今月の話題〜6月〜



 今月は5月17日から19日にかけて仙台で行われた日本プライマリーケア 学会より選んでみました。昨年はプライマリーケアの制度、総合医、家庭医 の教育制度、国の制度の中での位置付、何が総合医かなどが話題の中心でし たが、今回は制度の中で家庭医、総合医のあり方、意味が取り上げられてい ました。今年は、プライマリーケアの実際の臨床上の問題も多く取り上げら れていました。興味のあった話題について、取り上げてみました。


1、シンポジュウム「今時の患者トラブルにどう対処するか」の中から

1) もっと弁護士の活用を」:(右田、深沢法律事務所、深澤直之)a,医療はサービス業でなく、準委託契約、 病気を完治してもらうとの勘違いから、治らないなどの暴言、違法行為は拒絶排除。b.損害賠償は金銭賠償 が原則で、誠意を尽くすことではない。c.当事者の患者は、当事者の医院でケアしてはならない。d.信頼な き患者は診療拒否を、e.患者の治療意欲と患者の義務に着目し、共同生活規則・受診協力・質問・院内規則・ 診療報酬支払いの規則遵守の徹底で院内の秩序と安全の維持。f.インフォームッドコンセントは患者納得医療 の説明を尽くすこと。

2) 患者の思いにタイミングをあわせるために「私」を主張(NPO法人架け橋、岡本佐和子)患者に対する時にス キルに頼らず患者の気持ちを把握し患者の変容にタイミングよく受け答えするためには、「私」を主語に話す 方法で、問題に焦点が当たり、責任の所在がはっきりし、避難がましくならず自分の思いが伝わる。

筆者一言:患者さんとの間は、いろんな意味で大切です。


2、シンポジウム「これからの食事療法(カロリー制限VS糖質制限)」

1) 座長:(坂東浩:きたじま田岡病院、丸山泉:丸山病院)摂取する糖質は数分から120分で100%血 糖に変わる。タンパク質、や脂肪は血糖値を上昇させない。脳が働くエネルギーは糖だけでなく、脂肪の燃 焼で生成されるケトン体をいくらでも利用している。

2) 糖質制限食の有効性と安全性:(江部康二:高尾病院)糖質は速やかに吸収され120分で100%血糖 に変わるが、タンパク質・脂肪は糖質に変わらない。動脈硬化のリスクになるグルコーススパイク(急激な 食後血糖)を生ずるのは糖のみである。糖質制限食では従来の糖尿病食(高糖質食)に比べて顕著な食後血 糖値降下効果がみとめられる。脳は糖のみでなくケトン体をエネルギー原として利用する。糖質制限食によ り動脈硬化のリスクが改善する。

3) 整形外科クリニックにおける肥満外来1,800例の実践―糖質制限食と運動療法:(中村巧:中村整 形外科リハビリクリニック)糖質制限食(糖質10〜33%、タンパク質33%、脂質33%)による栄養 指導、油圧式筋トレマシン10種、カルジィオマシン(有酸素運動)を利用し健康的減量をおこなっている。 約70%に良好な効果を得ている。

4) Primary careの視点からみた糖質制限:(坂東浩:きじま田岡病院/徳島大学)最初の軸、1)糖質を出 来るだけ少なく、2)タンパク質は多く、3)脂肪摂取は制限せず、4)野菜、水を多く、5)アルコール は焼酎、ワイン、糖質フリービール、6)食べる順序、7)コンビニと食材を工夫、第二の軸、bio-medico- socio-psyco-econoなどの物差しを使い、年齢、性、職業、生活習慣に応じて対応。

筆者一言:食事療法も少しずつ、変わって来ました。


3、総合診療医の認定と育成

 現在の総合診療医、将来の総合診療医について、総合診療医の定義、役目、社会での位置、育成につ いての検討、考え方を専門の立場から検討されている。

1) どうする 総合診療医の認定と育成:(福井次矢:聖路加国際病院)(1)我が国の医療体制の中で、 適切な初期対応と必要に応じた継続医療を全人的に提供する。(2)総合診療医は扱う問題の広さと多様 性が特徴。(3)中立的な第三者機関において養成プログラム・認定にて総合診療を基本領域の一つとす る。(4)養成プログラムは関連学会や医師会が協力し、第三者機関で作る。(5)総合診療医の数は第 三者機関で検討する。

2)総合診療の将来像:(伊藤澄信:国立病院機構本部総合研究センター)地域を診る医師が、包括的かつ 多様な医療サービス(在宅医療、緩和ケア、高齢者ケアなど)を継続的、全人的に提供し、地域における予防 接種、健康増進活動等を通して地域全体の健康向上に貢献する。診療所がけでなく小病院、中小病院での総 合診療がある。

3)総合医か総合診療医か:(吉村博邦:地域医療振興協会)(1)病院の総合診療部で内科中心の専門医 ・総合診療医。(2)大規模病院の入院患者の内科的諸問題に関与する病院総合医。(3)地域の診療所で Common disease を取り扱う家庭医。に分けられる。

筆者一言:総合診療医、総合医、家庭医それぞれについておおよその形が見えてきたと思います。


4、シンポジウム「臨床倫理とプロフェショナリズム」より

1)患者さんとともに悩む〜ナラティブと臨床倫理:(本村和久:沖縄県立中部病院)人工透析を必要とする 患者さんで、本人が透析を拒否、本人の拒否についての家族、医療関係者、主治医、透析専門医、家族の周辺の 方々の意見、考え、本音等を述べ、結局本人が透析を受けずに経過した例について、何がよかったのか、どう すべきであったのか。そして、結局亡くなって、何が本人の希望だったのかを検討していた。

筆者一言:事実は一応まとめられても、時間の経過もあり、真実はわかないと思います。





筆者一言
 今回の学会から、プライマリーケア学会の家庭医、総合医制度への役割、研修制度、認定制度はどうある べきか等についての検討、報告よりも具体的な報告が多くなり、プライマリーケアの臨床での問題、報告も 多く見られた。その一端を今回紹介しました。




一口メモ

円安のため、色々と値上げされる中、ニュースを見て電気屋でiPadを見に来た人がいっぱいでした。
もともと単価が高い iPad は値上げ幅も大きく、iPad Retina ディスプレイモデル(WiFi) は1万円前後値上げ。

いつ買うの、今でしょ現象が起きています。 apple製品買う予定の方は急いだ方がよさそうですね。



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