今月の話題〜9月〜



 今月の話題(2016.9)は、先月取り上げた高松で行われた日本東洋医学会の一般演題の中より興味ある発表を選んで みました。面白い演題は沢山ありますが、紙面の関係で数は少ないのですが、下記のものを選んでみました。



1. 桂枝加竜骨牡蛎湯と八味地黄丸の併用により耳鳴が比較的速やかに改善した例:(信愛クリニック、その他、藤原晃子、他)難治である耳鳴に、 腎陰補充を主に八味地黄丸、精神症状と腹証から桂枝加竜骨牡蛎湯を投与し有効であった。

 ※その他の演題でめまいに有効とした方剤:苓桂朮甘湯、甘麦大棗湯、半夏白朮天麻湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、牛車腎気丸がみられた。


2. 咽頭後頭異常感に対する耳鼻科における処方と効果:(陣内耳鼻咽喉科、他、陣内賢一、他)咽頭違和感には半夏厚朴湯、咳嗽には麦門冬湯がよく使用される。


3. 六味丸合滋陰降下湯を使用した6例の検討:(慶応大学医学部漢方医学センター、濱口卓也、他)六味丸合滋陰降下湯は手足のほてりに有効。


4. 黄?含有方剤投与後に発症した肝機能障害の検討:(富山大学薬学部、他、野上達也、他)黄?含有方剤投与後に今回、10.8%に肝機能障害を認めた。


5. 起立性調節障害による歩行困難が小建中湯でドラステックに改善した一症例:(目黒西口クリニック、他、南雲久美子、他)起立性調節障害による歩行困難に小建中湯が著効を示した一例。


6. 泌尿器科領域における五積散の効果:(女性医療クリニック、他、関口由紀、他)中年女性のきせつ変化を原因とする尿路症状に五積散が有効。


7. 唾液分泌低下及び口唇の異常感覚を伴った患者に対する白虎加人参湯の使用経験:(慶応大学歯学部、佐藤英和、他)唾液分泌低下及び口唇の異常感覚を伴った患者に投与し、 唾液の分泌が増加し、症状が軽減した。


8. 術後難治性腹水に対する五苓散の使用経験:(松坂中央総合病院外科、田端正巳、他)ラシックスと五苓散の併用が有効であった。


9. 当院における不妊症・不育症患者の漢方治療:後ろ向き観察研究:(慶応大学漢方医療センター、馬場裕子、他)123例で、妊娠率/生産率は、45才以上16.7/0%、 44才〜44才22.9%/5.7%、35才〜39才36.2%/14.9%、30才〜34才34.4%/21.8%、29才以下66.7%/66.7%あった。


10. 産褥精神病に女神散が有効だあった一例:(中国中央病院、徳毛敬三)イライラ、不眠、抑うつに女神散が有効であった。


11. 夏バテに対する半夏白朮天麻湯の有効性の検討:(金沢大学漢方医学科、有光潤介、他)清暑益気湯が一般であるが、清暑益気湯で効果のない例に半夏白朮天麻湯が有効であった。


12. 全身倦怠感・微熱に対する柴胡桂枝乾姜湯の有効性〜17症例の検討:(東京医科大学麻酔科、矢数芳英、他)全身倦怠感・微熱に対して柴胡桂枝乾姜湯の投与が有効であった。


13. 大腸憩室炎にたいする大黄牡丹皮湯の有効性の検証:オープンラベル無作為比較試験計画:(慶応大学医学部漢方医学センター、小池宙、他)有効性が示唆された。


14. 脊髄牽引症状と思われる体幹部痛にたいしての柴胡剤による治療経験:(北関東循環器病院救急総合外来、重田哲哉、他)大柴胡湯、柴胡加竜骨牡蛎湯が有効な経験よした。



筆者一言
 このような一般演題の中に素晴らしい内容のものがあると思います。漢方そのものが、経験の積み重ねから形成されて来ていますので参考にし、日常の中で役立てたいと思います。




一口メモ

 今年は台風が多い感じがしますが、気象庁によると毎年1月からパラパラ来ている台風も今年は夏まで発生しておらず、 記録的に台風が少なかったのですが、この夏からドドドッと発生したようです。しかも高気圧の位置がいつもと違うため、本州上陸が多くなっていました。 はやく台風発生が減るよう願うばかりです。河川の側の方、台風が近づいたら早めの非難を!


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