今月の話題〜5月〜



 今月の話題は、4月28日に東京で行われた日本東洋医学会による 専門医学術講演会より選んでみました。東洋医学会は東洋医学につ いての啓蒙と発展について努力、研究をしています。今回は、先輩 達の東洋医学についてどのようなことを残してくれているかについ ての講演でした。


1、  浅田流漢方について:(聖光園細野診療所、中田敬吾)浅田宗伯は江戸末期から明治にかけて日本の漢方 を指導した名医で、将軍家茂や明宮(後の大正天皇の治療をしたことでも知られている。浅田先生は後方に属 するが古方、後方、民間薬にこだわらず有効な処方を縦横に用いている。浅田方函口決には、傷寒論、金匱要 略の処方が153方、千金要方、外台秘要が81方、万病回春から30方、和剤局法から17方と幅広く方を 使用しているが、生薬の分量を記載していない。患者の証、病態に合った生薬、方剤を量も個々の人に合わせ て決めていたので生薬の量の記載が無いのである。診断には脈診を大切にしていた。具体的な治療の一端を紹 介すると、インフルエンザには柴葛解肌湯を使用し、竹如温坦湯も時に使用、喘息に苓桂朮甘湯を使用するこ ともあった。

筆者一言:具体的な気、血、水や陰陽の臨床での考え方、利用の仕方にも触れてほしかった。


2、  漢方の口伝:(皇風会山田医院、山田光胤)山田先生は医学生の時から大塚敬節先生に師事し、教えを受け たとのことで、大塚先生からの口伝として、1)臍痛点:臍の直上に圧痛と小さい抵抗が触知するもので、葛根 湯の腹証である。2)葛根湯加蒼朮:咽頭が痛いほどでなく、強い乾燥感、イガイガ感がある葛根湯証に投与。 3)五苓散:帯状疱疹に良い効果がある。痛みには黄耆を加える。4)明朗飲(苓桂朮甘湯+車前子+細辛+黄 連):眼疾患によく効く。5)防已黄耆湯:変形性膝関節症の鎮痛、脊椎の疾患にも効果がある。次は山田先生 の口伝、6)桂枝五物湯と黄耆桂枝五物湯:咽頭炎、口内炎、歯間痛などに使用。山田先生は脈診、腹診をよく 見るようにしておられるとのこと。

筆者一言:気血水や陰、陽、虚、実、表、裏などの面からどのように考え証を把握し、方を選んだのか話して 貰いたかった。


3、  医療現場の生薬のこと:(大阪大学医学史料室、米田該典)用薬に品質規格を設け、遵守のため法的規制が なされている。法的根拠は「日本薬局方」に始まる。用薬は医家の専有事項である。例えば、大黄には、錦紋大 黄、雅黄、馬蹄大黄、甘粛大黄、?黄、和大黄などがあるが、局法では主有効成分のセンノシドの含量を0.25% 以上と規定している。大黄はんその種類でセンノシドの含有量に差がある。蒼朮と白朮についてはその薬効は類 似であるが、その成分について違いがある。エキス剤などで、どちらを使用するかはメーカーの責任としている。

筆者一言:用薬の場合に朮について白朮、蒼朮の相違について議論のあるところですが、この議論に対する意見が聞きたかった。


4、  医の倫理と医療安全:(新潟医療福祉大学、佐藤弘)古くはヒポクラテスの誓いから、ニュルンベルグ綱領、(1947年)、 ジュネーブ憲章(1948年)、1987年のマドリッド宣言などで、患者の人権擁護・医師としての責務について取り 上げられている。江戸時代の和田東郭の「蕉窓雑話」に、現在のインフォームドコンセントの一端がみられてい る。

筆者一言:患者の権利、人権擁護についてはよく述べられるが、義務についての記述も欲しいと思います。





筆者一言
 東洋医学、漢方が世界に医学として認められていくためには、先達の経験、口伝を現代の科学で裏付けされ、 世界で認められことが必要と思います。これから現場で活躍していくわれわれの務めと思います。日本はその 務めを果たすのに環境が、世界で最も適した国と思います。この講演会のDVDは学会から夏には発行とのこと ですので、詳細を知りたい方は学会の方に問い合わせて下さい。




一口メモ

富士山がユネスコの定める世界文化遺産登録へ一歩!!自然遺産はゴミ問題などでダメでしたけど。 6月16日、カンボジアで開かれる第37回ユネスコ世界遺産委員会で、正式に決定することになりますね。

中国人も喜んでいたそうですが・・・一番驚いていたのは富士山は入山料を徴収しないということ。 「日本人ってのんきだね。山ごと囲ってお金をとればいいのに」とは・・・。さすが中国と思いました。

世界文化遺産登録決定するといいですね。



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