今月の話題〜10月〜



 今月(2013.10.)の話題は鹿児島で行われた日本東洋医学会の一般演題362題より興味ある演題 を11題選んでみました。特別講演、シンポジウムについては前に取り上げました。


1、体幹部の違和感と痛みに柴胡疎肝湯が有効であった2例:(北里大学東洋医学総合研究所、及川哲郎&花輪寿郎)
 柴胡疎肝湯は気鬱を基盤とした腹痛などの痛みに使われるとされている。肩から背中にかけて痛み自体は強くなく、むしろ漠 然とした違和感を訴えていた例に使用し、よい効果を認めた。

2、防已黄耆湯及び加味逍遥散の併用により減量をみた更年期女性の3例:(東京女子医科大学東洋医学研究科、磯 村知子、他)
 冷えと胸脇苦満、ホットフラッシュの患者に加味逍遥散を使用し、更に肥満、下肢浮腫、体が重く軟便など水毒を 伴う例に防已黄耆湯を併用し、体調改善し運動、食事管理に関心をもつようになり、BMI27.0(64kg)からBMI23.6(23.6kg) に改善した。

3、抑肝散(加陳皮半夏)が著効した感染後遷延性咳嗽症例:小児及び成人例:(武田クリニック、武田恒弘)
 気道感染後の胸部所見が乏しい頑固な咳嗽に苦労することが多い。抑肝散、抑肝散(加陳皮半夏)を投与し有効であった。

4、「咳喘息」に対する、エキス方剤の比較検討:小青龍湯合麻杏甘石湯と麦門冬湯合五虎湯の比較親試実験:(馬場 医院、馬場英明)
 咳嗽は3日目には改善した。

5、院内職員の感染性胃腸炎10例の検討:(飯塚病院東洋医学センター、土倉潤一郎、他)
 黄?湯+小半夏加茯苓湯3例、半夏瀉心湯1例、大建中湯+桂枝加芍薬湯4例、人参湯+真武湯2例で、通常状態での所見、 病気になってからの所見から陰証の方剤が選択された。全例で早期に治癒が得られた。

6、下肢静脈瘤に伴う浮腫に対する五苓散の治療効果:(済生会横浜東部病院血管外科、林忍)下肢静脈瘤の患者で 浮腫を伴う方16例に投与した。全例にストッキングを使用した。1例は発疹で脱落したが、15例で浮腫、患者の愁訴の改 善に有効であった。

7、女神散が有効であった高齢女性の3例:(千葉大学和漢診療科、他、永嶺宏一、他)
 高齢者で更年期障害様の症状局所の熱感、上衝、発汗を呈する場合、女神散を考慮すべきである。

8、韓国における伝統医学教育(第2報):(横浜薬科大学漢方薬学科、他、金成俊、他)
 1947年に慶熙大学が創設されて以来、1990年までに11韓医科大学が創設された。卒業生は2万人近くに達している。 講義時間、単位数、内容に大きな違いは見られなかった。
 *韓国では韓医師は西洋医学とは異なった医師免許で医療を行っており、西洋医学の医師は日本と異なり韓医学の医療 は出来ない。

9、漢方薬および耳針法併用のダイエット効果について・第3報:(笠利病院、岡進)
 漢方薬は防風通聖散か防已黄耆湯を耳針と同時に使用し、食事は三食はきちんと食べ、間食はしない、朝、夕に体 重測定する、そしてダイエットの大切さを話した。このダイエット外来来院者386人のうち113人(29.3%)で 5kg以上の減少、10kg以上の減少は25人(6.5%)であった。

10、季節病としての耳管開放症〜29症例の発症時期の検討:(谷村医院、谷村史子)
 春夏に発症する女性の耳管開放症に対して、黄耆建中湯、帰耆建中湯がスタンダートな漢方処方となる

11、当帰芍薬散および加味逍遥散が有効な冷えについての検討:(東京女子医科大学東洋医学研究科、木村容子、佐藤弘)
 当帰芍薬散は、腹部の冷え、めまい、目のかすみ、のぼせを訴え、怒りっぽさや耳鳴のない場合であった。加味逍遥散は全 身の冷えはなく、発作性発汗があり、立ちくらみのない、四肢、特に足の冷えと関連があった。


筆者一言:貴重な経験の報告であり、これらの経験の集積で、日本漢方の基盤の理論づけを行い、日本漢方とは何かとう命題に、 答を出して、医学部の教育に使用される教科書に系統だった教材として使用していきたいと思いますし、期待したいですね。韓国 では、韓医学として、中国では、中医学として大学で教育され、韓医師、中医師として医療の場で活躍しています。




一口メモ

消費税率引き上げは本来、社会保障の安定財源確保。年金、医療、介護などへの給付費が目的では? 増え続ける社会保障給付に対して現状では具体的な削減案がない状況で・・・医療費の改革が先では?と思ってしまいます。

家計も大変ですが、小売り各も増税前で大変ですよね。安いを売りにそのまま行くのか、質重視か。 安いが売りだったユニクロも今は質重視。セブン&アイ・ホールディングスも質重視に方向変換中。 売る方も買う方も、来年4月まで振り回されそうですね。



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