今月の話題〜6月〜



 今月は、5月10日、11日と岡山で行われた日本プライマリ・ケア連合学会より選んでみました。新しく養成された家庭医 (総合診療医)が日本で現在実際の診療を行っている開業医制度の分野を担うためにどうするか、どのような研修メニューで養 成するかが話題となっており、法的にバックアップされた制度として行こうとしている。医師が大量に養成される現在、将来の 開業医のシステムの医師に及ぼす影響は大きいと思われる。今回はこの学会の一部を紹介します。



1. シンポジウム1:国民からの期待に応えられる総合診療医の育成を目指して

 1) 新たな専門医に関する仕組みと総合診療専門医について(厚生労働省医政局医事課、北澤潤)専門医制度の認定基準が統一されていないので、 第三者機関による養成プログラムと認定基準を統一的に行う。総合的な診療能力を有する医師(日常的に頻度の高く、日常的に幅広い疾患と傷害等に ついて、適切な初期対応と継続医療を全人的に提供)を総合診療とし、総合診療専門医とした。総合診療医の進むべきコースと、他の専門医から総合 診療専門医への移行、総合診療専門医から他の専門医への移行をも可能とするプログラムも用意する必要がある。新たな専門医は平成29年に開始し、 平成26年から研修病院への予算を繰り込んでいる。

 2) 総合病院や他領域の専門医の視点から;(薫仙会恵寿総合病院、神野正博)病院は軽症疾患の高齢者であふれ、臓器別専門医は疲弊し、軽症高 齢者の搬送で救急医は疲弊している。日本の高齢化社会では、「治す」、「救う」医療ばかりでなく、「支える」「癒す」「ともに生きる」「看取る」 まで、医療関係者の価値観の変革が求められている。アメリカ、イギリスと異なった我が国の社会構造に合った日本型病院総合診療専門医の育成を議論 する必要がある。

 3) 求められる総合診療専門医とは〜メディアの立場から:(NHK放送文化研究所調査部、岩本裕)専門医について2009年の一般の方15、00 0人の調査で、専門医は、疾患に対する知識、診断の正確さ、治療法への精通について、専門医が一般医より優れていると答え、患者への親切かつ丁寧、 患者の体場に立つについては、一般医が20%、専門医は15%で、一般医がやや専門医をうわまった。取材の中で、自分たちの立場に立って、いつでも 相談に乗ってくれる医師が身近にいて欲しいと訴えていた。



2. シンポジウム10:新しい常識を人々に〜糖質制限、褥瘡、脂質の考え方〜

 1) 脂質異常症は医原病:(大櫛医学情報研究所、大櫛陽一)2004年からコレステロール低下薬の治験結果は全てネガティブの結果であり、 2013年米国心臓病学会の新しいLDLの基準は190mg/dlとされた。FHでコレステロールが高くても心血管リスクにならない。コレステロールは 細胞膜、脳と神経、副腎皮脂ホルモン、男性ホルモン、女性ホルモン、ビタミンD、胆汁の必須材料である。2004年以降、スタチンの副作用であ る筋肉痛、横紋筋融解、肝機能障害、睡眠障害、うつ、記憶消失、性機能障害などの報告がされるようになった。スタチンはミトコンドリア毒とな るために糖尿病の発症も17倍になる。考えを変える時である。

 2) 一枚のラップが床ずれの常識を変えた:(大崎市民病院、鳥谷部俊一)1996年に褥瘡にラップを使用し、どんどんよくなり、きれいにな る経験をした。ラップ療法の常識:(1)ラップ療法は細胞培養、(2)ラップ療法はズレ力分散(3)ラップ療法は解放湿潤療法(4)清潔療法は 不要、水道水洗浄(5)銀、抗菌薬外用は有害(6)デビリドマンは不要、壊死組織はドレナージと抗生剤(7)ポケットを作らない、ガーゼは詰め ない。

 3) 外傷の湿潤療法:(練馬光が丘病院、夏井睦)創面は湿潤を保つことが大切。乾燥は細胞を死滅させる。消毒薬はタンパク質を変性させ細胞 を死滅させる。感染を起こしていない創面の細菌は除去する必要が無い。

 4) 糖質制限の基礎と臨床:(孝雄病院、江部康二)食物は食べた後、糖質は速やかに吸収され120分以内に血糖に変わるが、タンパク質、脂肪 は血糖に変わらない。酸化ストレス動脈硬化、ガン、老化、アルツハイマー病、パーキンソンなどの元凶とされている。糖尿病合併症を防ぐには食後高 血糖と平均血糖変動幅増大を生じないことが大切。このためには糖質制限食が大切。糖質制限食を勧めず炭水化物の比率を50%〜60%、一日100 gいないとする。糖尿病食で糖質は130g/日である。



筆者一言
 日本の自由開業医制度の完全な見直しとなると思いますが、病院のあり方も完全に180度変えなければならず、大変な変革と思います。 総合診療専門医が、医療の中で定着し、法的な裏付けのある形になっていくものと思われるが、現在の日本の医療制度との兼ね合い、継続 性はどうなのでしょうか?自由開業医制度でなく、総合診療医中心となると現在の専門医の開業医は、病院中心となり、現在の制度と180 度転換に近い制度です。医師定年制とも関係し、相当な大変革となりそうです。
 新しい常識として、今回取り上げられた話題は、注目に値します。脂質異常、創処置、糖質の問題など、まだ十分に一般に行き渡っていま せんが、動かしがたい基礎医学として、一般化して行くものと思います。現在のスタチンを中心とした脂質異常の治療は大いなる変革になり そうです。




一口メモ

 道に人骨が落ちていたり、白骨死体が家から見つかったり、握手会でアイドルが切られたり。 この国は、そんな国だっただろうかと首をかしげます。怖いですね・・・

逆にスポーツは賑わってますね。1日に日本ダービー、サッカーに野球。観戦に行く方は日焼けのし過ぎと熱中症に 気を付けてくださいね!



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