今月の話題〜3月〜



 今月の話題(2017.3.)は2017年2月17日、18日と京都で行われた日本慢性疼痛学会の特別講演、シンポジウムより選んでみました。



講演 1. 口腔顔面痛外来での治療の実際:(京丹後市立久美浜病院歯科口腔外科、堀信介)
口腔、顎、顔面の疼痛、違和感を訴える患者が少なくないが、その原因、病状を説明できないケースが増加してきており、2008年 に口腔難治性疾患外来を開設した。舌痛症、非歯原性歯痛、顔面痛、口腔違和感などの患者が来院しており、東洋医学的アプロー チやコールドレーザー、認知行動療法(行動活性化療法)など、全人的な加療を行っている。

2. 糖尿病性神経障害の病型・病態と疼痛治療:(鹿児島大学医歯学総合研究所、山口尚久)
糖尿病性末梢神経障害は全身性と局所性に大別され、全身性は感覚運動性多発神経障害(diabetic sensorimotor polyneuritis: DNPS)と自律神経障害(diabetic autonomic neuropathy:DAN)を指す。自律神経障害、感覚障害、足筋萎縮、筋力低下。疼痛 は第一にプレガバリン(リリカ)、デュロキセチン(サインバルタ)、三環系抗うつ剤を少量づつ。第二選択には弱オピオイド、ノ イロトロピン、漢方、局所麻酔薬などが使用される。エビデンスに基づく治療と患者との対話に基づく治療も重要である。

3. 慢性疼痛に対する漢方療法:(信州大学がんセンター、間宮敬子)
慢性の痛みは漢方の良い適応になる。頭痛は良い適応で、呉茱萸湯、五苓散、半夏白朮天麻湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、桂枝人 参湯、釣藤散など、腰下肢痛には、五積散、牛車腎気丸、疎経活血湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、桃核承気湯、芍薬甘草湯など、 帯状疱疹の急性期痛には、五苓散、越婢加朮湯、黄連解毒湯、帯状疱疹後神経痛には、桂枝加朮附湯、補中益気湯、加工附子末な どが用いられる。

4. 慢性痛に対する鍼灸治療とその可能性:(明治国際医療大学鍼灸学部、伊藤和憲)
鍼灸が痛みに何故効くのかその理由も解明されつつある。Aδ繊維やC繊維といった繊維を介して脊髄後角を経由して延髄大縫線 核や中脳水道周囲灰白質などを活性化させ、下向抑制系を不活化させるといわれている。鍼灸には、鎮痛以外にも体性自律神経反 射を介して各臓器の機能を調節することや、NK活性やサイトカイン産生に関与するなど、自律神経、免疫ににも影響することが 明らかにになって来ている。鍼灸が全ての痛みに効果があるわけではない。
治療抵抗性の患者で、破局的思考もつ患者は内背側前頭前野の機能が低下しており、鍼灸治療と同時に認知行動療法、セルフケア も大切と考えられる。

5. 三叉神経に対する神経ブロック療法(末梢性、中枢):(NTT東日本関東病院、安部洋一郎)
末梢神経ブロックは眼窩上神経ブロック、眼窩下神経ブロック、オトガイ神経ブロック、上顎神経ブロック、下顎神経ブロックが あるが、上顎神経ブロックは、その有効性や確実性の点からほとんど行っていない。その代り、最近、超音波ガイド下翼口蓋神経 ブロックを行っている。中枢ではガッセル神経節ブロックを高周波熱凝固法で施行している。

6. 本態性三叉神経痛症候学に基づく定位放射線手術(ガンマナイフ)の適応と実際:(東京女子医科大学脳神経外科、林基弘)
薬剤の効果が不十分な例、手術の適応のない例に行った。初期電撃痛消失97.7%、最終フォロー時、86.1%であった。再燃が48.0% 、副作用(顔面知覚障害のみ)23.0%であり、ガンマナイフは神経に直接作用を及ぼす侵襲性のある治療だけに根治術としては“ ラストホープ”としての位置づけと思う。

7. 典型的三叉神経痛に対する微小血管減圧術:(湖東記念病院脳神経外科、井上卓郎)
三叉神経痛の微小血管減圧術が唯一の根治療法である。術前にMRIで三次元画像を作り手術のシミュレーションを検討し、手術 を行う。総合判定でも、微小血管減圧術が良好な成績であった。

8. 運動器慢性痛の治療:アップデート:(愛知医科大学学際的痛みセンター、牛田亭宏)
慢性腰痛患者では健常者に比し前頭前野を含めた灰白質の減少がみられる。このように、末梢から生じた痛みは、中枢神経系の機 能変化を生じ、この変化が末梢系や組織の変化、その後器質的変化をひきおこす。運動療法に加えて必要に応じ薬物療法も考慮す る必要である。



筆者一言

慢性疼痛は、痛みが痛く感ずる部位にのみ原因があって痛いのではなく、痛みを感ずる末梢から中枢に至る部位に痛いと感じさせる変化が生じ痛み、苦痛を感じさせているんですね。慢性の痛みの治療には、その人に合った痛み止め、注射などの局所の治療以外に幅広く、運動療法、心理社会的治療、薬剤、手術的治療を利用する必要があります。次回は一般演題の中から興味あるところを選んでみます。



一口メモ

ここ1カ月は、金正男さんのニュースばかりですね。とても自由で社交的なイメージの正男さんだったので残念です。 ただ、本人である確認もまだのようですし、容疑者もどんどん増えますし、まるで映画を見ているような謎の連続ですね。 ニュースを見ていると正男さんの存在自体を北朝鮮の方が知らないとか。 真実が早く分かるといいなと思います。


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