今月の話題〜5月〜





 今月の話題は、3月5日に東京で行なわれた日本漢方心身医学研究会より選んでみました。 この研究会も47回目になり、心身医療の分野で、漢方がどのような意味、立場を持つか研究、 検討、発表、討論が行なわれており、興味ある演題が多くあります。心は人間の体、行動に大 きい影響を与えます。



1,心身医学と東洋医学、その癒合をめざして;(大阪大学漢方医学寄付講座、西田慎二)東洋医学 では、人体を流通する三つの因子である気血水の不足や停滞がおもな病因であると認識している。気 の異常は機能的病変、血水の異常は器質的病変となる。実際、臨床の病変には気鬱を合併することが 多く、そのため心療内科外来も和漢外来も似たような患者層になっている。

2,PMSと漢方;(東北大学先進漢方治療医学講座、武田卓)PMS(月経前症候群)―PMDD(月経前不 快気分障害)は、月経開始前より始まり、開始後に消失する不快な精神身体症状を特徴とする。PMS は女性の75%が経験するという。PMDDは女性の3%と多くないが社会生活の中で大きな障害となる 。仙台の高校で行なった2700名の調査でPMSは50%、PMDDは3%にみられた。PMDDでは標準治 療はSSRI,SNRIの投与であるが保険適応がない。未成年者のPMDDも考えてみると漢方の役割が大きい。

3,女性心療内科における漢方治療〜妊娠・出産・育児を中心に〜;関西医科大学心療内科、杉本貴美子) 関西医科大学枚方病院では産婦人科を母体に、乳腺外科、女性泌尿器科、女性心療内科からなる女性診療科 を開設。妊娠、出産、育児に西洋薬には安全性が確立されていないものが多く、漢方を投与する有用性が検 討される。パニック障害に甘麦大草湯、抑肝散加陳皮半夏が有効である。

4,女性に多い繊維筋痛症の治療;((財)国際全人医療研究所、永田勝太郎、他)繊維筋痛症は人口の2 %に観られ、女性で3.4%、男性で0.5%である。「心身症型」、「PTSD型」にわけられ、おけつ、気虚、気う つが多く、補中益気湯、柴胡加竜骨牡蠣湯の奏功した例が多い。

5,義歯による疼痛の訴えに漢方治療が有用であった一例;(小澤歯科医院、小澤夏生、他)口腔に疼痛、 灼熱感、知覚過敏、麻痺感、異物感などを訴えるが、それに見合う身体的病変が存在しない症例は、口腔異 常症と言われている。その中には種々の病態が含まれていると考えられるがまだ解明されていない。今回は 症例報告であるが、77才の女性で口腔異常症と考えられる患者に抑肝散加陳皮半夏を投与し、一ヶ月くら いで症状が軽減してきて、5ヶ月で乾燥感の改善を認め、9ヶ月で睡眠状態も改善した例を報告した。



筆者一言
 漢方では、気血水という人体を調節している働きの中で、気が血、水の働きを調節し、コントロールしており、 気の異常は、様々な病態の根源になると考えられる。気は、神経、精神系、ホルモン調節系、自律神経系など その働きが、血液や肝、腎、肺、心などと異なり目に見えないもの全体を意味すると考えられ、病的状態の原 因に大きな影響を持っておると思われます。全ての疾患に何らかの影響、役割を持ち、原因となっております ので、今回の話題の第一に挙げたように、様々な病気、病態には多かれ、少なかれ気の異常、気鬱を伴ってお りますので、特に和漢外来を訪れる患者さんは、心療内科に来られる患者さんと似たような患者層になるもの と考えられます。

 漢方は勿論、古来、様々な器質的疾患の治療に使用されてきた治療法ですので、気による疾患以外に、血、 水が原因となる疾患、東洋医学で言えば臓腑経絡の異常、八綱といわれる陰、陽、虚、実、表、裏、熱、寒の 異常による疾患があり、器質的疾患にも漢方医学、鍼灸医学に従った診断で診断し、漢方による治療をおこな います。癌などの悪性疾患、細菌による感染症等に於いては、現代の近代医学が優れておる面が多いのは事実 ですので、東洋医学の良い面を現代医学と共に必要な治療に適用し、患者さんのためになるような医療を行な うように努めて行きたいと思っています。




一口メモ

 焼き肉チェーン店「焼肉酒家えびす」の集団食中毒で同チェーンで飲食後に死 亡した人は4人となりました。業務上過失致死傷容疑。
子供、ご年配の方は食べないようにとテレビで流れた後、40代の方が死亡という 思った以上に深刻な食中毒でした。
ここの社長さんの会見での逆ギレっプリには開いた口が塞がらなかったです(゜ロ゜) そして生食用の肉は馬くらいしか出荷されてないことも初めて知りました。
どうしても食べたい時は自己責任でということでしょうか・・・馬刺し以外は生で 食べないように気を付けようと思いました。
食中毒が起こりやすい季節になってきたので気を付けましょう!!



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