今月の話題〜11月〜



 今月の話題は、先月と同じく6月10,11,12日と札幌で行われた全日本鍼灸学会の一般演題の中から興味ある演題を選んでみました。 日本鍼灸の特徴でしょうか様々な演題です。(2016.12.)



1. 中高生柔道大会における鍼灸治療の認知度調査:
(川原医療福祉専門学校、前田稔行、他)愛媛県大会負傷者142名の中で鍼灸治療を知っていたのは52.1%、鍼灸治療を受けたことのあるのは24.6%、 鍼灸治療を希望したのは16.1%であった。A県大会では知っているが37.1%、経験ありが18.5%、希望者は43.2%であった。


2. 耳鼻咽喉科専門病院における針治療、嗅覚障害の調査:
(神尾記念病院、耳鼻咽喉科、松澤真、他)難治性嗅覚障害の患者に薬物治療に併用する形で針治療を行っている。24例で針治療の介入で何らかの変化が 見られたのは71%、まったく変化のなかったのが29%であった。有効の可能性がある。


3. 顔面部鍼施術が顔面部のうるおいに与える影響:
(和薬はり灸院、他、吉山美仁、他)陽白、攅竹、太陽、顴?、地倉、翳明に置鍼した。皮膚水分量の増加がみられた。うるおいの改善が出来るのではないか。


4. 現代中国における隔物灸の臨床文献数および適応疾患について:
(鈴鹿医療科学大学、他、高木健、他)中国国内での隔物灸の文献についての検討で、隔物灸の使用頻度は、末梢神経性顔面神経麻痺が12.7%、がん患者の化学 療法の嘔吐10.9%、下痢10.9%で上位三つであった。末梢神経性顔面麻痺の使用経穴上位3穴は、地倉、頬車、陽白、下関であった。最も多いのは隔姜灸であった。


5. 我が国におけるあマ指、鍼灸、他の療法の受診状況に関する調査:
(明治東洋医学専門学校、その他、矢野忠、他)日本国民無作為4000名の面接による調査。有効回答者1200名の中、この一か月の中の総受診率9.1%(111名)、 そのうちあマ指53.2%、鍼灸13.5%、カイロ整体25,2%、その他23.4%であった。受診はそれぞれの受療所が多く、月一回が多かった。鍼灸が少ないのは健康維持、 疲労回復を目的した場合が少なく、治療を目的にした場合が多かったのが原因かと思われた。


6. 冷え性に対する五臓スコアによる原穴と下肢への温筒灸治療の効果:
(関西医療大学、坂口俊二、戸村多郎)戸村等の「五臓スコア」と冷え症に対する共通穴として三陰交、膝陽関を使用した。灸は温筒灸を使用し、有効であった。


7. 脳梗塞急性期に生じた持続性吃逆4症例の鍼灸治療:
(私立砺波総合病院東洋医学科、光永賢太郎、他)脳梗塞急性期の持続性吃逆に東方会式接触針(証による本治法を太淵・曲泉・復溜、標治法では肺経を中心に 中府、列缺、経渠、尺沢を取穴)を行い、腹部・季肋部に打鍼を加えた。1〜2回/日週6日間行った。4症例とも鍼灸介入1〜4日以内に減少し、10日以内に消失した。


8. 鍼手法の違いが繊維筋痛症患者の痛みに及ぼす影響:
(明治国際医療大学鍼灸学部、伊藤和憲、他)針通電、置鍼の違いについて検討。週一回で5回、手三里―合谷、足三里―陽陵泉を取穴15分間治療した。短期治 療では針通電と置鍼で差がないが、長期では針通電でいたみが改善する傾向があった。


9. 腰部脊柱管狭窄症に対する鍼治療1例報告:
(明治国際医療大学、小田切耕平、他)障害高位傍脊柱部、障害末梢神経走行部及び支配筋への置鍼術を行った。4診以降は陰部神経鍼通電療法を加えた。刺激 10Hz,患者が耐え得る強度で10分間、3診療日までは変化なく、4診療日症状の軽減がみられ、歩行距離も延長し、知覚鈍麻も改善した。


10. 両変形性膝関節症に対する鍼治療と理学療法を行った1症例:
(LEBE鍼灸マッサージ院、松本純一、他)鍼灸治療で疼痛を緩和し、立位アラインメント改善をし、理学療法士と役割分担することで改善が認められた。


11. 肩こりに対して筋膜連鎖を考慮に入れた鍼灸治療の可能性について:
(明治国際医療大学鍼灸学部、増崎太希、他)筋筋膜連鎖を考えて治療を行う(遠隔部)と疼痛局所に治療を行う(局所群)で比較した。効果に両群で差が なかった。どちらも有効であった。



筆者一言
 鍼灸の領域でも、日々変化があり、様々な治療が考案、発表されて来ています。ここに取り上げましたように、手法も様々で、纏まった中国鍼灸、韓国鍼灸とは、 やや異なり、日本鍼灸はこれだといえないのが、世界、海外への説得力の弱さになっているように思います。大学もあり、研究の面では、世界の最先端を行ってい るのですから、なんとか日本鍼灸として纏まった医学にして欲しいと思います。




一口メモ

 「君の名は。」というアニメ映画が大ヒット。その中で東京都、広島県、岐阜県の飛騨地方などに実在する施設や風景が登場するので 実際にその場所を訪れるファンが多いそうです。このような映画やドラマの聖地巡礼で観光客の増加や登場したご当地物産の売上増と 地域のPRになっている話をよく聞くようになりました。海外でも日本のアニメが人気で聖地巡礼外国人観光客も増えているようで、 うまく地域振興につながると最高ですね。


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