今月の話題〜8月〜



 今月の話題は、前回取り上げた今年6月に富山で行われた日本東洋医学会で発表された一般演題より 興味のあった演題を選んでみました。一般演題165題、ポスター78題がありました。




1.
夜間の下肢有痛性筋痙攣にたいする柴胡桂枝湯の効果: (赤坂牧洋記念クリニック、東儀洋、三橋牧)下肢有痛性筋痙攣には芍薬甘草湯が頻用されるが、 柴胡桂枝湯を23例に使用し、著効13例、有効7例、無効1例、判定不能1例であった。腰部脊 椎管狭窄症216例、変形性膝関節症4例、その他3例、年齢は54才〜82才であった。


2.
防已黄耆湯合麻杏ヨク甘湯が有効であった下肢痛の3例〜当院での本剤治験例の 検討〜:(センプククリニック、他、千福貞博、他)本合方は1)全身か局所に水腫があり、2) 主に下焦の神経痛で、3)発赤・発熱が少なく、4)機能障害がないものに有効。


3.
遷延する帯状疱疹後神経痛に烏薬順気散が著効した1症例:(群馬中央病院和 漢診療科、他、原田直之、他)70才女性、発症3か月の患者に使用し、VAS10−>4か月 でVAS0となった。


4.
翳風への円皮針が有効であった耳鳴の3症例:(いぬかい耳鼻科クリニック、 犬飼賢也、他)1〜2週に一回円皮針を行い、1例は3か月で耳鳴THI14点がTHI0、た の1例は4か月でTHI18点が2点であった。


5.
気うつを基礎病態とした腹部諸症状に四逆散エキスと香蘇散エキスの同時服用 が奏功した3症例:(笠原クリニック、笠原裕司、他)気うつに腹部症状、排便異常、ガス貯留、 腹痛、腹満、、などの症例に有効であった。


6.
加齢黄斑変性に小柴胡湯合桂枝茯苓丸:(竹田眼科、竹田真)1例だが、証に従 い投薬し、良い効果があった。


7.
シェーグレン症候群の口渇に半夏瀉心湯含漱の一例:(寒河江市立病院、野崎高正 、他)1日量エキス5gを500mlに溶かし、10回に分けうがいをし、一部服用した。証も参考 としている。


8.
背部の冷えや痛みに半夏厚朴湯が有効であった症例の検討:(東京女子医科大学東 洋医学研究室、川島春佳、他)西洋医学的アプローチへの反応に乏しい背部の冷えや痛みは気うつが ベースにあり、半夏厚朴湯を中心とした気剤が有効な可能性がある。


9.
乳がん術後ホルモン療法によるホットフラッシュにたいして七物降下湯が有効であ った症例:(筑波メディカルセンター、仙田晶子、他)多数の例で有効であった。



筆者一言
 一般演題は症例中心が多いが、貴重な報告があり、この中から更に漢方の臨床範囲が拡大すること、 患者さんに役立つ臨床応用がなされれることが期待されます。今回、取り上げた報告も是非患者さんに 役立つように使ってみたいと思います。




一口メモ

 暑い日が続きますね。猛暑。 熱中症も多発しています。暑いのは仕方がありませんが水分補給を大切に! めまい、失神、筋肉痛、こむら返りは熱中症ですよ。酷くなると頭痛や吐き気、嘔吐も。 水分も塩分も休憩も忘れずに。35度超えも今月後半にはおさまるという話なので頑張りましょう。 逆に電車やバスは寒いので夏風邪にも注意です。  



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