今月の話題〜6月〜



 今月の話題は、平成28年4月214日に東京で行われた日本東洋医学会の専門医学術講演会より選んでみました専門医に対する講演の概略です。



1.漢方医療学の「おさらい」:(大阪大学薬学研究所、谿忠人)

薬学部での教育概要に触れた。 疾患と病気の治療方略(a)病気(illness)を病む人と医療者との関係性で癒す、(b)生命維持機能と自然治癒力を調整する、(c)疾患(disease) を薬物で抑制し手術で摘出するの3方略がある。漢方は(a)と(b)の心身一如に基づく対話と(b)の正気の調整に特徴がある。 Illness behavior(疾病応答)と少陽病と和解剤。疾患(感染や炎症)に対処するために産生されたサイトカインが中枢に作用して発現する食欲 減退・嘔吐、倦怠感、気鬱感などの行動変化は少陽病の変化であり、過剰の炎症を抑えつつ生体維持活動を調整し精神神経症状を軽減する少陽病 に使用される和解剤(少陽和解剤)、小柴胡湯などが適応となる。日本漢方は少陽病に小柴胡湯以外に桂枝茯苓丸、麦門冬湯、黄連解毒湯、加味 帰脾湯、加味逍遥散、竹?温胆湯、抑肝散、補中益気湯などが少陽病位薬とみなしている。

(1) 気血水(津液)論のおさらい。日本漢方では水の不足した乾燥状態を津液不足と表現することが少ない。津液不足、生津不足ということで 麦門冬を配合生薬をもとに展開される。麦門冬湯+小柴胡湯、滋陰降下湯、人参養栄湯、炙甘草湯なども考慮される。 疾患に伴うillness behaviorという概念の多様な病態に対して方意(配合生薬の薬能)にもとずいて和解薬を適切に使い分けることで日本漢方がさ らに深化する。


2.高齢者と漢方治療:(あきば伝統医学クリニック、秋葉哲生)

現今の医療用還付製剤は148方剤で、そこで用いられる生薬は114種類である。 治療に伴う有害事象という観点からは、甘草、麻黄、大黄、黄?、などが配される処方は注意を要する。甘草による偽アルドステロン症、麻黄による心刺激作用、 大黄による慢性下痢、黄?による肝機能障害、最近は山梔子による腸間膜静脈硬化症などがある。漢方は本来一剤で、二剤用いることは例外である。甘草は一応、 2.5g/日がのぞましい。5gは越さないこと。麻黄ははエフェドリン0.7%以下、越婢加朮湯は麻黄が6gで多い。148方のうち甘草の入っているのは40方 である。 黄?の入っておる処方の時は一か月に一回は肝機能検査を勧める。


3.循環器疾患の漢方治療:(織部内科クリニック、織部和弘)

循環器疾患領域でも漢方の出番は結構多い。講演の中より参考になるところ を抜粋。
・肥満には、防風通聖散タイプ、大柴胡湯タイプ、防己黄耆湯タイプがある
・風邪に香蘇散タイプ
・大腸出血に?帰膠艾湯、帰脾湯



4.医療倫理・医療安全・利益相反(COI)を理解するための基礎知識:(新潟医療福祉大学、佐藤弘)

医療倫理、医療安全、利益相反はどの学会でも啓発すべき重要な領域である。法は倫理の最低限度である。
A. 医療倫理:基本は古代から存在するヒポクラテスの誓い、(1)著作や講義その他あらゆる方法で、医術の知識を医の規則に沿って制約で結ばれている弟子 たちに分かち与える、(2)自分の能力と判断に従って、患者に利すると思う治療法を選択し、害と知る治療法を選択しない、(3)依頼されても人を殺す薬を 与えない、(4)どんな家を訪れても自由人と奴隷の相違の相違を問わず、不正を犯すことなく、医術を行う、(5)他人の秘密を遵守する、がある。その後、 人を用いた実験に関した「ニュルンベルグ宣言」、「ヘルンシンキ宣言」、患者の自己決定権を宣言した「リスボン宣言」や医師の社会的責任を強調した「新ミ レニアム医師憲章」などがある。
B. 医療安全:医療安全の原則は「人は間違える」とされる。すなわち、間違えることを前提に対応することが求められる。
C. 利益相反(COI):産学連携活動が強化されたことから、社会的責務を期待される研究者・研究機関と利益追求を求める企業との間で、それぞれの利益が相反 する事態が生じやすくなった、利益相反は、現在のように産学連携が強まれば、必然的に生じうることであり、いかに適切にマネージメントするかが重要である。



筆者一言
 少しかたぐるしい講演内容ですが、専門に対する講演の内容の一部を紹介しました。参考になるてんもあると思いますので、まとめてみました。 今後の診療に役立ついくつかの内容があると思います。




一口メモ

 北海道のしつけの話。よくある話。そして5分後に様子見に戻っていることを考えても問題は無かったと思うんです。 心当たりは、ありませんか?子供の頃怒られて、外に一人。しつけの為に子供を家の外に一人。その時子供が歩いてフラフラ移動してしまったら、こういうことは どこでも起こり得ますよね?街中であっても、森であっても、住宅街であっても。確かに今回は事件になってしまいましたが。海外でもニュースにされてますけど。

にしても6日間水だけ?6キロも歩いた?その間誰にも会わず自衛隊施設にたどり着けた?本当に奇跡。 無事でよかったですね。


「今月の話題」バックナンバーへ