今月の話題〜8月〜



 今月の話題は、平成23年6月10日から12日に札幌で行なわれた 日本東洋医学会より選んでみました。興味ある話題は数多くありました ので、今回は特別講演より4題選んでみました。



1.漢方の科学性について;(北海道漢方医学センター、本間行彦)漢方医学の核をなす証とは、 ある一定の食物(栄養素)が不足した時に生ずる身体的異常、とくに体表(四診)からみて分かる 症候を統計学的にまとめて記述したものと定義し、証を診断するとは不足物質を見極める行為とし た。科学の方法論で判定には「演繹」(deduction)と「帰納」(induction)の二つがある。漢方 では、歴史的に一例、一例の事例を大量に集積し一般化したもので枚挙的帰納法によるといえる。 証とは、大量の個々の事例の集積から一般化さされた概念で、自、他覚症状を多変量解析的に分 類(クラスター分類)したものであり、これは科学といえる。

筆者一言:国際的にも認められる、国際的評価に耐えうる論理であって欲しいと思います。


2.按摩マッサージ療法の効果;(筑波技術大学保険学鍼灸学、殿山希)古来の按摩は経脈 の流れの状態により五臓六腑を候い、経絡に沿って虚弱に応じて補瀉を行い、気血の流れを 整え、病気の予防や治療を行なう療法であった。日本では奈良時代には医療制度の中に取り 入れられた。しかし、明治時代になり、西洋医学の理論に基づいたヨーロッパのマッサージ が1885年に按摩術として翻訳、導入された。以来、日本では、按摩マッサージが盲学校 を中心に導入され、病院勤務マッサージ師が排出され、東西の手技料法である按摩とマッサ ージの技術と理論が融合して、今日の日本の手技療法の原型が創られた。按摩マッサージの 効果としては、1)筋緊張などの自覚症状の改善、2)不安の低下、3)ストレスホルモン の低下、4)免疫機能の賦活などを確認した。

筆者一言:東洋医学の一分野としての按摩マッサージであって欲しいと思います。


3.中国における漢方生薬栽培の現状;(金沢大学医薬保健研究域薬学系、御影雅幸)中国で の栽培地は中国全土におよび、それぞれの地域の特産品があり、その数は150種が栽培され ている。代表的なものとして、茯苓は全て栽培品で、雲南省、湖北省中心に栽培されている。 附子は四川省で栽培されている。麻黄は、内蒙古自自区、甘粛省、新彊省などで栽培されてい る。このように現在では殆どの生薬が栽培された産品なので、生薬は医薬品であるから、出来る 限り野生品に近い品質の生薬を収穫する栽培技術を開発する必要がある。

筆者一言:生薬の栽培は避けられない方向ですので、野生品であった古来生薬の薬効にかなう生 薬の栽培技術を期待したいですね。


4.北海道における薬用植物栽培の現状と今後の課題;(医薬基盤研究所、柴田敏朗)北海道の薬用 植物栽培は1992年の267haから1999年には113haに減少し、その後少しずつ増加して、 2008年には188haになっている。主なものは、センキュウ、ダイオウ、トリカブト、トウキ、 キバナオオギ、ハトムギ、カノコソウ、シャクヤク、ジオウ、セネガなどである。国内では、栽培コ ストが問題であり、農薬、機械化などを含めた栽培法の検討が必要である。

筆者一言:日本国内での栽培を勧めて欲しいと思います。水耕栽培の可能性は?


5.浅田流漢方の特徴;(聖光園細野診療所、中田敬吾)浅田宗伯は幕末から明治中期にかけて 活躍し日本漢方に大きい影響を与えた。古法を主にして後世方を運用すべしとのべ、宗伯の著書 「勿誤薬室方函口訣」には古方、後世方、本朝経験方と色々の処方が収載されている傷寒論、 金匱要略の処方が153方、千金要方、外台秘要の処方が81方、万病回春が30方、和剤局 方が17方であるが、日本の経験方が126方も収録されている。宗伯は古方派に属するが精神 、治療原則は古法に置き、有効と思われる処方は古方以外でも積極的に用いている。

筆者一言:日本漢方の基本になる考え方、行き方と思われ、日本漢方の形成を期待します。



筆者一言
現在、日本漢方が有しておる問題点、究明し解決しなければならない問題は多々あります。 今回話題と取り上げた4題にも、前月にこのコーナーで取り上げた全日本鍼灸学会の国際化 に際しての問題と同じような問題を有しておると思われます。国際的な評価に耐え、国際的 に認められる日本漢方を、「日本漢方はこれだ」というものを作り上げていく必要があると 思います。今の政治のように「船頭多くして船前に進まず」では、日本漢方の破滅に繋がり かねません。私は、日本漢方の考え方によって日常診療を行なっており、針治療も行なって いますが、針も日本針灸の考え方で行なっています。漢方につては、最近出版さらた三潴忠 道先生の「はじめての漢方」「はじめての漢方診療ノート」が分かりやすく、知識の再確認、 まとめに大変役立つと思います。 




一口メモ

放射能で野菜、魚、肉牛、稲わら…と汚染の不安が次々と広がる中、既に検査 業務はパンク寸前!
福島県は食品だけで約200 品目を調べなければいけないのだそうです。

キュウリ、ピーマン、サヤインゲン、サトイ モ、枝豆、梨、桃、シラス、アワビ 、アイナメ 、イワガキ。福島県では事故後、野菜80 品目、果物10品目 、魚介類90品目、肉や卵 、原乳などの食品を検査していて検査回数は4000回以上。
このほか土壌 や水道水、牧草、焼却灰、汚泥なども調べ、検査は土日もフル稼働で大変なようです。 9月からはコメ検査…。

でも出荷されて売られている物は平気なので、あまり神経質にならないようにしたいですね。



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