今月の話題〜4月〜



 今月の話題は、今年の3月13日に東京で行なわれた第46回日本東洋心身医学研究会より 選んでみました。主に漢方に関してですが、東洋医学を心身医学から見てみようという研究会 です。過去に何回か出席したことがありますが、興味ある演題が多く見られます。




シンポジウム「脳腸相関」より

1.
消化器心身症―最近の話題―;(藤田保険衛生大学 神経内科、金子 宏)機能性消化管障害 (FGRID:functional gastrointestinal disorders)の代表的疾患として機能性胃腸症(FD:fu nctional dyspepsia)、過敏性腸症候群(IBS)が挙げられ、その発症、経過には心理社会的 因子が重要な位置を占めている。疾病・疾病行動の理解、治療において、その対象となる患者 の身体面、精神面、社会面、倫理面からの心身医学的アプローチの重要性が強調されている。 治療には、体調、体質を「証」という概念で総合的に癒す漢方治療が期待される。



2.
自律神経を介した消化管ホルモンの作用;(鹿児島大学 心身内科学、乾 明夫)消化管ホルモン、 コレシストキン(CCK)や膵ポリペプチド(PP)が迷走神経を介するものであることは証明されてき た。1999年に胃から見出された空腹ホルモンのグレリンも迷走神経求心枝上にある受容体を介 し、中枢神経系、脳を介し、食欲や消化管運動調節を行なうことが明らかになり、遠心性には交感 神経、迷走神経の活動を調節することが判ってきている。六君子湯がグレリン分泌促進作用を有し ており、食欲中枢を刺激し、自律神経や血液を介して食欲や消化管運動に影響を及ぼしている。



3.
消化器内科領域における漢方―六君子湯、大建中湯の役割―:(北海道大学 臨床薬理学、武田宏司) マウスの実験で、シスプラチン投与モデル、加齢モデル、社会的隔離モデルを作り、六君子湯につい て検討した。六君子湯は、グレリン-グレリン受容体やセロトニン-セロトニン受容体を介するなどと 考えられるが、いずれに於いても食欲を改善した。
大建中湯については、過敏腸症候群の患者で、腹部膨満感、腸内ガス量について検討し、腸内ガスを 減少させて、腹膨満感を減少させる可能性が示唆された。



4.
消化管運動と内臓知覚における六君子湯と大建中湯の効果;(東北大学 行動医学、福士 審) 健常成人での試験研究で、六君子湯はストレスによる胃底部知覚運動障害が改善し、大建中湯は 内臓痛覚を抑制して、六君子湯はストレス緩和作用、大建中湯は内臓痛覚抑制作用によるfunct ional dyspepsiaと過敏腸症候群への適応が期待される。



筆者一言
この研究会は、心身医学を東洋医学の面より研究、診療している者の研究会、逆に東洋医学を 心身医学の方向から検討して行こうという研究会です。最近は、胃、腸も単に消化、吸収とい う所謂、消化管としての機能以外にホルモンやサイトカイン、生理活性物質を分泌して、自律 神経、中枢神経系に働いておることが判明し、昨年末には、胃腸から分泌される血糖コントロ ール作用に関した薬剤が、日常診療の場で健康保険適応となり使用出来るようになりました。 今回の脳腸相関という話題で、腸も自律神経、脳に対して働きかけており、漢方薬剤は、この 研究会の発表のように脳腸相関を通して働いて居ることが示されて興味深いことです。漢方薬 の作用について科学的な新しい発展方向として期待されます。




一口メモ

4月。桜も満開。エコポイントも延長で申請も前より簡単になったみたいです。 家電買うなら今です!買い物して さらに特典って嬉しいです。

冬にドラマでやっていた現代の外科医師が坂本竜馬のいる時代へタイムスリップ する漫画を読みました。 コロリの治療をしたり、まだその時代に無いペニシリンを青カビから作るんです 。面白いですよ。



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