今月の話題〜5月〜



 今月の話題は、3月にも紹介しました今年2月に東京で行われた慢性疼痛学 会より選んでみました。3月に紹介した話題以外より選んだものです。



*基調講演

 疼痛医療における医師―患者関係:関係性の積極的診断;(国際全人医療研究所、永田勝太郎)痛みの問題の中で医師 と患者関係は重要な問題であり、今回この問題について述べる。

1) 患者固有の問題、その患者固有の身体・心理・社会・実存問題が潜在している。
2) 医師側の問題、医師個人が痛みをどうとらえるか。
3) 医師と患者関係、様々な身体・心理・社会・実存滝問題の患者と医師が信頼に裏打ちされた関係を構築することが大切である。
疼痛医療における医師―患者関係の特異性があり、医師はprofessionalとしての矜恃を持ちながら、患者に共感し、tuningしていかねばならない。


*教育講演T

 痛みの「見える化」、脳画像を使った慢性痛への挑戦:7(群馬大学麻酔科、荻野祐一)非侵襲的な脳機能撮影技術の発達により、痛み脳活動 を数値画像化して客観的提示すること(「見える化」)が可能となってきた。「本当に痛いのか」を客観的に判定できるようになりつつある。慢 性疼痛患者に存在すると推定される脆弱性に病態をもとめつつある。


*教育講演U

 運動器と脳のdysfunctionという観点からのMechanism Based Treatment Prevention(MBTP)の提案;(関東労災病院、松平浩)腰痛など主に非特 異的な疼痛は、「運動と脳(中枢性)、両方のdysfuctionが共存した状態と考える。動作・姿勢に依存する疼痛が一貫性を持って誘発される場合に 運動器dysfuctionがあると判断。顕著な身体化、広範囲な痛みを訴え及び軽微な動作で強い痛みを訴える疼痛過敏な状態は中枢性dysfunction を 疑う。介入は運動療法を中心とする。

1)運動療法A:動作・姿勢の関与が明確な運動器dysfunctionのダイレクトな改善をめざす。
2)運動療法B:ウォーキングを代表とする低強度の有酸素運動。



*ミニレクチュアー

 慢性疼痛と失感情症:(九州大学心療内科、細井昌子)DSMWでは疼痛性障害を、疼痛の原因を器質性か心因性か区別せず、身体所見に比べて過度の 痛みの訴えと、心理的・社会的障害に重要性をおいている。慢性疼痛は心身症のひとつである。心身症の中核概念、失感情症は、自身の内的な感情の 気づきとその言語表現が制限された状態である。治療には、失感情状態に関連した身体症状体験を、情動と関連した体験であると実感していくかが、 重要である。


*ランチョンセミナー

 慢性疼痛の中で最も頻度の高い“慢性腰痛”の病態と治療:(福島県立医科大学整形外科、矢吹省司)慢性腰痛の病態は組織損傷と関連しないことはよ く経験されることで、慢性腰痛には心理・社会的なな因子が深く関与している。手術療法は推奨されず、神経ブロックも推奨される治療法ではない。運動 療法が推奨される療法である。



筆者一言
痛みについては、慢性疼痛について今回の話題のように心理、社会、そして実存が大きい比重を占めていることが明らかになって来おり、 対応についても心理、社会、実存の面の方法が、身体の面よりも中心に、重きを置いて使用されて来ています。われわれ医師の側に心理の面からのアプ ローチに不慣れなところが多くあります。しかし、不慣れと言っていられません。日常の生活の中で、患者さんにより良い生活を過ごして頂けるように 役立ちたいと思います。




一口メモ

 続・韓国で起きた客船沈没事故
乗っていた学生が撮っていた動画が公開されました。元気に部屋で騒いでいたのに亡くなったと聞いて 動画の後、どうなってしまったのか・・・
潮流が速くなって捜索環境が悪化する見込みと言われる中、船からの流出物は25キロ以上も離れた場所でも見つかっているというので、 全員を救出も厳しくなってきています。
朴槿恵大統領が「必ず安全な国をつくる」と言っていた中、ソウル市内の地下鉄では追突事故。
事故が起こってからではなく、予想しての備えや日々の確認をし、下手な改造していなければと思ってなりません。



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