今月の話題〜6月〜



 今月の話題は、5月22日、23日と郡山で行われた全日本鍼灸学会より選んでみました。 東北で鍼灸学会が開かれるのも珍しく、鍼灸も全国規模に拡大して来ておると実感します。 来年は北海道の予定とのことですので、その感をさらに強く感じます。今回は講演、シンポジ ウムから選んでみましたが、鍼灸の抱える問題も提起されております。




1.
会頭講演:福島県医科大学会津医療センター漢方医学講座教授、三潴忠道:約1500年前に日本に伝来した鍼灸は、 江戸時代まで漢方と共に医療の中心を為してきた。明治になって、鍼灸は鍼灸師を中心に、漢方は漢方療法として医療の一部に使用され、 1976年に漢方薬が保険診療に取り入れられ、鍼灸師制度は、1993年に国家資格となった。鍼灸の制度は高卒後3年で資格を取るこ とが出来るが、卒後教育が十分でない。会津医療センターでは、試みとして鍼灸師の卒後研修を行っている。医療の中で、専門家として 、医師、薬剤師、歯科医、看護師、臨床検査技師等の専門家と活躍して行くには、しっかりした卒後研修が必要である。


2.
教育講演:会津医療センター精神医学講座、丹波真一:うつ、うつ病は単なる気分の落ち込み、やる気がない、億劫など の感情の変化ではなく病気である。治療の基本は「一に休養、二に薬」である。周辺の人、家族に必要なこと。1)うつ病は病気であり、 治ること、2)休養と薬が大切である、3)薬は必要である、4)気力を奮い立たせる「尻叩き」をしない。5)早く元気になることで なく、再発なく長く安定した生活を送れること、6)死にたくなることが目標でなく、後に残された家族の気持ちを考え、せっかちな行 動をとらない。


3.
シンポジウム:難治・難病への挑戦―難治・難病の鍼灸治療
1) 難病に対する鍼灸治療の現状:東北大学病院 漢方内科:金子総一郎:難病に対する治療、鍼灸治療は症例報告が主で、RCTや比較 のあるものは少ない。これから検討を要する。

2) ―リュウマチ・膠原病に対する鍼灸治療―:東京大学附属病院リハビリテーション部、鍼灸部門、粕谷大智:1)局所症状(関節痛 の軽減、レイノー現象や乾燥症状の軽減)、2)全身症状(日常動作向上など機能障害の改善、肩こり腰痛の改善)など、QOL向上に寄与する 可能性がある。現在は薬物療法が主体であり、薬物療法に鍼灸療法を併用した際の効果について検討する必要がある。

3) パーキンソン病に対する鍼灸治療の挑戦:明治国際医療大学保健・老年鍼灸講座、江川雅人:振戦、筋強剛、寡動、便秘、発汗異常、 抑うつ等を示す疾患である。鍼灸治療で歩行の力強さの増大、歩行速度の向上、歩幅の増大が認められいる。作用は末梢だけでなく、大脳基 底核を始めとした中枢神経の治効機序も考えられる。

4) セミナー:痛みに対する鍼灸治療の最新事情:明治国際医療大学臨床鍼灸学、伊藤和憲:鍼灸の痛みに対する治療効果は体内の鎮痛 系と大きく関係している。鍼灸の刺激は細径繊維の受容器であるポリモーダル受容器を興奮させ、Aδ線維、C線維を介して、脊髄後角を経由 し、延髄大縫線核や中脳水道周囲灰白質などを活性化して下降抑制系や広汎性侵害抑制などの鎮痛気候を賦活かさせることが報告されている。 針通電では、2Hzではβエンドルフィン、2/15Hzでエンケファリン、100Hzでダイノルフィンといった内因性オピオイドが放出 されることが知られている。さらに、前頭前野・側坐核、線条体、中脳黒質、扁桃体などで、セロトニン量やドパミン量を増加させるとする 報告がある。



筆者一言
 鍼灸の質の向上がこれからの医療のなかの専門領域をになうものとして必要とされて来ておると思います。 世界的にも、中国では中医学は中医学の医師として、韓国では韓医学の医師として教育、研修制度が確立しておるが、日本は日本鍼灸、 日本漢方として確立したものがないために、WHOを中心とした漢方医学、鍼灸医学として確立しようという時に、日本は世界に発信し て、世界に対する説得力が弱いと思います。日本には日本漢方、日本鍼灸の優れた専門家がおられますので、期待しています。




一口メモ

 やっと自転車に目を向けてくれました!交通法改正!

自転車安全利用五則。ご存知ですか?
@自転車は車道が原則で歩道は例外。A車道は左側通行。B歩道は歩行者優先で車道より徐行。C安全ルールを守る。D子供はヘルメット。
 今回は、上記他14項目について3年以内に2回以上危険行為を繰り返すと講習と罰金です。まだ免許制にはならないんですが遠くなさそうですね。  



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