今月の話題〜7月〜



 今月の話題は、先月(2015.6.12.~6.14.)富山で行われた日本東洋医学会   より選んでみました。東洋医学特に中国で発祥し中国、韓国、日本、ベ トナムで長い間にその国特有の医学を形成して、日本では日本漢方、日 本鍼灸として広く役立っております。最近のコンピューターの発展、東 洋医学の国際化の中で、日本漢方、日本鍼灸とは何のかが問われていま す。今回は講演、シンポジウムより選んでみました。




1.
 会頭講演:漢方医学の温故知新・釣藤散と桂枝茯苓丸の研究から:(富山医科薬科医科大学和漢診療学、嶋田豊) 漢方薬の有効性と作用機序について現代医学的視点から検討している。今回は釣藤散と桂枝茯苓丸について述べる。 釣藤散:臨床研究で微小循環の改善作用、赤血球集合改善作用、赤血球変形能改善作用が示され、基礎研究から、 血圧上昇抑制作用、赤血球変形能改善作用、血管内皮機能保護作用、脳卒中発症保護作用、延命作用が示された。 桂枝茯苓丸:臨床において、赤血球集合改善作用、赤血球変形能改善作用が示され、基礎研究では、動脈硬化進展 抑制作用が示された。

2.
 伝統医学臨床セミナー:北里東医研の伝統〜歴代3所長から教えて頂いたこと:(北里大学東洋医学総合研究所、 花輪寿彦)初代大塚敬節先生、二代矢数道明先生、三代大塚恭男先生で、一人の人間として豊で、個性的な人間性 を持たれ、漢方に対するひたむきな情熱有し、人生意気に感ずが一致した行動規範であったと思う。大塚敬節先生 は大柴胡湯、八味地黄丸、小柴胡湯が三大頻用、矢数道明先生は小柴胡湯、桂枝茯苓丸、加味逍遥散が三大頻用、 大塚恭男先生は当帰芍薬散を愛用され、清心蓮子飲、清熱補血湯、補気建中湯、防風通聖散、小承気湯などを自由 に使われた。

3.
 シンポジウム世界から見た漢方医学:
1)漢方薬の医薬品情報に関する国際化への対応:(名古屋市立大学薬学研究科生薬学分野、牧野利明)日本では 一般漢方製剤294処方、医療用漢方エキス製剤148処方が、それぞれ構成生薬の配合量や効能が公的承認され ている。個々の生薬については日本薬局方によって、基原動植物と薬用部位が定義されている。日本薬局方124 種の生薬と28種のエキス以外は英訳されていない。アメリカでも中医学の英語の教科書が使用されている。国際 化の今、製剤の英文化、コード化必要である。

2)方証相対の意義―その意味するところと展望:(熊本赤十字病院総合診療内科、加島雅之)抽象的な概念論よ り、実際的で具体的なものを志向する日本漢方は理論の中抜きが起きてきた。日本漢方は、発病因子を分析の対象 とせず、症状と治療法を結びつけるメカニズムを直接取り扱わず、主に生体側の条件や反応に基づく分類を導入し た“方証相対”をもたらした。伝統的中国医学は人体が対応できなくなった環境因子を発病因子である“邪”とし て捉え、それをどう対応するか主命題として、治療の選択は“方剤弁証”とされた。

4.
 シンポジウム「生薬のサステイナビリティ:農水省・厚労省・日漢協連携による薬用作物国内栽培の産地化に関 する取り組みについて:(日本漢方生薬製剤協会生薬委員会、浅間宏志)薬用植物の産地化に向けたブロック会議 が平成25年に厚労省、農水省、日漢協が全国を8ブロックに分けてもたれた。生産者と製薬メーカーのマッチン グも行われ、14道県、18団体、個人で17品目で栽培や試作が進められた。



筆者一言
 漢方、鍼灸を含めた東洋医学の国際化の中での日本漢方、日本鍼灸の問題、中国、韓国、欧米などでの漢方薬の 普及による漢方薬の資源の問題、漢方医学の科学科の問題など数々の差し迫った解決すべき問題があります。今回、 話題に選びましたように解決の方向に進展しているように思いますので、期待しています。




一口メモ

 サッカー女子W杯、なでしこジャパンが決勝まで行きましたね!
今回も決勝で米国と対戦し、2−5で敗れ連覇は出来なかったけど、準優勝。
米国は手強いですね。でも日本は女子もサッカー強い!!点数取られても取られても 諦めない粘り強さは流石です。 4年後期待してます。  



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