今月の話題〜10月〜



  今月は、8月29日から9月2日にかけてカナダのモントリオールで行なわれた国際疼痛学会 (IASP、13th World Congress on Pain)に出席しました。学会の印象と興味のあった演題につ いて紹介します。




学会は、モントリオールのほぼ中央にある国際会議場で行なわれました。世界各国の痛みに関与し ておる人々の集まる学会なので、大変な盛会で、特別講演など椅子席満席で、多くの方が立ってい る状態でした。ポスター発表のところも多くの出席者が自分の興味のある発表を見ていました。ポ スターの発表も8月30日から9月2日までの4日間に1日の490題、4日間で2000題前後の 発表がありその他にシンポジウム、特別講演があって、一部に参加するのも大変でした。今回はシン ポジウムの中の発表から面白そうなものを選んで、概略を紹介してみたいと思います。




1.
Mechanism and Treatment of Neuropathic Itch;(R.Baron,Div.of Neurological Pain Res. and Therapy, Univ. of Kiel, Kiel, Germany)末梢性または中枢性神経系の障害(帯状疱疹後神経痛、 化学療法ご神経障害、多発性硬化症など)で神経因性掻痒が発症する。痒みは痒みに特異的求心 性神経経路を通り脊髄視床路に投影される。脊髄内の痒み反応C繊維が脊髄後根の興奮をさせる。 この中枢神経系の感作により体性知覚に大きな変化を惹起する。非有害性刺激でも第1次求心性A 線維を通って脊髄後角の痒み感覚受容ニューロンに刺激を与える。軽い接触やピンクリップ刺激 を痒みのある部位に与えると痒み感覚を惹起する(allokness,hyperknesis)。中枢神経系におけ る痛みと痒みの感覚形成には類似性が高い。侵害感受性の活性化は脊髄後角の刺激と痛み形成に関 与する。侵害刺激は中枢神経系で、そのinputがA繊維を活性化しallodynia を引き起こす。痛みと 痒みの慢性化に中枢神経経の感作が関係するので、中枢神経系の感作に関与す分子構造が治療の目 標として興味あるところです。

筆者一言:痒みに関する研究が世界的によく行なわれて来ており、その考え方が治療に有効ではないかということです。



2.
Hypnosis in Practice in Pain Centers and Pain Clinics in the World;(M.Mizutani,Multidiscipl inary Pain Ctr., Aichi Med.Univ., Japan) 今回の痛み治療に対する催眠の研究は世界中の研究者 の参加、協力の結果である。統計学的分析をすると、催眠の医学的な位置付け、治療のどの位置で使 用可か、理論的な裏付けを示している。臨床的に催眠は薬剤に関係のない有効な治療法である。催眠 の習得とその研究は個人差が避けられず難しい。催眠の実際の施行者と催眠に関心のある臨床家が痛 みのコントロールについて意見を交換することが、将来の痛みコントロ−ルに有用と思われる。日本 からの発表でした。

私も催眠に興味があります。催眠が痛みの治療に有効に利用できることを祈ります。



3.
Estrogens Affect Pain: Clinical And Experimental Evidence;(A. Aloisi, Physiology, Univ. Of Siena, Italy) 女性が痛みに敏感であるといいうことには、エビデンスがある。Estrogeneに よって惹起される痛み感覚の変容は侵害受容、非侵害受容刺激共に人でも、動物でも薬剤依存性に 見られる。Estorogenは性を越えて効果を示すが、ratの実験では雄、雌共に効果を示している。e storogenによる作用をその拮抗剤でその作用を変えることも可能である。



4.
Acupucture Analgesia : Consensus and controversies ;(J. Han,NeuroSci. Peking Univ. China ) 針は人間と動物実験の研究で、痛みの感受性を抑えることが示されている。これは化学的な伝達機構 が関与しておるのではないかといわれ、針の鎮痛機構には内因性モルフィン様物質が関与しておると 考えられる。最近の科学的な研究で、脳内の幾つかの領域を結び付ける神経線維が針の作用に重要な 役割を果たしていることがわかってきました。手による針はその刺激の再現性に問題があり、電気針 によるデータで、2へルツの低頻度刺激ではenkepharinとβ-endorphineの放出を促し、高頻度刺激 (100ヘルツ)ではdynorphinを放出するので、中枢神経内の刺激頻度依存性が示唆される。臨床 で針刺激は刺激しない時に比較して、いつも良い効果が得られ、それはプラセボウを越えるものであ る。針の研究は安全、安価で有効な、そして体のホメオステーシスを調節し、強めるよい方法となる だろう。

筆者一言;針の有効性についての中国からの発表である。もう少し突っ込んだ発表が期待されます。



筆者一言
今回は、国際疼痛学会から興味なある発表から4題を選んでみました。痛みということに関すること で、医師、看護師、心理学者、薬剤師、基礎科学の研究者など世界の痛みに関心のある人々が一同に 会して議論する場に出席できて幸せでした。一つ一つの発表はもう少しと思う物もありますが、世界 の人々が痛みについてどんなことを考え、研究して居るのかその一端を見ることが出来ました。今回 は、その一部ですが、私が興味を持った発表を4題紹介しました。その他にも紹介したい発表が沢山 ありました。次の機会に幾つかを紹介したいと思います。




一口メモ

地震が多い。北海道や宮古島 そして福島県でも凄いゆれたそうですね。 周りの人みんなの携帯電話で地震注意の警報が鳴って驚きました!

最近 普天間、尖閣問題に続き北方領土まで取り合いが激しく近隣国と険悪でハラハラしま す。外交問題なんとかしてもらいたいっ
日本国内の政治も不安定なので、不安いっぱいです。。。(>_<)



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