今月の話題〜1月〜



 第50回日本ペインクリニック学会の一般演題からです。結論のみ記載しました。



1) 梨状筋症候群に対する超音波ガイド下坐骨神経ブロックの有用性:
(大阪神経外科病院、芳村憲泰)梨状筋症候群は腰下肢痛の原因疾患の一つで、10名の患者で行い、臨床上有効な方法と思う。

2) 脊髄刺激法による帯状疱疹後神経痛への効果:
(NTT東日本関東病院ペインクリニック、上島賢哉、他)52例で、発症から3か月以内で90%に有効、発症から3か月を越すと効果が悪い。

3) トラマドールの原料で非典型的な退薬症候を生じた1症例:
(新潟大学歯学部麻酔科、松橋麻里、他)5年前からトラマドールとアセトアミノフェンの合剤を服用していて、減量を試みたところ、 退薬症候、震え、落ち着きのなさ、不眠が生じ、最大量から25%づつ減量し、離脱に成功した。

4) 低用量の抗うつ薬にトラマドールを併用したことが原因で発症したと考えられるセロトニン症候群の一例:
(神戸大学麻酔科、本山泰士、他)イミプラミン10mg、プレガバリン25mg、プレドニン4mg、ジクロフェナック75mgが処方されている 患者にトラマドール25mg/日から投与し、50mgになったところで、震顫、筋硬直、発汗、動悸が出現しトラドールの服用停止で回復した。

5) 頸部疾患による頭痛の臨床的特徴:
(亀田第一病院麻酔科、下畑敬子、他)手術を要する頸部疾患患者における頚原性頭痛の頻度は21%で、既報の80%より低く、可動制限の ある症例やCSMRでの合併が多かった。

6) 難治性吃逆患者の8例の治療経験:
(獨協医科大学越谷病院麻酔科、榎本澄江、他)8例(男7例、女1例、36歳〜79歳)で薬物療法は基本的にバクロフェン(抗痙縮GABA誘導 体ギャバロン)を中心に投与し、横隔膜神経ブロックと薬物療法で対応し、有効であった。

7) 三叉神経痛術後再発例に対する三叉神経ブロックの有効性について:
(石川県立中央病院麻酔科、新田俊一、他)MVD術後に再発した症例にも、三叉神経のアルコ−ルブロックが有効であった。

8) 前側胸壁の帯状疱疹関連痛にたいするPECS block,Serratus plane blockの有効性の検討:
(東京医科大学麻酔科、小山杏奈、他)この方法は有用であった。

9) 東洋医学的治療で軽快した幻肢痛1例:
(北九州市立門司病院東洋医学科、 緒方政則)抑肝散、疎経活血湯の投与が有効であった。

10) 線維筋痛症として受診した47例から考える:
(近畿大学医学部麻酔科、上原圭司、他)一年間にFMとして受診した47例(女36例、男11例)について検討した結果、FMと診断し たのは20例(女19例、男1例)で、その他は心因性疼痛がおおくを占めた。治療はプレガバリン、デュロキセチンの有効例が多かった。 薬物療法に対する効果も診断条件に加味すべきと考える。

11) 東洋医学的アプロ−チでコントロールを行っている特発性三叉神経痛の一例:
(昭和大学病院麻酔科、小林玲音、他)カルマパゼピンで薬疹、プレガバリンの効果が少なく、プレガバリンに清上けん痛湯と五苓 散で効果があった。

12) 慢性痛患者における居眠り運転のリスク調査:
(岩手医科大学医学部麻酔科、山田直人、他)慢性患者88例の眠気VAS0は、64例(A群)、眠気VAS1〜100は、24例(B群 )。A群で衝突1例、B群で衝突1例、居眠り運転4例。両群での交通事故発生率2.3%、岩手県の人口当たりの交通事故発生率0.3%で あった。

13) 慢性腰痛患者におけるうつの評価:
(瀬川外科、松井誠一郎)20歳~76歳の99例で検討。中等度以上のうつ病有病率で見ると、急性・亜急性腰痛患者では4.0%、慢性腰痛患 者では12.5%と高かった。

14) メンソールによる皮膚感覚と痛みの変化―Painvisionによる測定:
(東北大学医学部麻酔科、他、小野ゆき子、他)メンソールはTRPMSに結合して刺激する。TRPMS刺激は鎮痛効果があると報告されておる。 メンソールは鎮痛作用を生じたが、局所麻酔薬と異なり痛みの種類選択制が高く痛みの性質に変化を与えることが示唆された。



筆者一言
 痛みの問題は幅広く、基礎から臨床、そして、痛みの周辺の問題と医学、科学の全般に渡ります。今回、日本ペインクリニック学会は痛み の臨床に関する問題を幅広く扱う学会ですので、今年の学会の一般演題から選んでみました。興味あるところはどうしても臨床中心になります。 参考になりうる話題が多くあり、私も検討しながら、臨床に役立てさせてもらいたいと思います。




一口メモ

 今年も宜しくお願い致します。平穏な日々でありますように。

 年末。クリスマスイブに新潟県糸魚川市で150棟が焼けた大規模火災のニュースがテレビを占領していました。 火元のラーメン店での鍋の空焚きが出火の原因だったみたいですね。乾燥もしていましたし、風も強かった為広がった被害でした。 それでも死者を出さずに済んだのは町の連携と防災行政無線からのチャイム。声を掛け合って避難したからだったみたいです。 地域の絆ってすごいですね。

被災された方々には、心よりお見舞い申し上げます。


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