今月の話題〜7月〜



 今月の話題は今年(2016)2月26日に佐賀で行われた日本慢性疼痛学会の一般演題より興味のある演題を選んでみました。(2016.7.)



1) 強迫傾向の強い慢性痛患者にたいする理学療法:(桑原整形外科、諸橋巧、福元智子)60才の女性で、胸背痛の患者、抑うつ傾向、破局的思考、理論的に原因を追究する性格で、体幹筋トレーニング、呼吸訓練、リラキゼーションなどを行った。退院後痛みが出ると強迫的に動き疲弊するという悪循環を繰り返した。マインドフルネスを導入、気づきが増え痛みに対する考えの変容がえられ、対処できるようになった。


2) 約十か月ほぼ無痛状態が持続したが、薬を中止すると痛みが再発した線維筋痛症の一例:(福山リハビリテーション病院、戸田克広)ノイロトロピンとデキストロメトロファンの投与(1月から8月)で痛みはほぼなくなり、薬の中止で再発したが、再投与(7月から10月)で痛みはほとんどなくなった。FMの5%は治癒するが、投与10か月未満では再発の危険性が高い。


3) プレガバリンの75mgと25mgの東洋医学的な視点からの使い分けに関する検討(第一報):(那須赤十字病院整形外科、吉田拓文)「投与は始めに75mg就寝前に投与し、1週間かけて300mg/日まで漸増する」とされるが、105例で検討した。初期投与は81%が25mg、8%が50mg、11%が75mg/日であった。最終維持量は25mgが27%、29%が50mg、15%が75mg、100mg~300mgが28%であった。


4) 当科での慢性疼痛に対するトラマドール塩酸徐放剤(ワントラム)の使用経験:(京都府立医科大学緩和医療学、波多野貴彦、el.)トラマドール即効型製剤(トラマドール、トラムセット)から徐放剤ワントラムに変更した18例について検討した。同容量変更11例、減量変更4例、増量変更3例、アドヒアランス向上が78%、疼痛軽減が67%、副作用は眠気、吐き気、口渇が各一例。


5) トラマドール塩酸塩アセトアミノフェン配合錠(TA)に対する罹病期間と効果・副作用:(仙台ペインクリニック、山城晃、その他)罹病期間がTAの効果、副作用に及ぼす影響について検討した。罹病期間が長いほど効果が減少。一週以内の有効と比較して、6か月以上、一年以上、二年以上で有効率が低下した。副作用も罹病期間が長いほど上昇する。


6) さまざまながん患者の非がん性慢性疼痛治療におけるオピオイド鎮痛薬処方について:(京都府立医科大学疼痛緩和医療学、権哲、その他)がん患者にみられる痛みは、1)がん自体が原因となる痛み、2)がん治療が原因となる痛み、3)その他の原因による痛みがあり、おおくの患者が長期にわたり痛みの治療を必要となる。非がん性疼痛に対する長期にわたるオピオイド使用については、「非がん性慢性疼痛に対するオピオイド鎮痛薬処方ガイドライン」に従うことが大切である。


7) 神経血管減圧術で治癒できるSUNCT症候群の病態:(千葉徳洲会病院脳外科、北原功雄、他)「結膜充血と流涙を伴う短期間持続性・片頭痛の神経性頭痛発作(SUCT)」三叉神経root exit zone第一枝側の頭蓋内動脈による圧迫がSUCTの原因になりうる。


8) 腰痛・下肢痛患者に対する硬膜外ブロックの治療効果:(聖マリアンナ医科大学、麻酔科、西木戸修、その他)要下肢痛の患者に硬膜外ブロックを行いその効果をみた。一週に一回ブロックを行った20名で検討し、有効8名、無効12名、であった。


9) 線維筋痛症患者に対する耳介刺激の有効性の検討:(明治国際医療大学、伊藤和憲)鍼灸治療と耳介刺激(自宅で刺激)を併用した群と鍼灸治療のみの群を比較した。鍼灸のみよりも耳介刺激を併用した群で効果があった。



筆者一言
 一般演題にも興味ある演題が沢山ありました。一部を紹介しましたが、範囲が広く焦点はまとまりませんが、痛みについては共通です。 一つ一つにそれぞれに興味があります。かみ砕いて日常診療に役立てたいと思います。




一口メモ

 選挙やテロなどで薄れておりますが、オリンピックは来月です! しかし、治安の悪さやジカ熱、最悪な水質と続々問題が見えて選手の辞退も出ています。 さらにビーチバレー会場の海岸では、切断遺体が発見。オリンピック会場近くの病院が襲撃。 本当に開催出来るのでしょうか。。。

気温が驚くほど高くなってきた今日この頃。皆さん無理せず、水分や塩分補給忘れずに。


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