が示された。


4. 滋陰降下湯及び滋陰至宝湯により症状改善をみた慢性気道感染症4症例:
(大阪医科大学健康科学クリニック、藤原祥子、他)滋陰降下湯は陰を滋養するのみならず消炎作用も発揮するため慢性気道感染に良い適応がある。


5. 上気道症状が半夏厚朴湯と麦門冬湯の併用で改善した2症例:
(東北大学漢方内科、菊池章子、他)半夏厚朴湯は気滞に伴う咽頭閉塞感、咳嗽などに用いられ、麦門冬湯は滋陰潤燥剤で肺胃を潤し降逆下気して咳嗽を鎮める。両方剤を併用することで作用が増強される。


6. 機能性ディスペプシアが疑われた嘔気に苓桂朮甘湯が奏功した1例:
(順天堂大学脳神経外科、原田佳尚、他)27才の嘔気、嘔吐を繰り返す患者に、苓桂朮甘湯を投与し有効であった。


7. 大腸憩室炎に対する漢方治療:
(相模原協同病院外科、保刈岳雄、他)再発を繰り返す大腸憩室炎に大建中湯と桂枝加芍薬大黄湯の投与と食事制限(甘いもの、冷たい飲み物、果物、乳製品の摂取禁止)を行い良い効果を得た。


8. 繰り返す急激な血圧変動に対して七物降下湯が奏功した5症例:
(千葉中央メディカルセンター和漢診療、辻正コ、他)虚証と虚実間で血虚の所見を有する急激な血圧変動に対して、七物降下湯が有効であった。


9. 頚肩腕症候群に対して柴胡剤が奏功した2例:
(群馬大学大学院統合医療科、佐藤真人、他)精神的ストレスにより憎悪する頚肩腕症候群に対しては柴胡桂枝湯、柴胡桂枝乾姜湯は鑑別処方の一つとなる。


10. 腰痛症と下肢しびれに対する柴胡加竜骨牡蛎湯の治療経験:
(群馬中央病院、原田直之、他)腰痛症、下肢痛には補腎剤、駆お血剤等が用いられることが多い。柴胡加竜骨牡蛎湯は心因性の症例に用いられることが多いが、腰痛、下肢の痺れにも隋証治療に依れば著効することがある。


11. 漢方薬が奏功した本態性振戦の一例:
(司生堂クリニック、松田弘之、他、)加味逍遥散と牛車腎気丸の併用が有効であった症例を経験した。


12. 発作性回転性めまいに沢瀉湯が著効した二例と最適な服用開始時間の検討:
(飯坂病院東洋医学センター、矢野博美、他)73才男性と54才女性で、回転性のめまいに嘔気を伴っている時に沢瀉湯を投与した。服用後30分でめまいは軽減し、60分後にはめまいなく帰宅した。


13. 脳血管障害後遺症による麻痺側上肢しびれ・痛み症状にたいする漢方の治療:
(東京湾岸リハビリテーション病院、忽那岳志)6例で、著名改善3例、中等度改善3例、改善無1例であった。疎経活血湯、桂枝茯苓丸、桂枝加朮附湯等を使用した。


14. 四逆散、呉茱萸湯の投与が有効であった薬物乱用頭痛の一例:
(名古屋逓信病院、向田美保、他)四逆散5.0と呉茱萸湯2.5を頓用で処方し、2週間で頭痛ほぼ無く、次に、四逆散5.0と呉茱萸湯5.0を投与で天候不順などによる頭痛もなく、四逆散を除き、呉茱萸湯を29周投与し廃薬した。


15. 舌痛症に対して柴胡桂枝乾姜湯が有効であった2例:
(東京女子医科大学東洋医学研究所、津島伸彦、他)70才と67才の女性で、胸脇苦満と口渇を呈する例で、柴胡桂枝乾姜湯が1~3か月で効果があった。


16. 竜胆瀉肝湯合大黄牡丹皮湯で稀発月経改善から妊娠に至った症例:
(町田市民病院、小林瑞)38才女性、月経不順、冷え、むくみ、肥満、便秘傾向で、投与し、85週で妊娠した。


17. 特発性浮腫に越婢加朮湯が奏功した1例:
(三楽病院、伊東秀憲、他)38才男性で肥満、両側足背の浮腫で、越婢加朮湯が有効であった。


18. 女性患者を対象とした鍼灸による増毛治療の効果―症例集積62例―:
(まり鍼灸院、福本妙子、他)隋証治療による全身治療と局所に30ミリ・18号豪鍼18本(低周波)、局所4〜5か所に刺絡と灸を。1~2週に一回、15回で検討、15回で本人の満足度は79%であった。


19. 桂枝茯苓丸が奏功した耳鳴の2症例:
(福井大学耳鼻咽喉科、呉明美、他)お血の証の耳鳴の患者で桂枝茯苓丸が有効な例を経験した。


20. 4方剤でどれだけめまいに対応できるか:
(市立旭川暴飲耳鼻咽喉科、佐藤公輝)苓桂朮甘湯:72%、五苓散:63%、半夏白朮天麻湯:47%、釣藤散:57%、であった。


21. 耳鳴症に対して補気剤を中心とした漢方治療が有効だった3例*
(九州大学総合診療科、貝沼茂三郎、他)耳鳴に黄耆建中湯、補中益気湯を投与し有効であった例を報告した。


22. 川?茶調散有効例の検討〜気軽に使える頭痛薬〜:
(旭丘ファミリークリニック、木村英夫)緊急性のない頭痛に有効であった。


23. 診断がつかない手指痛の漢方治療:
(みやにし整形外科、宮西圭太、他)診断のつかない手指痛の治療に加味逍遥散と桂枝加朮附湯をつかうことが多かった。


24. 二朮湯が有効であった手根管症候群の検討:
(宮城県南中核病院、橋本禎敬)二朮湯の投与により、朝のこわばりと手指の痺れが軽減し、西洋薬の減量に成功した例を経験した。




筆者一言:
 日本東洋医学会の一般演題の中に多くの貴重な経験が発表されています。その中から興味あり、日常に日常の診療に活かしていきたいと思われる発表を選んでみました。参考にしていきたいものと思います。



一口メモ

 体温以上の猛暑。予測不可能な台風や豪雨。異常気象続きですが、お体に気をつけて下さい。
今年も高校野球が始まりました。アメフトやボクシングと若い可能性を大人が潰すニュースが多いですが、高校野球は今年も 正々堂々闘って感動を届けてほしいです。

ランニングなどしている方も多く見かけますが、熱中症にもお気をつけください。


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