今月の話題~8月~



 今月の話題は6月29日から7月1日にかけて京都で行なわれた日本 東洋医学会より選んでみました。漢方とは何か、日本漢方とはなにか など多くの問題があり、学会は盛会でした。日本伝統漢方の方証相対 の問題と漢方の痛みの治療に関連したところから選んでみました。



A、伝統医学臨床セミナー「日本伝統漢方は方証相対か《より


 1)随証治療は、なぜ方証相対と誤解されたか:(三谷ファミリークリニック、三谷和男)随証療法 に異存はないが、人体をブラックボックスとみなし、複数の所見を証とし、治療に直結させる傾向がみ られる。ここに日本漢方の方証相対と理解(誤解)されている原因がある。漢方治療を行なう上では、 身体内における臓器、組織の病理が様々な形で体表の症状として現れる(証)ものなので、証をみるだ けでなく「なぜその所見、証が得られたか《が大切なのである。最新の西洋医学の知識を駆使して「そ の人の身体の中でなにが起こっているのか《を考えることも重要である。


 2)「方証相対《について:(北里大学東洋医学総合研究所、花輪壽彦)「方証相対《とは「処方単位 の診断学であり、同時に治療学である《とされるが、目にみえ手にとれる症状・兆候から「目に見えない《 より本質的なものを観てそれに随って治療をしていくのが漢方の随証治療である。方証相対理論の理解に は、目に見える証とともに、治療の方にたいする目に見えない「暗黙知・経験知《の理解が上可欠である。


 3)方証相対・随証治療・弁証論治の意味論:(東亜医学協会、寺澤捷年)方は方剤だが、証はしばしば 症と同義とされている、ここが問題である。自覚的、他覚的臓腑の異常とその異常と同時に存在する生体全 体の上具合を上位概念として考えられ、一括された上位概念も証と考えられている。下位概念の積み上げと 上位概念を考慮して治療に方剤を投与する暗黙知の把握が随証治療としてなされている。


B、シンポジウム「痛みと東洋医学:漢方・鍼灸からのアオウローチ《


 1)ペインクリニックと漢方:(昭和大学横浜市北部病院、世良田和幸)漢方治療では痛みの治療において、 痛みに対する治療だけでなく、患者の冷えや気血水の流れに対しても個々の病態に合わせて漢方治療を行なう。 ペインクリニックで漢方は痛みの治療効果を上げることができるので、痛みの治療に従事する医療者は、痛み の治療に対する多くの引き出しを持っているべきである。


 2)虚証的痛み(虚痺)に対する漢方治療:(河崎医院、日笠久美、大井道順)演者の診療地域では農村で 高齢者の多い地域で、虚証の痛み虚痺を観ることが多い。八味地黄丸、十全大補湯の投与症例中心に報告した。 腰椎脊椎管狭窄症の症例に「左帰丸《が効果的であった。


 3)難治性疼痛に対する漢方治療:(東京医科大学、その他、矢数芳英、他)四診により、6つのアプロー チで治療している。
 (1)温める、(2)微小循環を改善する、(3)体液分布を改善する、(4)体力をつける、(5)スト レスをやわらげる、(6)熱(炎症)を取る、6つのアプローチから漢方医学診断を行ない、漢方治療を行な っている。


 4)痛みに対する鍼灸治療:(蔡鍼灸治療院、蔡暁明)鍼灸は、速効、簡単、便利、安全、安いと使いやす い特徴がある。経絡を考えて治療するが、阿是穴の使用も有効である。


筆者一言
 日本漢方とはなにかんついて、日本漢方が形成された江戸時の先達から現在の漢方の専門家が日本漢方の中心と なっておる方証相対を中心に考えを述べています。結論は、診断の基準となる証について、その証がなぜ、どの ようにして現れ、把握されているかを考え、理解し方剤を選び、使用することが必要とのことです。患者の表面 に現れ、把握された証について、その証がなぜ、どのようにして現れ、把握されたかを考え、理解することが本 当の漢方治療であるということす。
 東洋医学による痛みの治療についてのシンポジウムを取り上げました。痛みの治療法は現代の医学は相当に 対応出来るようになってきておりますが、万全ではありません。漢方、鍼灸を東洋医学的診断、治療法に随っ て利用することにより、現代医学で対応の難しい痛みと痛みにともなった苦痛を軽減、取り除くことができる という報告であった。




一口メモ

ロンドンオリンピック賑わっています。無気力試合での失格などでも騒がれていますね。 無気力試合をインターネットの動画で見ましたが酷かったです。

日本は、なかなか金が取れません。期待の柔道に金が2つというのに驚きです。 今のところ日本はメダル数は5位ですが金メダル数は14位という、少し残念な状況です。

頑張れ!日本!



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