今月の話題〜3月〜



今月は話題は2月18日、19日東京で行なわれた日本慢性疼痛学会より選んでみました。 まず、基調講演、特別講演、シンポジウムより選んでみました。

1,セロトニン神経を活性化する:(東海大学統合生理学、有田秀穂)セロトニン神経は脳幹の縫線核群に数万 個の細胞として分布し、軸索を脳神経全体に投射する。中脳背側縫線核のセロトニン細胞は大脳、大脳辺縁系に 投射して、覚醒や気分に影響を与える。橋の大脳線核セロトニン神経は内因性疼痛抑制系として、侵害受容性二 次ニューロンに作用し鎮痛効果を発揮する。延髄縫線核のセロトニン神経は姿勢筋、抗重力筋の運動ニュウロン を促進させて姿勢筋の緊張を上げる。これらの機能が低下すると覚醒状態が悪くなり、抑鬱気分が出現し、原因 無くとも痛いと感じるようになり、姿勢がよわよわしくなる。セロトニン細胞の基本的活動は、覚醒時に持続的 なインパルス発射があり、睡眠時休止する。朝起きてセロトニン神経の働きがきちんと発現しないと、上記の症 状が発現することになる。
 覚醒時のインパルス発射を更に増強させる因子は、歩行、呼吸、咀嚼のリズム運動、太陽光、グルーミングで ある。人でセロトニン神経の働きを間接的に評価するには、全血中のセロニン濃度の測定が有用である。


2,慢性疼痛にたいする心身医学的アピローチの必要性:(吉備国際大学身障心理学科、吾郷晋浩)“慢性疼痛 は、その自分に加わっている諸種のストレスが体のホメオステーシス機能、防御機能などを低下させていること に早く気づき、それに適切に対応して、生命に異常をきたさないように知らせる警告反応である”。心理社会的 ストレスが生体のホメオステーシス、防御機能、修復機能を低下させ、1)疼痛を伴う疾患の発症を容易にする、 2)疼痛を伴う疾患の治癒、寛解を遅らせる、3)疼痛域値を低下させ、通常痛みを感じさせない刺激で疼痛を増 幅して感じさる、4)疼痛伝達物質を遊離する、それが条件づけで起こるようになる、5)患者の疼痛部位への注 意の集中が、心身交互作用が痛みの感じ方を過敏にする、6)疼痛を訴えることによる利得が、患者の治療意欲を 低下させる。治療は完成されたものはなく、その疼痛機序を心身医学的アプローチによって検討し、その機序に対 応した全人的な医療を行なうことが必要である。治療に際しては、治療医に対する患者の第一印象が大切である。 患者がストレスを認め、受け入れ、対処し、それが人生にどんな意義があるかを自覚することが大切である。


筆者一言
慢性疼痛については、毎年行なわれる慢性疼痛学会からの話題として、紹介してきましたが、慢性疼痛の脳内 での機序についても、今回の話題一に紹介したように少しずつ解明されてきています。治療についても新しい 薬が開発されてきておりますし、治療方法も開発されてきています。しかし、今回の話題二に紹介しましたよ うな心身医学的な治療が大きい比重を占めています。われわれ臨床に携わるものもひろく情報を知り、日々の 臨床に使えるようにしていく必要があると思います。




一口メモ

気にしすぎなのか割と頻繁に地震がきますね。 福島県沖や東京湾、立川断層に東海など大きな地震が予想されている地域が多いので敏感になりす。 関東に震度7の地震というニュースもよくやっていますよね・・・
電気屋さんでも携帯ラジオや大量な電池を買う方も見かけます。 私も水や乾パン、絆創膏や鎮痛剤など買ってみました。 富士山噴火も言われています。
備えあれば憂いなし 東日本大震災に習い、備えましょう。



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