今月の話題〜10月〜



 今年(2016)の6月10,11,12日に札幌で行われた全日本鍼灸学会より選んでみました。今回は特別公演、シンポジウムなど中心に興味ある演題からです。鍼灸の領域でも話題が尽きません。



1.  特別講演:冬季スポーツ障害とチームにおける医学スタッフの役割:(札幌医科大学保健医療学部、渡辺耕太)スポーツ種目により特徴のある障害の種類があるが 比較的大きな一回の外力で組織が損傷する「外傷」と、身体の特定部位に機械的ストレスが反復作用し組織の疲労性破綻をきたす「障害」とに大きく分けられる。予防と治療にチー ム内ではドクターとトレーナーが医学スタッフとしての役割を果たしている。現在、トレーナーのバックグラウンド(資格)は鍼灸師、理学療法士、柔道整復師、海外トレーナーの 資格保持者など多彩である。最近は救急対応や、ドーピングなどの知識の要求も高まっており、日本体育協会では、公認のスポーツドクターや公認アスレチックトレーナー制度を設 けて居る。


2.  「情報薬」としての鍼灸:地域医療における認知症予防としての情報薬:(札幌医科大学生体情報形態学、辰巳浩之)情報に反応する活動は神経の機能の現れであり、 その神経の状態を外的刺激(言葉、薬など)、或いは、内的刺激(記憶、意志など)により変えることが出来る。刺激は、T型;In Social,U型;To Brain,V型;In Brain、W型;To cellular、X型;In cellular、に分類した。従来の薬はW型、遺伝子治療などはX型になる。つぼ刺激はU型の情報薬になる。病気はセンサーがうまく働かない状態と思われる。


3.  シンポジウムTより:体制刺激が消化器・消化器機能におよぼす影響:(東京都健康長寿医療センター自律神経機能研究室、内田さえ)神経の体性求心性繊維はT、U 、V、W、(Aα、Aβ、Aδ、C繊維)からなる。針刺激は、これらすべての神経線維群を興奮させる。麻酔ラットでは、皮膚の侵害刺激や針刺激により胃、十二指腸運動の抑制反応が みられ、腹部から離れた四肢に加えた刺激では胃、十二指腸運動の亢進がみられる。後肢の刺激による亢進反応は迷走神経を遠心路とし、求心路はV群繊維が関係する。マッサージ様 軽擦刺激や灸刺激を腹に加えると胃運動抑制反応がみられる。


4.  シンポジウムTより:針の抗ストレス作用;(ウィスコンシン医科大学、高橋徳)皮膚、筋肉の知覚神経は大脳皮質の知覚神経に痛み、痒み、温覚、冷覚など様々な情報を 送っていが、その途中で枝分かれして延髄、中脳視床下部などにも分布している。打針刺激は、幅広く情報を送り、副交感神経を介して内臓神経の調節が行われている。ラットで足三里 に針刺激をすると交感神経活動が低下し、副交感神経が亢進する。


5.  シンポジウムVより:在宅患者とお灸のセルフケア:(愛媛県立中央病院鍼灸治療室、山見宝)ツボの記憶と健康障害には関連性があると考え、ツボの反応が大切で、圧 過敏性陥下、圧過敏性膨隆、充血、細絡、浮腫の穴反応を重視し、圧過敏性陥下には実員刺・灸頭鍼・灸、圧過敏性膨隆には虚方刺、刺絡、お灸、充血には刺絡、お灸、細絡には刺絡、浮 腫には刺絡、お灸が適している。お灸のセルフファミリーケア文化にはスピリチュアリテイが機能する。


6.  実技セッション3より:ツボの状態(四型分類)刺鍼手技:(日本伝統鍼灸学会・逢治療所、戸ヶ崎正男)ツボの四型分類は、ツボを体表から表層、中層、深層の3部に分 け形態特性と、それに伴う圧痛等の反応特性を捉えたものである。T型:表層、隆起・緊張の形態特性と軽圧で過敏痛(不快痛)の反応特性、U型:表層、陥下、中層異常に硬結の形態特 性と中圧前後で過敏痛(不快痛)の反応特性、V型:表層、陥下、その下から弛緩、中層以下に硬結の形態特性と重圧で鈍痛(快痛)の反応特性、W型:表層、陥下(陥凹)、その下から 弛緩の形態特性、てのぬくもりが気持ちいい感覚、感覚鈍麻。T型、U型は一般的に実、V型、W型は虚系のツボ。


7.  セミナーよりここまでわかった鍼灸医学より:灸総論―定義、歴史、そして:(筑波技術大学鍼灸学コース、形井秀一)灸の歴史は紀元前2〜3百年に遡り、鍼灸と称され てきた。灸は直接灸と関節灸に分けられる。刺激源の異なる電気灸などについては、灸の定義の検討が必要。中国と韓国の灸はほとんど間接灸であり、中国の影響きく、世界的には間接灸 が使用されている。日本では、30%が直接灸といわれる。灸の選択は陥凹、陥下の虚に対応するものと考える。



筆者一言
 日本の鍼灸には、様々な考え方があり、今回取り上げたように様々   でまとめて記載が難しいと感じました。様々なのはいいのですが、国際的には、体系的でなく纏まりがなく見えます。 日本鍼灸という体系に筋の通った考えが必要と思います。一つ一つは、大変興味のある話題です。




一口メモ

 オリンピックが終わり、次は2020年東京オリンピック。 東京では都知事が変わり、今更な問題が浮き出てきていますが今知事が代わり修正が出来る機会が設けられた事は よかったのではないでしょうか?無事素敵なオリンピックが開催出来るといいですね。

アメリカのトップ争いもヒートアップしていますが、他国とはいえ日本の話も挙げられているので注目です。 人の真意は完全に分かるものではないので、どちらが相応しいのかも難しいところですけど。 トップが代わりと良くも悪くも変化が起きるので、慎重に選んで戴きたいですね。


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