今月の話題〜3月〜





  今月の話題は今年の2月25日、26日に東京で行なわれた日本慢性疼痛学会より選んでみま した。慢性疼痛は、我々に日常生活の支障になり、治りにくい痛みが多く、最近、慢性疼痛の研究 も進歩し、対応も変わって来ています。



1.
慢性疼痛とは?―その本質、診断、治療についてー;(京都府立医科大学疼痛緩和医療学、細川豊史) 「慢性疼痛とは治療に要すると期待される時期の枠組みを超えて持続する痛み、あるいは進行性の非 がん性疼痛疾患に関する痛み」と定義される。急性痛から移行する慢性痛と組織損傷のない自発性慢 性痛に分けられる。診断は、問診、診察、神経学的検査、整形学的テスト、心理テスト、ドラックチ ャレンジテスト、画像診断、心理テスト、サーモグラフィーなどで行なわれる。治療は、薬物治療、 神経ブロック、神経刺激療法、心理療法、再生医療、鍼灸など多彩である。



2.
慢性疼痛における統合的分子理解;(星薬科大学、成田年)ゲノムに書かれた遺伝情報が変更される ことなく、個体発生や細胞分化の過程において遺伝子発現が制御される「エピジェネテクス」現象が 注目されている。DNAの高次機能異常は、遺伝子発現に長期的な影響を与え、細胞の長期的な異常応答 を可能とする。痛みによる「感作」が細胞の長期的基質/機能変化が慢性疼痛の発現の根源である可能 性は極めて高い。疼痛の難治化に寄与する長期的神経可塑的変化のスイッチON機構、慢性疼痛発現の スイッチOFF機構解明が検討されている。



3.
慢性疼痛患者における痛みの種類からみたVAS値と痛み度に関する検討;(知覚、疼痛研究会、加藤実 他 )痛みの評価にはVASが指標として利用されているが、新しい痛み測定器である、知覚・痛覚定量分析 装置(Pain Vision,ニプロ製PS2100)が開発された。患者が感じている痛みを前腕内側に痛みを伴わ ない微弱電流を流して生ずる感覚の大きさと比較する方法である。Pain VisionはVASに比較して心理 的影響を受けにくいと考えられる。



4.
ブレバガバリンの院内処方状況について:普及あるいは氾濫?;(獨協医科大学麻酔科、薬剤部、 松澤理恵、他)末梢神経障害性疼痛に使用されるブレガバリン(リリカ)は急速に幅広い分野で使 用されている。処方科は麻酔科、精神神経科、膠原病科、神経内科、皮膚科、脳神経外科、リハビリテ ーシヨン科、整形外科、泌尿器科、消化器外科、血液内科、循環器内科、糖尿病科、耳鼻咽喉科、産婦 人科と広範囲に使用されている。適性使用の啓発が必要と考えられる。



5.
慢性頸肩痛に対する頸肩部及び遠位経穴への指圧刺激による疼痛関連症状と自律神経活動への影響; (名古屋学院大学リハビリテーシオン科、城由起子、他)慢性頸肩痛有訴者に対する指圧刺激は、LP 群(頸肩腕に近い肩井、肩外兪、肩中兪の三カ所)、DP群(頸肩腕から遠い合谷、手三里、曲池の三 カ所)に指圧刺激行なうと疼痛関連症状の改善が認められた。自律神経活動についてはLP群にのみ心 拍数の減弱と副交感神経の活動増加が認められた。経穴への指圧刺激は疼痛抑制効果を有し、経穴に よっては自律神経への影響の可能性が示された。



筆者一言
この慢性疼痛学会には、痛みに関与し、関心を有する幅広い分野の方が参加していますので、 今回の話題として取り上げた件のように、発表は多種、多彩であり、多くの興味ある演題があ りました。学会の参加者は、年々、若い医師を中心にした方々が参加してきており、発表も痛 みの最新の研究から東洋医学に関した発表など幅広くなされています。私も、この学会の創世 期から参加してきており、これから、ますます、痛みについての研究、経験、意見などの場と してこの学会が発展していくことを期待しています。




一口メモ

ニュージーランド地震で安否不明となった日本人の28人。一度救出報告があった方も 結局安否不明です。どこかの病院で生きてらっしゃるといいです。 現地に向かった皆様 お疲れ様でした。

京都大などの入試問題が試験中にヤフー知恵袋に投稿された事件で逮捕された仙台市の予備校生。 物分りのいい、まじめ、良い子。そういう人のほうが我慢してきていてストレスも溜まって いるんでしょう。
ヤフー知恵袋は分からないことがある時便利ですが、そういう使い方をする為の掲示板では 無いんですけど・・・。
便利なものを非常識な使い方をして きちんと使っていた方も使えなくなるのは困りますね。




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